10月10日、JR東日本の基幹変電所で発生した火災の影響で、山手線など首都圏10路線が停止。そのあおりを受けて塾から帰れなくなった小学生のエピソードが、非常時対応の参考になるとTwitterで話題です。
災難に遭ったのは、投稿主のズル賢い母ちゃん(@mama_work_hard)さんの娘さんと塾の友だち。うち何人かは携帯電話を持たされていましたから、親に迎えの車を頼めば済みそうな状況ではあったのですが、うまく連絡がつかなかったり、車を持たない家も多かったりで、なかなか都合がつかなかったそうです。
また、子どもたちのなかには親の番号を覚えていない子も。覚えている子がいても、キッズケータイは未登録の番号への発信に(親がセキュリティのために教えていない)暗証番号の入力が必要だったり、全員公衆電話の存在をすっかり忘れていたりと、連絡がつくまでかなりの混乱があったようです。
親を待つにしても、今度は食事や居場所の確保が問題に。Suicaでの買い物に慣れている子はコンビニで軽食を買いましたが、投稿主の娘さんは食べずに我慢していました。非常用にと現金1000円を渡されていたものの、手を付けていいか判断できず、小銭ばかりなのが恥ずかしくもあって使えなかったのだそうです。
1人「ファミレスに入ろう」と提案する子もいましたが、「子どもだけで入っちゃいけない」「お金が足りるか不安」といった意見もあり、子どもたちは結局コンビニ前で立ち話して過ごしました。お腹が空けばすぐ買い物できるし、トイレも使えますしね。
最終的に、子どもたちは1人の親に迎えられ、全員帰宅できました。車を出してくれたのは、家の電話番号を覚えていた、携帯電話を持っていない子の母親だったそうです。
当時は勤務中で自分のスマホを受けられない状況にあった投稿主は、娘さんの無事を喜んだものの、「勤務先の番号を娘の携帯に登録しておくべきだった」といった反省もあり、あらためて非常時の対応を見直すことに。「電車が止まって帰れないのは十分に非常時だからお金は使ってよい」「Suicaと違って、電気が止まっても使える小銭は非常時に強い」「タクシーは降りたときにお金を払うのだから、乗れるなら親を頼るつもりで利用してよい」など、あらためて娘さんと話し合いました。
親子ともども良い学びとなったと振り返る投稿主に、編集部は詳細を聞きました。
―― これまでお子さんと非常時の対応について、どんな取り決めをしていましたか
投稿主 私自身、娘が2歳のころに東日本大震災を経験し、被災地ではないにもかかわらずいろいろな不便を経験したので、そのときから備蓄を十分に用意したり、娘にもさまざまなケースと対応策を伝えたりしていました。例えば、「緊急車両のさまたげになるため、親は迎えの車を出せない前提で動く」「安否確認や居場所を確保できるよう、最寄りの避難所に留まる」「普段から水分と小銭、衛生用品を持ち歩く」などです。
―― そこから、今回の件を受けて変えようと思ったことはありますか?
投稿主 備えについて教えていたにもかかわらず、実際にそういう場面になるとなかなかアウトプットができないものだと思い知らされました。また、子どもはアナログな時代を経験していないので、不便に対応する力が欠けていることも気付きました。
私自身も現代の子がここまでアナログな発想にとぼしいとは思わず、思考の寄り添いや、教え方について考えさせられました。今は「現代だからこそ起こり得る問題」を掘り下げていく必要があるのだと感じています。
―― お子さん自身は今回の件をどのように受け止めていましたか
投稿主 娘は「難しく考えすぎた」「家に帰ることしか考えてなかった」と話していました。電車が止まっただけなので、災害とまでは行かず、そこまでの非常事態だと受け止めていなかったようです。あらためて、地震や台風などの災害だけでなく、停電や公共機関が使えない場合も「非常事態」なのだと話をしたところ、分かってくれたようでした。
協力:ズル賢い母ちゃん(@mama_work_hard)さん
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