Twitterに投稿された“巨大キャベツ”が話題です。これは「札幌大球」という品種で、直径40〜50センチにまで育ちます。その大きさから農家への負担も大きく、生産が減っている野菜でもあります。
札幌大球が生まれたのは北海道。北海道では明治初期にいろいろな作物が栽培されるようになりました。キャベツは1871年に試作されたのを最初に広がっていきます。種子を輸入し栽培し、交配を繰り返し、自家採種をしていくなかで、大きくて貯蔵性がいい“札幌大球”が選抜され土着化していきました(参考:札幌伝統野菜「札幌大球」応援隊)。
昭和に入ると生産が活発になり、にしん漬けなど、北海道ならではの魚と野菜を組み合わせた漬物原料として欠かせない存在になります。しかし近年では、農家が高齢化し負担が大きくなったことに加え、家庭であまり漬物をしなくなるなどで需要も減り、徐々に生産されなくなっています。2014年の段階では6戸での生産にとどまり、消滅が危惧されていました。
そこで、札幌大球を守り育てようと2015年4月に「札幌大球応援隊」が発足します。大学の教授、当時の札幌市役所農政部長、料理研究家、野菜ソムリエ、お好み焼き屋の社長、お漬物会社の社長、スーパーマーケットの社長、メーカーの所長など、さまざまな立場の人が有志として集っています。今回、応援隊の方に話を聞くことができました。
――2014年頃には消滅の危機にあったとのことですが、現在は生産は増えていますか?
札幌大球応援隊:まず、2013年の段階で札幌における生産農家(いわゆる出荷農家)はありませんでした。途絶えていたのです。そこで、今は4軒の農家さんが生産しています。やすやすと広げられる作物ではないので、年間3000球を目安にしています。札幌大球は毎年10月20日から11月1週目までに全部収穫します。重たいので、農協さんや僕たち応援隊も手伝います。なので出回り時期も11月の10日くらいまでなんです。
――食べたい、購入したいという場合、どのような入手方法がありますか?
札幌大球応援隊:札幌のおとなりの石狩市や当別町などでも作られています。札幌産のものはホクレンショップや宮の森フーズバラエティすぎはらさんなどに並びます。
――漬物に適しているとのことですが、おすすめの食べ方はほかにありますか?
札幌大球応援隊:漬物のほか、お好み焼き、焼きそばに好適です。葉が肉厚で食べ応えありますよ。
――一緒に食べ支えて応援する「札幌大球オーナー制度」があるようですが、2021年の募集予定は?
札幌大球応援隊:2021年6月上旬から11月中旬まで募集します。2021年で7年目になります。こういう取り組みは止めてはなりませんね。賛同者の輪が広がると作り続けられるので、農業ってみんなで支えていくもんだとあらためて思いますね。
(高橋ホイコ)
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じゅわじゅわでおいしそうなんだけどな……。