スマホゲームの「ガチャ」など、オンラインゲームの課金システムについて不当な表示をしているものがあるとして、東京都と消費者庁に対応を求める質問が、東京都議会でなされました。質問したのは、ネットに関する問題などに詳しい栗下善行(くりした・ぜんこう)都議。都議会でゲームの課金にまつわる質問がなされたのは、今回が初めてとのことです。
質問があったのは、12月9日の東京都議会本会議。都民ファーストの会の栗下都議は質問のなかで、スマートフォンの普及によってオンラインゲームの市場が急拡大していることを挙げ、「提供されるアイテムやキャラクターについて事実と異なった宣伝をする優良誤認広告」や、「価格や条件を実際のものよりも著しく有利に宣伝をする有利誤認広告」について「数多くの相談が消費者庁に寄せられていますが、是正のための指導や措置命令はまったく追いついておりません」と、都に消費者庁と連携して対策するよう訴えました。
これに対し東京都生活文化局の野間達也局長は、都の生活消費センターにはオンラインゲームにおける課金トラブルや表示内容に関する相談が、実際に寄せられていると回答。また、消費者庁が過去にガチャの提供割合を実際よりも高く表示したり、キャラクターの仕様を優れているように表示した事例で行政処分を行ってきたことに触れ、「都は現在、消費者庁と連携しながら若者を中心に普及しているオンラインゲームを含む商品サービス等の不当表示の監視などを進めており、法令に違反する表示を行う事業者に対しては表示の差し止めや、再発防止を求める措置命令を行うなど厳正に対応してまいります」と答弁しました。
昨今、中国をはじめとする海外産のスマホゲームが日本でサービスを展開する際、ガチャや広告において実際よりも優れたものとして表示される「優良誤認」などがあるとして問題となっています。背景には、ローカライズ(日本版の開発)にあたっての運営会社側の不手際などがあるとみられていますが、十分な対応がなされていないという声もあります。
今回、都議会でこの問題が取り上げられたことで、東京都や消費者庁の対策への姿勢が明確になったといえそうです。
※画像は都の議会ネット中継ページより
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