市販のファミコンカセット全1053本を、10年近くの歳月と約300万円をかけてコンプリートしたコレクターに祝福の声が集まっています。しかも全部箱と取扱説明書付きで、コレクション部屋がきらびやか!
念願を果たしたのは、Twitterユーザーのコーナー(@corner_mask)さん。任天堂の「ロボット」や「ファミリーベーシック」、バンダイの「ファミリートレーナー」など、特殊な周辺機器付きのタイトルまで完品でそろえています。
1053本と言いながら、同じタイトルを複数所持しているケースもあって、全体の個数はそれ以上。また、市販品とは別に、「パンチアウト!!」(任天堂公式ゴルフゲーム大会の賞品)や、「ドンキーコングJR.&算数レッスン」(シャープのファミコン内蔵テレビ「C1」に同梱)といった一部の非売品もカバーされています。
ツイートにはたくさんの「おめでとう」とともに、「憧れのファミコンコンプ」「箱付きなのが想像を絶する」「飾り方もきれいでおしゃれ」と称賛の声が。大反響を呼んだコーナーさんに、コンプまでの苦労などを詳しく聞きました。
箱の状態に納得できなければ買い直し
―― カセットを集めようとしたきっかけは?
コーナー:直撃世代だった自分にとって、ファミコンは数あるゲーム機の中でも一番思い入れが強いものです。30歳を過ぎたころになって、立ち寄ったリサイクルショップで大量のカセットを見かけて、懐かしくなっていくつか購入して遊んだら、当時の思い出がいろいろとよみがえってきました。
そこから気持ちに火が点いて、当時遊んでいなかったカセットにも興味が湧き、お店に行くたびに自分の知らないゲームを見つけては買ってを繰り返すようになりました。
カセットのみのコンプリートは4年ほどで達成したのですが、幼少のころによく行ったゲームショップのように、パッケージを並べて陳列したいという夢を抱き、今度は全て箱・取説付きで集めようと動いた次第です。
―― 最後に手に入れた、1053本目のタイトルは何でしたか。
コーナー:初代「ロックマン」でした。入手困難なソフトではないのですが、機会に巡り会えなくて。
―― では、最も入手困難だったゲームは?
コーナー:「データック」(※)用タイトルの「バトルラッシュ Build Up Robot Tournament」です。もともと販売本数が少ないうえ、発売がファミコン末期でしたから、お店でもほとんど見かけることはありませんでした。ヤフオクでたまに出品されても、競争相手が多く高騰しがちで、何度挑んでも落札できなかったんです。そんななか、昨年(2020年)たまたまフリマアプリで発見し、念願叶って購入できました。
※バンダイが1992年に発売した、ファミコンのカセット端子に挿入して使うバーコードリーダー。さらに、「バトルラッシュ」のような専用カートリッジを付けてプレイする
―― やはり箱・取説付きですと、集めるのは難しそうですね……。
コーナー:海外コレクターにも人気で、競争相手が多く難しかったです。販売本数が多いタイトルならはヤフオクなどでも頻繁に出品されますが、生産数が少ないソフトで箱・取説付きとなると、購入機会もめったになく、激しい競り合いがたびたびありました。
さらに、自分は箱と説明書の状態が良いものにこだわって集めていたので、届いた現物が想定より痛んでいたケースも多く、納得するものに巡り会うまで同じソフトを何回も買い直したこともありました。
―― 集め始めた10年前に比べて、中古ファミコンソフト市場は変わりましたか。
コーナー:確実に変わっていると思います。10年前までは安価だった品も、現在では価格が高騰しているように感じます。ニンテンドークラシックミニの発売などで関心を持つ人が増えたり、海外在住コレクター向けの買い付け代行業者が増えたりと、さまざまな要因がありそうです。
また、ハードオフやブックオフといったリサイクルショップでも、10年前までは安いカセットを探す楽しみがありましたが、こうした店も最近では専門店を参考に相場価格を決めるようになりました。希少性の高いソフトについては、ショーケースでの出品が多くなったと感じます。
―― 1053本の中で、一番好きなゲームは?
コーナー:「ドラゴンクエストIV」です。発売当時は小学校低学年で、それまでドラクエ以前にRPGというジャンル自体が未経験でした。
発売日に兄が購入し、遊んでいるのを横で眺めていて、曲やモンスターがなんて魅力的なんだと、心を打たれました。兄のクリア後に自分も挑戦しましたが、初RPGということもあって大苦戦。兄のアドバイスを受けつつ、かなり時間をかけてなんとかクリアできた思い出もあって、群を抜いて好きです。
一つの目標は達成しましたが、コーナーさんのコレクション道はまだまだ終わらない様子。次は未所持の銀箱(※)や、ディスクシステム用ソフトをメインに集めていくとのことです。
※「デビルワールド」(1984年)から任天堂が自社タイトルに導入した銀色のパッケージ。ほぼカセットとジャストサイズだったそれまでの箱に対しひとまわり大きい。「ドンキーコング」などの初期タイトルも、再販時に銀箱へリニューアルされているため、同じタイトルでもバージョン違いが発生。そのうえ、銀箱自体にもバーコードの有無など微妙な違いがあって沼が深い
画像提供:コーナー(@corner_mask)さん
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