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TBS「ジョブチューン」炎上で無関係なシェフへの中傷相次ぐ 代表「何年もかけて築いた評価が一瞬で崩壊した」(1/2 ページ)

そもそも誰に対しても誹謗・中傷はやめましょう。

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 TBSの番組「ジョブチューン」に出演した審査員のシェフと勘違いされ、無関係なシェフの店が誹謗・中傷、迷惑行為の被害を受けていることが分かりました。話を聞いたシェフは「何年もかけて築いた評価が一瞬にて崩壊しました。応援してくださる方々によりほぼ評価の数字は回復しましたが、元通りといえるのか…」と嘆いています。

被害にあった店の投稿 とんだ災難です

 ことの発端は、1月1日に放送された「ジョブチューン」で、審査員がコンビニの商品を合格か不合格か判断する企画。審査員のシェフがコンビニのおにぎりを食べずに合否を判断しようとしたことから批判の声が上がりました(最終的にはおにぎりを食べています)。

 その審査員と誤認され、被害にあってしまったのは目黒から軽井沢に移転準備中の飲食店「リストランテ小林」。同店の代表小林孝好さんと「ジョブチューン」に出演した審査員の名字が一致していること、その審査員が軽井沢に店を構えていることなどから勘違いされ、被害にあったもようです。

 同店によると、被害に気付いたのは番組放送後の2日。番号非通知からの着信は拒否する設定にしていましたが、朝から無言電話が数件ありました。そのうえ留守番電話には、審査員の名前を呼び「出せ、なぜ出ないんや」と怖い声の録音も。同日夕方にはGoogleで同店の評価が急降下しました。「食べもしないで評価するシェフの店なんて行きたくない」とも書き込まれたということです。

 被害を食い止めるため、小林孝好さんは同日中にTwitterやFacebookで勘違いされているであろうことを報告。また、Googleについた口コミ1つ1つに、人違いであり、誹謗・中傷には法的な対策を取る旨を書いて返信しました。影響力の大きいTBSから勘違いであると発表してもらおうと、相談もしたということです。

 その結果、評価の数字は回復。TBSもTwitterに「この度の番組出演者、番組とは無関係のお店に対してのSNSをはじめとする誹謗・中傷、迷惑行為はお止め頂きたくお願い申し上げます」と投稿しました。

 今回の一連の経緯を聞くため、被害にあった小林孝好さんにお話を伺いました。

――いつから、どのような被害がありましたか

小林孝好さん 気付いたのは2日の夕方です。思えばその日の朝から無言電話が数件ありました。ただ、もともと非通知拒否にしているため、さほどではありません。

 17時過ぎくらいに、Googleの評価が急降下しました。あらためて確認すると、星1つだけ残して去っていく方がどんどん増えました。「食べもしないで評価するシェフの店なんて行きたくない」という書き込みがあり、「あれ?これは誰かと間違えられている?」と調べたところ、今回の炎上騒ぎを知りました。審査員のシェフはもともと中目黒でお店をやられていたことがあり、現在は軽井沢でやられているということ。私達のお店も目黒にあり、軽井沢への移転を控えていること、小林孝好という、少し似た名前で間違えられている! と気付きました。

――どのくらいの件数が来ましたか

小林孝好さん 無言電話は数件です。Googleの評価は1つ1つ「小林違い」であることと、誹謗・中傷は法的な対策を取ると返信したところ書いては消され、という流れでしたので正確には分かりません。

 ただ、私達の確認できない場所でも間違った拡散があったと思うので、それは数字では追えませんが、ネット上の消せないキズになりました。

――一番困ったことはどのようなことでしたか

小林孝好さん 何年もかけて築いた評価が一瞬にて崩壊しました。その後応援して下さる方々によりほぼ評価の数字は回復しましたが、それが元通りといえるのか……と思うとつらいところです。留守番電話に「出せ、なぜ出ないんや」と怖い声を残されたときは恐怖を感じました。

 移転準備のため、2021年12月31日で店を閉めたところです。軽井沢への移転のためいよいよスタート!という元日にこんなことが起きるとは…。

 新しいお店はこれから建築するため再オープンは1年以上先ですが、このことが影響を及ぼさないか心配です。軽井沢町は環境などに非常に配慮されている自治体です。付近の方に誤解を与えないか、これから受ける許認可関連がスムーズに行くのか、とても心配です。うちは地元の方も気軽にお越しいただけるくらいの価格のお店を予定しているため、地元の方に嫌がられてしまっては成り立ちません。

――どのような対応を取られましたか。今後考えていることもあれば、そちらも併せてお聞かせください

小林孝好さん グーグルの口コミなどには上記の形で1つ1つ返信しました。TBSさんはすでにクローズしている時間のためお電話できませんでした。小林シェフのお店はお電話をしましたがつながらずご相談したくてもできませんでした。Facebookをお店の公式として使っているので、「小林違い」だとまずはそちらにあげましたが、もともと無名のお店です。誰もここでは見てくれないと気付きました。

 その後、審査員とTBSさんのTwitterを見つけたのでご相談したいとコメントしました。一部誤解されてしまったようですが、文句があるとかではなく、影響力の大きな側から勘違いを公式に発表してくれれば1番早く皆さまに伝わると思ったからです。

 そして、使っていなかったTwitterを急きょお店用にして自身のページにも記載しました。

――ジョブチューンから1月4日に投稿がありましたが状況は変わりましたか

小林孝好さん お店がお休み中ということもあり、具体的な変化はまだ分かりません。ただ、ジョブチューンのご担当者様が真摯(しんし)にお話しくださいましたので心理的な負担は軽くなりました。また、早々に公式に発言してくださったことには感謝しかありません。

――このような風評被害にあわれたことに対して、どのように思われたかお聞かせください

小林孝好さん 番組責任者様とお話して、審査員も番組も誠実に(言われているヤラセや台本などなく)番組作りをされていることはよく分かりました。意図と違った盛り上がりとなってしまったこと、心中お察ししております。

 ただ、無礼を承知で申し上げるならば、リスクがあるのはご承知で何らかの利があることに鑑みてのご出演やご放送だと思います。

 私どもは、全く土俵外にいて、リスクしかない状況にさらされてしまいました。間違いについて発言したことについても一部非難がありました。有名になれて良かっただろう、という言葉には最も傷つきました。

 もともと、一線を退いた気持ちで静かに営業していたお店です。取材や撮影はお断りしたこともあります。

 そもそも現在休業中のため、これにより売り上げが上がるということは全くありませんし、再オープンは一から建築する都合上だいぶ先になり、その頃には無名の私どものお店なんて忘れてしまうと思いますから、ご放送・ご出演された関係者様のような「何らかの利」は発生しないと思います。

 ただ1つ不幸中の幸いは、現在移転のための休業期間でしたので、お客さまや付近の方にご迷惑をかけることがなかったのは良かったです。


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