日本レコード協会が、違法音楽アプリやリーチサイトの利用実態に関する調査を実施。違法音楽アプリや違法コンテンツに誘導するリーチサイトの利用者数が減少したものの、改正著作権法に対する認知が進んだというわけではない実態が明らかになりました。
調査は2020年10月1日に違法音楽アプリやリーチサイトへの規制を強化する改正著作権法が施行されたことを受け、同年11月に実施した前回調査からの変化などを分析したもの。全国の12〜69歳男女2万人を対象に、昨年11月Webアンケートにて実施されました。
違法音楽アプリ(MusicFM、MusicBox)の利用者数は今回調査では37万人。2020年3月は246万人、同年9月81万人、法改正直後2020年11月は64万人という減少傾向がさらに続いていたことがうかがえます。また、今回調査項目に加わった、違法コンテンツに誘導するリーチサイトの利用者数も、2020年11月の59万人から、2021年11月には39万人に減少しています。
改正著作権法の認知率は昨年からほぼ変わらず
違法音楽アプリやリーチサイトの利用が減ったのは、改正著作権法に対する認知が進んだからかというと、必ずしもそうとは言えないようです。改正著作権法について認知している人の割合は46.4%。前回の46.0%からほぼ横ばいです。また、リーチサイトの規制強化を目的とした改正著作権法を認知している人の割合は、24.4%と違法音楽アプリを大きく下回ります。
違法音楽アプリを利用する/利用をやめる理由
今も違法音楽アプリを使い続ける理由で最も割合が高かったのは「無料で利用できるから(53.2%)」で、前回調査(62.0%)と同じ傾向でした。「好きな曲を選んで聞けるから(37.9%)」が続くのも同様です。
一方、利用を中止する理由では「安全ではない感じがする(31.8%)」が最も高く、それに続く回答は「使いづらい(27.3%)」「聴けない曲やアーティストが多い」「広告が多い」など利用面で不満が目立ちます。
違法音楽アプリやリーチサイトを使わなくなった人の行き先
かつて違法音楽アプリを利用し、現在はやめている人の音楽の視聴方法では、「YouTube」(40.1%)、「定額制音楽配信サービス」(32.6%)の割合が高くなっています。それに続くのは「無料音楽・アプリサービス」の29.6%。
リーチサイト過去利用者の場合も「定額制音楽配信サービス」(35.3%)がトップ。「購入した音楽DVD・Blu-ray Disc」(33.8%)、「購入した音楽CD」(29.1%)が続きます。この結果について日本レコード協会は「音楽関連商品を所有することに意欲的な傾向が見られた」としています。
近年のサブスクリプションサービスの拡大により、有料のサービスでも負担感を感じず利用する人が増えたのか。それとも、違法でない無料のサイトやアプリへと移ったのか。この先も変化も気になるところです。
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