親の期待に応えるために医大に通っていたら、家出した双子の妹が現れた――。かくたすずさん(@cactuses_manga)がTwitterで公開した漫画「絵に描いた春」が、ついつい「物語に入り込んでしまう」と反響を呼んでいます。心に染みるストーリーで、思わず一気に読んでしまう作品です。
医大生であるユキは、勉学への意欲を失い気味。もう1週間ほど大学に通っていません。「なにか面白いことないかなー」と妄想にふけるユキにぶつかってきたのは、家出していた双子の妹のハル。
2人の両親は、子供に自分たちの理想をねだり、世間体を気にする、いわゆる「教育虐待」に近い存在。最初は両親の理想に近づこうとする2人でしたが、ハルの方は次第に興味をなくし、理想から遠ざかる行動を取るようになります。
一方で、おとなしく従ったままだった兄のユキも、実は両親への不満をつのらせていました。無理に塾に通わせられ、わずかな距離も車で送り迎え。好きだった絵も「勉強の邪魔」とやめさせられてしまいました。そして雪が降るある日、ハルは家を出ていったのです。
久しぶりに再会し、大学から少し離れた喫茶店で会話する2人。ちょっとした隙に、ユキのスマホを奪うハル。実は二人の会話の裏では、ちょっとした事件が同時進行しており……。
兄のスマホを手に入れたハルはその後、結局どうしたのか。その行動と結果が、離れていても近く、近くても離れている、兄妹2人の関係と、両親との関係を、読んでいるこちらの心へ静かに伝えてくるのです。
わずかばかりの時間を過ごし、また別々の時間へと戻っていくユキとハル。この先、また、2人の時間が交わることがあるかも……いえ、ないかもしれません。ドラマの初回のような2人のエピソードは、そんな想像をさせる余韻を残してくれる物語。
果たして、どんなことが2人に起こったのかは、作品を読んで、その余韻をあなたも感じ取ってください。
作者のかくたたずさんは、Twitterで毎週金曜日の20時に漫画作品を投稿中。発表済みの作品はnoteでもまとめて読むことができます。
※作品提供:かくたすずさん
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