子育てについて、ネットからもさまざまな情報が得られる現代。一方で、子育て情報サイトが掲げる「理想の育児」にがんじがらめになってしまうことも。そんな経験を描いた漫画がInstagramに投稿され、大きな反響を集めています。
漫画の作者は3歳の娘・ヒナちゃんを育てるしぃ(shiii_yuruguda)さん。しぃさんは、育児サイトで「『叱る』と『怒る』は違う!」「『ダメ』など否定語や禁止語はNG!」など「子どもへの理想的な接し方」を知り、実践したいと思いました。
しかし、観葉植物をちぎるヒナちゃんに「ダメって言ってるでしょう」と叱りつけてしまい、早速失敗してしまったと落ち込みます。
さらに、しぃさんが妊娠からくる頭痛とおなかの張りに耐えながら作った夕飯を、好き嫌いの多いヒナちゃんが「ヤダー」と吐き出してしまいます。猛烈に腹が立ったしぃさんは、思わず机をたたいてしまいました。ヒナちゃんはその音に驚き、声を上げて泣きだしてしまいます。
しぃさんはハッとし、怒りをあらわにしたことを深く後悔します。そして、脅したり、お菓子で釣ったりなど、育児では「NG」とされていることを、良くないとわかっているのにやってしまう自分に深く落ち込み、涙を流すのでした。
「強く怒っちゃってごめんね。机バンってして怖かったよねぇ」と謝るしぃさんに、「泣かないで」とティッシュを差し出すヒナちゃん。「ヒナもワガママ言ってごめんね」と落ち着いた様子です。娘のそんな姿にしぃさんは思わず「もう人として完敗よ!!」と心の中で叫ぶのでした。
その夜、眠るヒナちゃんの隣で、しぃさんは育児情報サイトを見ながら思いました。理想の子育てがしたい。理想の母親でいたい。とはいえ、「理想」を実践しようと追い詰められてしまうくらいなら、余裕がないときは「衣食住を与える!」「虐待しない!」「ケガや病気は病院へ!」「愛情を注ぐ!」ができていれば「みんな最高の親」だと考えた方がいいのかもしれない。そう考え、眠りについたしぃさんなのでした。
この漫画には「わかりみが深過ぎました」「ほんと分かります!」など、多くの共感が寄せられています。怒りたくないけれど「普通の声のトーンだと聞いてない」「キャパオーバーで出来ない」など、理想通りにいかないという人も少なくないようです。また、「漫画にして下さってありがとうございます。救われた気がします」というコメントも見られました。
親でも、体調が悪かったり、子どもの言動にショックを受けたりして、気持ちの余裕を失うことはあるはず。そんなときは一旦理想からは離れ、しぃさんのように「できていること」を大切にできたらいいのかもしれません。
しぃさんは、ヒナちゃんとの日常を描いた作品をInstagram、Twitterや、ブログ「しぃ*ゆるぐだ育児日記」で公開中。育児情報発信メディア「ninaru ポッケ」でも漫画を連載中です。
作品提供:しぃさん(shiii_yuruguda)
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