【座談会】Flash、今までありがとう―― あのころ、僕らが夢中になった「Flashの時代」を振り返る(前編)(1/5 ページ)
いよいよあとわずかに迫った、Adobe Flash Playerのサポート終了。最後に「Flashの時代」を振り返っておこうと、いわゆる「Flash黄金期」に活躍した職人たちと、Flashについて語る座談会を行いました。
「アドビが2020年12月31日をもって、Flash Playerの配布と更新を終了」というニュースに、一つの時代の区切りを感じた人も少なくないと思います。
かつてインターネット成長期に盛り上がった一つの文化──個人Flash作品は、2000年後半まで人々を魅了してきたムーブメントでした。マンガのパロディーから2ちゃんねるキャラ、時事ネタ、不謹慎いじりネタ、感動系、空耳ギャグ、PV系、ゲーム、ホラーetc……。
さまざまな傑作・名作に思いをはせながら、当時のFlash作品について語り合う座談会を企画しました。司会は、当時から個人サイトでFlash作品を紹介していた「かーずSP」管理人のかーず。以下の出演メンバーでお送りします。
取材・司会・文:かーず
座談会参加メンバー(順不同)
塚原重義(@iyasakado):
代表作に「ウシガエル」「端ノ向フ」など。スチームパンクの世界観と昭和レトロを融合させた、唯一無二の作家性でFlash界の度肝を抜く。現在はプロの映像作家。
み〜や(@miyasuke1):
「Nightmare City」ほか、2ちゃんねるキャラたちのバトルFlashを得意とする職人(当日はリモート参加)。
おさだこうじ / wosa(@wosa):
「FLASH★BOMB」などイベント運営の手伝いをしていた傍ら、自らもFlash職人として活動。アニメのオープニングを2ちゃんねる風パロディーに仕上げる作風、代表作は「うる★8つら」
UG-K / イイ・アクセス(@iiaccess):
Flash紹介サイト「(・∀・)イイ・アクセス」管理人
「ゴノレゴ」「ムネオハウス」「片翼の田代」で僕らは育った
最初に、皆さんとFlash作品との出会いについて話していきましょう。
僕はイイ・アクセスを作る前に、俺ニュースさん(個人ニュースサイト)でHattenに出会ったのが最初で、その流れでドラサイトとか見てました。
それから衝撃を受けたのは「ゴノレゴ」ですかね。
あの時代を象徴してますよね。
そう、2chネタやコピペネタも取り入れつつ、パロディーネタでもあって、いろんなウケる要素を混ぜ込んで、ドカンと盛り上がったのが「ゴノレゴ」だったのかなって。
その一方で「quino」も発表されていたっていうね……もうポエ山さんマジでやばかったな!
すごい硬軟ありますよね。パロディーギャグも本格派もどっちもいけるって、神かよ!
あれは何か、ポエ山さんの自負みたいなものを感じました。「私は『ゴノレゴ』だけじゃないよ」っていう。
僕は2002年ごろ、大学の同級生からFlash作品を初めて見せてもらったのがきっかけです。でも2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)のことをまったく知らなかったので、アスキーアートの定番ネタが全くわからなくて、「>>1さん」ってなんですか? って(笑)。
でもネタがわからなくても、小気味いいテンポでテキストや画像が流れるのを見てるだけで面白かった。その他にも「ムネオハウス」なんかを見ていましたね。
あと「片翼の田代」も好きだった。
「ファイナルファンタジーVII」のセフィロスの曲が荘厳でね。でも当時サンプリングレートがすごく低かったFLASH4か5の時代なので音質が悪い。だから「セフィロス」のところがものすごいゆがんで「田代」に聴こえるっていう(笑)。キレイな音質で聞いても田代にはならない、当時ならではの偶然性があったんですよ。
音質が悪かった時代ならではの空耳アワーだった(笑)。
僕が最初に見たのはオサマ・ビンラディンのやつでした。
Hatten(Hatten ar din)?
それじゃなくて、オサマ・ビンラディンのFlashはいくつか存在していたんです。コミック調で感動系かと思いきや、最後に全員撃ち殺されて終わりみたいなブラックジョークが海外っぽくて印象に残ってます。
当時は不謹慎ネタが好まれる傾向がありましたね。まだアンダーグラウンドが色濃く残ってるカオスな時代だったから。wosaさんが初めて見た作品は?
僕はしぃの感動するスレにあったアスキーアートをFlash化した作品が初見だったと思います。
「しぃのうた」じゃなくて?
ではないですね。もっとAA文字のままのやつだった。
僕は小小系列って棒人間の格闘とか、「赤い部屋」ってホラーとか、挙げだすと収拾がつかない(笑)。
※ホラー、閲覧注意
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