「自販機に入ってるジュースって何本?」「アルミボトル缶の水って見たことある?」 実は知らない自動販売機のアレコレ
自動販売機の豆知識から、SDGsにつながる最新の取り組みまで「自販機博士」に聞いてきました。
アイテムの豊富さや設置台数の多さなどから、世界一の自販機王国とも言われる日本。いつも何気なく利用しているけれど、ふと考えて見ると「1つの自販機の中にどれくらいの飲み物が入っているのだろう?」「自販機にどんな飲み物を入れるか、誰が決めているの?」と、知らないことがたくさん……。
ねとらぼでは今回「当たりつき自販機」など特色ある自販機でおなじみのダイドードリンコに、知っているようで知らない自販機のアレコレを取材。そこには「誰かに話したくなる!」や「地球に優しい自販機が!?」と、驚くようなお話が詰まっていました。
まずは自販機の秘密に迫るべく、都内某営業所での取材に現れたのは、ダイドードリンコの「自販機博士」。
大量のジュースが、あっという間に吸い込まれていく! 自販機の補充作業に密着
早速ですが、1台の自販機にはどれくらいの飲み物が入っているんですか?
こうした平均的な大きさの自販機の場合、満杯で約500本です。
500本! それではその中身、「このジュースを入れよう」「そろそろ“あったか〜い”を入れよう」みたいなことは、いったい誰が決めているんでしょうか?
自販機に入れる商品は、最初は設置場所のオーナーさんの希望を聞いた上で決めますが、そこから何をどれくらい補充していくかというのは、実際の売れ行きを見て判断していきます。ただ、新商品が発売されるタイミングや、担当者の「ここではこの商品が売れる!」という判断があれば、それをセットすることも可能です。
さすがに、補充スタッフさんがその日の気分や好みで入れていく……とかではないですよね(笑)。では、各自販機に補充する中身というのは、誰がどこで準備をしているんでしょう?
まずは補充数量を決める担当者が、各自販機の在庫状況をデータで確認し、補充リストを作成します。補充担当はそのリストに基づいて、必要な商品を前日にトラックへ積み込み、翌日は朝から各自販機を回っていきます。今日はせっかくなので、実際の作業を少し見ていきませんか?
これは何をしているところなんでしょう?
前日の準備で漏れていた商品や、当日に追加で必要になった商品などの積み込み対応です。基本は前日のうちに準備しているので、出発前の作業は5〜10分くらいで済みますよ。
手から自販機へ、ジュースがどんどん吸い込まれていくみたい……! 改めて見ると、圧巻のスピードですね。
補充先での作業は大体15分くらいですね。ただ秋口や春先、ホットとコールドの切り替え時期などは大変で、作業量が多くなるので時間もかかります。
補充の後に、自販機を拭くことまでしているんですね。やはり新型コロナウイルス対策の一環なんでしょうか?
もちろん現在ではその意味もありますが、ダイドードリンコでは、コロナ禍の前から補充作業の最後に自販機を拭いていました。ダイドードリンコは自販機の1台1台をお客様と対面する「お店」と考えているんです。一般的な店舗であれば、店先をお掃除しますよね? それと同じように、自販機を拭いています。
しゃべる! クジが当たる! マスクや除菌スプレーも買える!? 「お店みたい」な自販機
お店といえば、ダイドードリンコの自販機は20年ほど前から「おしゃべり機能」を標準装備していて、時間帯ごとに違う挨拶をするんです。場所によっても挨拶は異なっていて、方言だけで17種類、外国人の方が多い場所だと英語・中国語・韓国語・ポルトガル語の挨拶ができる自販機もあります。
しかも、定型の挨拶だけじゃなく、自販機のオーナーさんの意向でしゃべる内容も変更できるんです。たとえば、ある会社の中に設置されている自販機は、社長からの労いの言葉が掛けられるようになっているとか……ほかに珍しいものだと、新東名高速道路の長篠設楽原PAには、戦国武将たちがしゃべる自販機もあります(笑)。
しゃべらない設定になっているケースもありますが、ダイドードリンコの自販機を見たら「何かしゃべるかも」と楽しみにしてもらえるとうれしいです。
ダイドードリンコの自販機というと、当たりつき自販機を思い浮かべる人が多いと思うんですが、ほかにも楽しい仕掛けがいろいろあるんですね。ちなみに筆者は、過去に2回「当たり」を引いたことがあります!
それはツイてますね! そういえば、みなさんに親しんでいただいている当たりつき自販機ですが、当たってから30秒以内に商品を選ばないと「当たり」が消えてしまうってご存知でしたか?
