魔王討伐のためたびに出た勇者が、徐々に“ブラック化”していくさまを描いた漫画にさまざまな声が寄せられています。いったいどこで道を誤ってしまったのか……現代にも通じるところがありそうです。
魔王討伐に出た勇者は、世界平和のために戦う純朴そうな若者。休んでられないと不眠不休で戦い、王様からの資金が全然ないため初期装備でも気合でカバーし続けます。
半年後、レベルが上がり資金にも余裕ができた勇者は、新しい仲間として魔法使いと武道家を迎え入れます。しかし、勇者のように寝ないで戦ったり初期装備で戦ったりするのが厳しい2人は、勇者についていけません。弱音を吐く仲間たちに、勇者は「魔王打倒のため」と厳しく調教することを決意します。
その結果とうとう武道家が戦死してしまいますが、「覚悟が足りなかった」済ませる勇者。魔法使いのパーティ離脱も認めず、新たに迎えた仲間たちは裏切らないよう魔法使いに催眠魔法をかけさせ万全の体制を作り上げます。
そしてとうとうたたどり付いた魔王城。最初の面影を残さぬほど凶悪な面構えになった勇者は、伝説の剣と忠実な駒たちを従え乗り込みます。……乗り込もうと思ったその瞬間、魔法使いが背中から腹を貫きました。ともに戦ってきた魔法使いが勇者へ最後にかけた言葉は、「死ね、悪魔め」。その目には、涙が流れていました。
刺された理由もわからぬまま息絶える勇者。不満が爆発した勇者一行はそのまま互いに殺し合い、全滅してしまったのでした。その末路を見届けた魔王は、つぶやきます。「……我と戦わず、仲間同士で殺し合うとは。愚かなり、人間」。
この漫画にネット上では、「手前で殺されるって最後にどんだけやばい策を指揮したのか……」「王様が出資を怠ったばっかりに...ブラックは伝染するのか...」「どうして自分が苦しんだから他人も苦しむべきって思考になるのか その時点で勇者の素質はなかったんだな」「魔王軍の方が福利厚生しっかりしている世界」「やっぱお金って大事だわ」といった声が寄せられていました。
この漫画を公開したのは、漫画家のベニガシラさん(@poppoyakiya)。現在単行本『サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話』を手掛けており、2巻が発売されました。
画像提供:ベニガシラさん(@poppoyakiya)
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