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【実物レビュー】ZOZOGLASSってどんなもの? プロの診断との違いは? パーソナルカラーアナリストが実際に使ってみました

今後の進化に期待できる、おもしろいデバイスでした。

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 ZOZOTOWNからリリースされたメガネ型デバイス「ZOZOGLASS(ゾゾグラス)」。「肌の色がわかる。わたしのコスメが見つかる。」というキャッチコピーで、アプリと組み合わせて肌の色やパーソナルカラーを計測できます。

ゾゾグラスレビュー
カラフルでキャッチーなデザインのZOZOGLASS

 「どうやって使うの?」「プロ診断とは何が違うの?」といった疑問を、パーソナルカラーアナリストが検証しつつレビューします。

Lily(リリィ):CSCA認定16タイプ・パーソナルカラーアナリスト、7タイプ骨格診断アナリスト。大学では服飾史を専攻。卒論は「18世紀フランスのファッションシルエットの変遷」。普段はスタイリングもするカメラマン。Twitter @LilyAnalyst


ZOZOGLASSってどんなもの?

 オンラインで衣料品やコスメを買う人が増えた現在でも、実際の商品を手に取れないことで悩むことは少なくありません。コスメを選ぶ際は、選択した色が自分に似合うかを多くの人が重視します。タッチアップができないことで服以上にオンラインで購入する難易度が高く感じるコスメ。ZOZOGLASSは、自己診断ではなかなか判断が難しいパーソナルカラー診断を、テクノロジーを使って手軽に体験できるアイテムです。

 8000以上ものブランドを取り扱うZOZOTOWNは、2021年春にコスメ専門モール・ZOZOCOSMEをオープン。これに伴ってリリースされたのが、オンラインでのコスメ購買を支援するデバイス・ZOZOGLASSです。ZOZOTOWNはこれまでにもZOZOSUIT、ZOZOMATなど、スマホアプリと組み合わせて「自分に合った」アイテムの買い物体験を提供してきましたが、コスメでも同様のアプローチを仕掛けました。

カラフルなデザインの理由

 まず目を引くのがカラフルなデザイン。ファッション的なデザインと思いきや、これは写真業界などで使われるカラーチャートと同じ目的をもって作られたものです。写真撮影の際には、光の環境を記録するために撮影の際にカラーチャートを撮影し、後からパソコンで色味を調整します。この作業を行うことで、色かぶりなど光源のばらつきを修正し写真の色味を統一できます。

 パーソナルカラー診断でも、診断時の光の色味はとても重要です。決められた時間の自然光や特別なライトを使い診断します。パーソナルカラーアナリストは色を細かく分析する訓練を積むので、目でホワイトバランスを補正することができます。パーソナルカラー診断においてリモート診断が難しい理由は、この光の環境が統一できないことにあります。それを解決したのが、このカラーチャート機能がついたZOZOGLASSです。

ゾゾグラスレビュー
カラフルなグラスの色データから、撮影環境によって変わる色を補正します

ZOZOGLASSからわかることって?

 パーソナルカラー診断は、目・肌・髪の色合いから最も似合う色のグループに分類するものです。肌色を構成する要因は、ヘモグロビンや皮下静脈の血液による色味と、カロチンやメラニンによる色味の2種類があります。ヘモグロビンは血液中の赤い色素で顔の血色に関係しており、メラニンは茶色い色素で肌の明るさに関係しています。

 ZOZOGLASSでは、ヘモグロビンとメラニンの計測が可能。つまり、肌の赤みと明るさがわかるということです。現在のアプリでは、上記の情報を元に「肌の色の近いファンデーション」を検索できます。肌にはこのほかに青みや黄色みも含まれているのですが、そちらは計測不能。このあたりにプロのパーソナルカラー診断との差を感じます。青みや黄色みが重要なカラーメイク(アイシャドウやリップ)にまだ対応していないのは、こうした事情が影響していそうです。

ブルベ夏の筆者が実際に計測してみました

 筆者は4シーズンではブルーベース・夏、16タイプではブライトサマーです。自然光+すっぴんの状態で診断したところ、ZOZOGLASSでの診断結果は「ブルーベース・夏」でした。ZOZOGLASS、なかなかの精度です。

 計測結果には「あなたの肌の色」「あなたの肌の色について」「フェイスパーツ別の色」「パーソナルカラー」の4種類のデータが表示されます。「あなたの肌の色」「あなたの肌の色について」の分析では、「明るいトーンのニュートラルカラー」「ナチュラルな赤みの肌色」との診断が。こうしたの情報を参考にすると、ヘモグロビンが多くメラニンが少ない方はイエベ春、ヘモグロビンが普通でメラニンが少ない方はブルベ夏、ヘモグロビンとメラニンが多い方はイエベ秋、ヘモグロビンもメラニンも少ない方はブルベ冬と診断されるのではと推測されます。

プロ診断との違いは?

 カラーアナリストから見ると、パーソナルカラー自体は合っていたものの、髪や目の色については計測に含まれていなかったので、本来のパーソナルカラー診断で根拠とする情報と比べると、要素がやや不足していると感じました。

 プロが行う診断では、ヘモグロビンなどの数値的な結果はでませんし、ZOZOGLASSでは髪や目の色など肌以外の診断や色そのもののアドバイスは完成していまん。そのため、ZOZOGLASSとその診断結果は、自己診断とプロ診断の間に位置づけられるちょっと変わった立ち位置のものだと言えそうです。

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筆者の診断結果。プロ診断と同じブルーベース・夏の診断でした(一部画像はZOZOGLASSアプリより)
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パーソナルカラー診断では出ない数値で結果を出してくれるのが特徴です(一部画像はZOZOGLASSアプリより)

 「フェイスパーツ別の色」は数値化されていませんが、左右の顔の色味や上唇と下唇の色味をカラーピックできるので、目では分かりづらい自分の顔の色味を知ることができます。今後、ZOZOCOSME内のチークやリップなどの検索ができるとしたら、こうした情報を頼りに対応していくのではと予想しています。

ZOZOGLASSをきっかけに色の世界に飛び込んで

 パーソナルカラーや骨格診断は、実は結果を知るだけでは情報を生かすことはできません。診断を受けてすぐの状態は、数学で言えば数式を覚えたばかり。自分で問題を解いたり応用してはじめて、知識を活用できるのです。

 実際に売られている服飾やコスメは、パーソナルカラーにぴったりのものばかりではありません。そのため、自分の似合う色を知った上でも、試着やタッチアップは非常に重要です。パーソナルカラー診断を実際にトライするのが難しいこの時勢だからこそ、ZOZOGLASSの診断結果をきっかけにさまざまなカラーにチャレンジして欲しいと思います。

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情報をもとにさまざまな色を試してみて、はじめて「似合う色」「好きな色」を自分のものにできる

 SNSでZOZOGLASSに関する情報を検索すると「プロ診断をするほどではないけれど試してみたかった方」や「ZOZOGLASSをきっかけにパーソナルカラーのプロ診断に興味を持った方」など、さまざまな反応を見ることができました。

 最近では、“失敗コスメ”や“事故”という言葉が出回り、自分に似合うものを知るはずのパーソナルカラーや骨格診断を消極的に捉える人を見かけることもあります。他人からの印象も大切ですが、色は選ぶことができる自己表現であり、自分自身が一番に楽しむもの。今まで色に興味がなかった人も、これからパーソナルカラー診断にチャレンジしてみたい人も、ZOZOGLASSをきっかけに色の世界に飛び込む楽しさを知ってほしいなと思います。

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