えっ! そうなんですね。もう1本を何にするか迷っていて「当たり」が消えちゃったら悲しい……。
当たり状態のまま放置されて、ボタンの故障やいたずらと間違われることがないように、商品を選ぶまでの時間は「30秒以内」と設定されているんです。せっかくの当たりを無駄にしたくない人は、ボタンを押す前に「当たりが出たらこれにする!」と決めておくといいかもしれませんね。
ツキをものにするには、決断力とすばやさが重要なんですね……! 覚えておきます。ほかにも、ダイドードリンコならではのレアな自販機というのはあるんでしょうか?
ダイドードリンコでは「お客様が必要とするものを」との観点から、さまざまな種類の自販機を積極的に導入しています。高速道路のサービスエリアや道の駅を中心に設置している「紙おむつ」や「おしりふき」が購入できる「紙おむつ自動販売機」は、設置台数が200台を超えました(関連記事)。
また、最近では新型コロナウイルスで使用頻度が増えたマスクや除菌スプレーなどを自販機の商品ラインアップに加えています。こうした商品を扱う自販機を「公衆衛生ベンダー」と呼んでいます(関連記事)。
飲料メーカーという枠にとらわれず、他の企業ともコラボレーションし、時代やニーズに合わせた新たな商品・サービスを、人々に身近な自販機を通じて提供していきたい――それがダイドードリンコの考え方なんです。
使う人にとっての利便性を第一に考えているから、ジュース以外のアイテムなど、自社製品でないものも積極的に取り入れることができるんですね。
「アルミボトル缶の水」って見たことある? SDGsを意識した最新商品も登場
ダイドードリンコさんは最近でも、顔認証だけで決済ができる自販機「KAO-NE(カオーネ)」(関連記事)や、自販機とスマホを通信させることでポイントが貯まるサービス「Smile STAND」アプリ(関連記事)といった、ユニークな取り組みを始めていますよね。
ありがとうございます! 「KAO-NE(カオーネ)」は非接触での決済を普及させたい、「Smile STAND」は毎日が楽しくなる未来型自販機を広めたいというように、どちらも“社会の役に立つ”自販機としての魅力向上を目指して生まれたサービスです。
単に目新しいものをということではなく、自販機を通じて社会の役に立つことを考えているんですね。
さらにダイドードリンコは2021年、SDGsへの貢献を目指す「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」も始動させました。そうですね……ここからは、このプロジェクトについて詳しい、中鉢さんにバトンタッチします。
自販機博士、最後まで素顔を見せずに去って行った……。中鉢さん、「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」とはそもそも何なんでしょうか?
ダイドーグループでは、持続可能な循環型社会の形成を目指し、“ダイドーグループSDGs宣言”を策定しました。その取り組みと普及を推進していくために、「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」というプロジェクト名で、SDGsを推進するためのさまざまな活動を行っています。
なんだか難しい話になってきました。具体的にはどんな活動をしているんでしょうか?
わかりやすい例では、配送トラックにハイブリッドカーの導入を進めて使用燃料を削減するという取り組みのほか、配送ルートや補充回数といったオペレーションについても見直しを行うなどして、二酸化炭素排出量の削減に努めています。
また、ダイドードリンコでは元々“商品を購入すると、その一部が募金になる”といった制度が複数あるのですが、「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」では特に「緑の募金」自販機の設置を積極的に進めています。「緑の募金」自販機では、その売上の一部が全国の緑化推進活動費用に寄付されます。
なるほど、イメージが湧きました。そういえば、目の前に置かれているこの商品にも「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」と書いてありますが、こちらは?
「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」の一環で開発した、「LOVE the EARTH シリーズ」という商品ラインアップになります。
コーヒーのボトル缶はよく見かけますが、水や麦茶、緑茶などのアルミ缶というのはレアな気がします。
世界的な脱プラスチックの動きもあり、リサイクルによる資源循環と並行して、プラスチック以外のパッケージを求める社会ニーズにも応える必要がありました。そういったニーズに対する一つの選択肢として、ペットボトル商品で特に需要が高い「水」や「お茶」などの飲料をアルミボトル缶でも製品化することにしたんです。
現在のラインアップは6商品。「ダイドーブレンド華やぐコクのBLACK ラブジアース」「ミウ ラブジアース」「ミウ プラススポーツ ラブジアース」「ミウ 炭酸水 ラブジアース」「おいしい麦茶 ラブジアース」「葉の茶 宇治抹茶入り緑茶 ラブジアース」
アルミボトル缶は、捨てるときにラベルやキャップを外すといった手間がかからないのもうれしいです。
ただ、ダイドードリンコでできるのは「商品を開発する」というところまでなので、こうした商品を求めてくださるパートナー企業の皆さんがいないと、実際の導入は広がっていかないんです。
「アルミボトル缶の商品を作りました」で終わり、じゃないんですね。難しいところです。
「このボトルを買えばいいんだ!」 自販機を通じて、社員のSDGsに対する関心が上がった企業
大日本住友製薬さんは、そんなダイドードリンコの取り組みに賛同して「LOVE the EARTH シリーズ」の商品を社内自販機に導入していただいているパートナー企業のひとつです。今回は、大日本住友製薬さんの社内でこの取り組みに協力いただいている、辻田さんと山田さんにもお越しいただきました。
大日本住友製薬さんでは、どういった経緯で「LOVE the EARTH シリーズ」の商品を社内自販機に導入することになったのでしょうか?
