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『ルックバック』犯人描写に修正 ジャンプ+編集部「偏見や差別の助長避けたい」(1/2 ページ)

既に修正版が公開中です。

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 少年ジャンプ+編集部が、藤本タツキさんによる読み切り漫画『ルックバック』の一部表現の修正を発表しました。「ジャンプ+」上では既に修正版が配信中です。

 『チェンソーマン』で知られる藤本さんによる、7月19日公開の読み切り作品。同作はその内容のセンセーショナルさから、公開直後にはTwitterトレンド1位を記録。これまでに閲覧数500万以上を記録するなど、大きな評判となっていました。しかし作中の一部表現を巡り、特定の精神疾患を持つ人への差別を助長するのではないかとの批判も見られ、議論を呼んでいました。

 今回修正されたのは、作中の殺人犯まわりの描写。修正前は、犯人が自分の作品を盗作されたと訴え、幻聴や被害妄想により凶行に及んだかのように描写されていました。修正版ではこうした描写が差し替えられ、より無差別な通り魔殺人として描かれています。

 当初の描写に対しては、同作をラジオ番組で好意的に取り上げた評論家の荻上チキさんが「特定の精神疾患群に対して、『対話不能な凶悪犯罪者』であるというステレオタイプ的な読解を生み、補強しうるというのは、その通りだと思います」と補足する文章をWeb上で公開したほか、精神科医の斎藤環さんが「私は本作の出版を、2021年の漫画史に刻まれるべき悦ばしい出来事として記憶にとどめたい。だからこそ、紙媒体での出版に際しては、アンチスティグマのための配慮を強く求めたい」と、意見を表明する動きなどもありました。

 少年ジャンプ+編集部は今回の修正について、「作品内に不適切な表現があるとの指摘を読者の方からいただきました。熟慮の結果、作中の描写が偏見や差別の助長につながることは避けたいと考え、一部修正しました」と説明しています。

 『ルックバック』は9月3日に単行本が発売予定です。

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