もしも人の幸福度が数値として見えたら……? 不思議なメガネの漫画が考えさせられる(1/2 ページ)
見えるのは生まれてから死ぬまでに起こる幸と不幸を相殺して残るトータルの数値。マイナスだからといって現状が不幸とは限らない。
レンズ越しに見た人の幸福度が数値として見える、不思議なメガネを持つ女の子の漫画が、幸福とは何かと考えさせられる内容で味わい深いです。作者はTwitterユーザーのなまくらげ(@rawjellyfish)さん。
メガネが見せる数字は、人の生涯に起こる幸福と不幸を相殺し、残った分を±100の範囲で表したもの。例えば、幸福の量が24、不幸の量が6であれば、その人の人生における幸福度のトータルは、24−6で18となります。
主人公がメガネをかけて教室を見渡すと、賢くてかわいい人気者の藤咲の幸福度は60で、いじめられっ子の宇治池は−10。一見すると、大きな格差があるように思えます。
しかし、メガネが見せるのはあくまでもトータルの数値で、当人の現況と合致するとは限りません。実際、幸せなはずの藤咲は、なぜか突然自ら命を絶ってしまいました。これほど不幸なこともないように思えますが、もしかしたら彼女がその先にあった「死よりも不幸な運命」から逃れた結果、トータルではプラスになっただけなのかもしれません。
その一方で、いじめに苦しむ宇治池は、未来を信じて生き続けています。現状が大きなマイナスなだけで、その先で大きく挽回できるのかもしれません。
そもそも、人は幸福度の数値など自覚せずに生きているわけですから、当人の現状と生涯の数値が乖離するのも当たり前ではあります。主人公の友人、那州舞花もそんなケースの1人。底抜けに明るくて幸せそうな人柄とは裏腹に、頭上の数値は「−28」と出ています。
現状からそこまでマイナスに転じるとしたら、将来に大きな不幸が那州に訪れるのではないか? ふと思った主人公は、「もし自分の人生が不幸に終わると先に分かったらどうする?」と聞いてみました。
悩みながらも那州が出した答えは、「もうだめだ! って思うまであがくしかないし、それでもだめだったら諦めるしかないかも」。こんなに明るい彼女でも不幸な未来にはあらがえないのかと、主人公は顔を曇らせます。
それでもポジティブな那州は、こう付け加えます。将来が不幸かどうかなんて、不思議な力でもない限り誰にも分からないことなのだから、「絶対幸せになるぞーって毎日楽しく過ごすしかないかな!」と。
人は己の幸福度など知り得ず、思うように生きている――。主人公があらためてメガネの無意味さに気付かされたところで、物語は終息に向かいますが、彼女の知らない事実がまだ1つ。ちょっとブラックな結末はぜひ漫画本編でご覧ください。
作品提供:なまくらげ(@rawjellyfish)さん
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