大日本住友製薬では、従業員一人ひとりが環境問題を自分ごととして捉え、SDGs達成のためのアクションを起こせるように、以前から社内で呼びかけを行っていました。具体的には、マイボトル・マイカップの持参を推奨したり、リサイクル可能なゴミをきちんと分別するよう積極的に呼びかけたり、などですね。
アルミボトル缶なら、オフィスのプラスチックごみ削減につながりますし、SDGs達成を目指すダイドードリンコさんの企業姿勢も当社の目指すところと合致していると感じました。
そこで「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」のパートナー企業となって、こちらの商品を社内自販機へ導入することにしたんです。
とはいえ、社内の休憩スペースに設置する自販機ですから、従業員が飲みたいと思うものを置いておきたいという気持ちも大きかったです。そこで社員にも意見を聞いてみると、「夏場は冷たい炭酸のジュースが飲みたい」「ちょっと考え事をしたい時、炭酸水を飲むと頭がスッキリする」といった声が多くありました。
炭酸水や炭酸飲料の商品は、他社さんですとほとんどペットボトルでしか出ていないのですが、ダイドードリンコさんの「LOVE the EARTH シリーズ」ならアルミ缶でそういった商品が出ていて。そこも大きかったですね。
ダイドードリンコさんの自販機は、コーヒーや水、お茶といった定番だけでなく、メロンソーダやエナジードリンクもあるし……私の個人的なお気に入りは、トマトジュースです(笑)。商品の種類が豊富なのが、やはりいいですよね。
需要がなければ、新しい商品を作ることは難しいです。ただパートナー企業のみなさんがこうして賛同してくださっているおかげで「LOVE the EARTH シリーズ」のアイテムは少しずつ増やせている状況にあります。種類が豊富な方がうれしいと言っていただけたことですし、これからはもっとアイテムを増やしていくことも考えたいですね。
さすが、使う人のニーズを第一に考えるダイドードリンコさん……!
それと、弊社オフィスに置いているこちらの自販機には「緑の募金」という仕組みも導入しています。 こちらもダイドードリンコさまが提案してくださったのですが、SDGsへの関心が高い社員を中心に評判が良いです。
近年はSDGsへ関心を持つ社員が増えてきたので「何か自分たちにもできることはないか」と声を掛けていただく機会も増えています。そこで「この自販機で飲み物を買うと、売上の一部が緑化推進活動に寄付されるんだよ」と答えると、「そうなんだ! じゃあこの自販機で買うね」と言ってくださる人が多いですね。
身近な消費活動を通じて気軽にSDGsにつながる募金ができるというのは、非常にいいことだと思います。
自販機を通じてお役に立てていること、とてもうれしいです。今後も、SDGsを推進しようとされる企業や個人の方に「みんなのLOVE the EARTH PROJECT」を通じてさまざまな選択肢を提供できるようにしていきたいです。
日常で気軽に利用するサービスの中で、そういった選択肢が選べるというのはいいですね。これから「LOVE the EARTH シリーズ」を見かけたら、今回のお話を思い出して手に取ってみたいと思います。
普段何気なく利用しているけれど、実は日々進化を重ねていた自販機。今回の取材では、「自販機メーカーとして社会に貢献できること」を考え続けているダイドードリンコだからこそ生まれたサービスや商品について、さまざまなお話を聞くことができました。
おいしくて、手軽で、そして“地球の未来にやさしい”選択肢といえる「LOVE the EARTH シリーズ」、見かけた際には手に取ってみてはいかがでしょうか?
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提供:ダイドードリンコ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ねとらぼ編集部/掲載内容有効期限:2021年12月14日