香川県にある、すごい名前の施設が話題を呼んでいます。その名は、「高濃度うどん排水処理施設」。こ、高濃度うどん……排水処理施設……!? うどんて専用施設が必要なほど危険なものだったのか……!?
見た目は本格的な排水処理施設で、大きさもなかなかのもの。写真がTwitterに投稿されると、「なんかすごそう」「うどんが高濃度になると危険物になるらしい…」「うどん濃度上昇!臨界点突破!釜が爆発!」「高濃度 うどん排水 処理施設(完璧な川柳)」などさまざまな声が寄せられました。
いくらうどんをネタに使う香川県といえども、施設の大きさななどからふざけてやってるわけではないことは明らか。また、高濃度うどん排水処理施設を作ったCNTは実際に廃水処理設備事業をやっている企業で、徳島や和歌山などでも使われているとのことです。名前のインパクトにイメージが引っ張られてしまいますが、とても真面目な施設のようです。
ではこの高濃度うどん排水処理施設、いったいどのようにして生まれたものなのでしょうか。CNTに話を聞いてみました。
―― 「高濃度うどん排水処理施設」の開発背景を教えてください。
CNT:2004年当時、香川県はうどん店巡りでブームとなり、県外からの多くの観光客が訪れるようになりました。しかしそれに伴い、通常の合併浄化槽では処理困難なうどんの湯煮排水が水路などを汚染していき、悪臭などの問題が発生。うどん店の近隣住民からは、苦情が殺到するようになりました。
県でもこの問題が取り上げられるようになり、解決への取り組みが始まりました。うどん店排水処理開発支援事業として排水処業者を募り、参加した20社からCNTと他1社の2社が採択されたのです。
その後1年間うどん店に開発した実験装置を設置し、開発に成功。これ受け、香川県ではうどん店の湯煮排水は、合併浄化槽とは別で処理する条例規制ができました。
―― 何年ごろから提供していますか。
CNT:2005年からです。るみばあちゃんで有名な池上製麺所を始め、県内外の多くのうどん店に設置されています。当時は多くのテレビや新聞等のマスコミに取り上げられました。
―― 「高濃度うどん排水処理施設」というネーミングはどのように決まったのでしょうか。
CNT:一般的な合併浄化槽に流れ込む汚水の汚濁濃度を示すBOD(生物科学的酸素要求量)が、300mg/Lであるのに対し、うどん湯煮排水は5000mg/Lで高濃度となっていることから、「高濃度うどん排水」と名付けております。
―― 廃水処理の仕組みで独自性のある部分や、特にこだわっている点などはありますか。
CNT:処理過程においても薬剤などは一切使用しておりません。内水博士理論の自然界土壌の中に生息する微生物を活用することで、高濃度である排水も希釈することなく処理できます。処理後の水は悪臭等が一切発生せず、魚が生息できる自然な水となっています。ちなみに、前述の池上製麺所では処理された水を入れた水槽で金魚を飼育しています。
おいしい香川のうどんですが、実はなかなか排水が厄介な料理だったもよう。高濃度うどん排水処理施設は、香川のうどん文化を守った救世主といっても過言ではなさそうです。
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