少しだけ大人になったときに、ふと湧き出る切なくてわびしい気持ち。あの時の心情を思い出させる漫画「こころよるやま」がほんのりビターで染み入ります。
人の顔色を伺って言いたいことが言えない、小学生のひろ。ある日、彼は学校の遠足で登った山でキラキラと光る石を拾います。
不思議な石を拾ったひろの周りにはすぐさま人だかりが。石は「先生に見せよう」とはしゃぐクラスメイトにもぎ取られてしまい、学校に帰ってから持ち主をジャンケンで決めることになってしまいました。
教室の隅で落ち込むひろに男子生徒たちが近づき、石を盗んでしまえとそそのかします。「べつにいいってばあ…」と弱々しく断るひろでしたが……。
次の日の朝、なくなった石はひろが盗んだのだとうわさが教室中に広まっていました。居心地の悪さに思わず目を閉じて耳をふさいでいると、「おはよう!」とあいさつしながら“先生”がやってきます。ひろは“先生”の姿を見た瞬間、異変に気付きました。
というのも、今日の先生はいつもの先生とは全くの別人。ところが、クラスメイトたちは全く気付いていません。難なく朝の会を終えた謎の先生は、ひろの机に寄り「放課後少し話そうか」と声をかけます。その後、ひろは男子生徒たちに「絶対俺たちのことは言うな」とくぎを刺され、顔を曇らせていました。
放課後、ひろは教室で先生と二人きりに。ひろを疑う先生は石を返してと詰め寄りますが、彼が絞りだした言葉は「先生はだ………れ」。すると、先生の顔つきが見る見る変わっていき……? 謎の先生の正体と気になる結末は、ぜひ漫画を読んでみてください。
前半は気弱な小学生の心情を丁寧に描写し、中盤からは思いもよらないドラマティックな展開がある漫画「こころよるやま」。作者は漫画家の景山さん(@unyamho)です。同作は講談社が実施する「モーニング月例賞」の奨励賞を2020年11月に受賞しています。
作品提供:景山さん(@unyamho)
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