梱包資材や細巾織物の老舗として知られる「本橋テープ」が開発・販売している「一升瓶ホルダー」が、ユニークな着眼点と便利さで話題を呼んでいます。どうして本気を出した(誉め言葉)。
話題になっているのは、「本橋テープ」が開発した商品「一升瓶ホルダー」3300円(税込)。一升瓶に取り付けることにより、一升瓶を肩掛けにして運べるという酒柱大歓喜の商品となっています。
本体部に取っ手が付いているので、瓶本体を持つ必要がなく、握力の弱い人や酔いが回って力が入りにくいというシーンでも活躍するのが特徴。ショルダーストラップには反射材が織り込まれたテープを採用している為、キャンプ場など薄暗い場所でも事故のリスクを減らせるとしています。
気になるのは一体どうしてこの商品が生まれたのか。ねとらぼ編集部は商品を開発した本橋テープの担当者を取材しました。
「一升瓶ホルダー」開発秘話
――SNSでも大きな話題になっている「一升瓶ホルダー」ですが、開発に至った経緯を教えてください。
担当者:弊社の事業は基本的に問屋さんに対するお取引がメインで、あまり表に出るような仕事ではありません。そんな中、地元静岡の御殿場にて“アソブ、オドロク、フジサン、キャンプ”をテーマにした「ACO CHiLL CAMP」というキャンプフェスが開催されるというお話があり、「どうしても出展したい!」と、何とか出展できる商品を開発しようと思い立ったのがきっかけです。
――キャンプ好きが高じて、という感じでしょうか。
担当者:キャンプも大好きなのですが、実は私自身、「ACO CHiLL CAMP」のオーガナイザーを務めているバンド「BRAHMAN」「OAU」(OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)の大ファンでして……(笑)。毎年ごあいさつとして地元の日本酒を差し入れさせていただいていたのですが、ある年、メンバーのTOSHI-LOWさんに直接一升瓶をお渡しさせていただく機会があったんです。
私としてはすごく光栄な機会だったのですが、日本酒をお渡しした際にTOSHI-LOWさんが一瞬戸惑ったような表情をされたのがすごく記憶に残りまして……。というのも、TOSHI-LOWさんはファンサービスをしっかりされる方なので、握手などの対応をされる際に一升瓶が邪魔になってしまって、かえって申し訳ないことをしたのではないかと、すごく心残りになったんです。
――そういうことがあったんですね。
担当者:そこから「TOSHI-LOWさんがストレスフリーでファンサービスできる商品は作れないか?」「そもそも“鬼”の異名をもつTOSHI-LOWさんが日本酒を背負ってふるまったら“鬼に金棒”になって面白いんじゃないか?」と試行錯誤した結果、現在の形の「一升瓶ホルダー」第1号ができあがりました。
――想像もできないような開発秘話ですが、TOSHI-LOWさんには無事にお渡しできたのでしょうか。
担当者:お渡しできまして、その年は「一升瓶ホルダー」を背負ってステージパフォーマンスしてくださったんです……! 本当に大感激でした。
この出来事をきっかけに、「せっかく良いものが出来たし、一過性で終わってしまってはいけない」と思い、元々お付き合いもあった井浦新さんがディレクターを務めるブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY(エルネスト)」さんとのコラボレーション「一升瓶ホルダー」を発表したところ、大変好評ですぐに完売となりました。この時点では「BRAHMAN」「OAU」のファンが「TOSHI-LOWが持っていたやつじゃん!」という形でご購入くださっていたのですが、「キャンパーにも需要があるんじゃないか」と気付き、反射板を取り付けたり、取っ手を改良したりして今の形になりました。
――SNSを中心に大きな話題になっていることについてどう思われましたか。
担当者:究極のマーケティングをした結果、なんだかすごいことになってしまったぞ……! という気持ちです。
現在は注文が集中しており、納品まで約1カ月待ちだという「一升瓶ホルダー」。酒豪のみなさんや、お友だちにのんべぇがいらっしゃる方はチェックしておくといい商品かもしれません。
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