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「遺体引き取りに来て」「いやです」―― 3万いいね集めた壮絶漫画「毒親の喪主をバックれた話」作者に聞く“毒親を捨てる”勇気(2/3 ページ)

毒親サバイバーの体験談を紹介しています。

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――尾添さん自身も毒親サバイバーであり、ご自身の体験を漫画にされていますが、漫画という形で公開しようと決めたきっかけはありましたか

尾添さん: 親元から離れたあと、知人に近況を話してみたら「エッセイ漫画にして公開してみなよ」という一言があって、かなり軽い気持ちで漫画にしました。本腰を入れてエッセイ漫画を描いたのは、その時が初めてです。

 思ったよりも見てもらえたり、似たような経験をした方からメッセージをもらったりして、その後もエッセイ漫画を描き続けました。

――『そんな親、捨てて良いよ。』では10人の毒親サバイバーの方の話を取り上げていますが、サバイバーの皆さんの話を漫画にしようと決めたきっかけは何ですか

尾添さん: きっかけは「毒親の捨て方に着目した本を作りたい」と提案したKADOKAWAの担当編集さんです。

 私の周りにもいろいろな方法で親と距離を置いたり絶縁したりした友人たちがいて、その人たちにスポットを当てた『こんな家族なら、いらない。』(イースト・プレス社)の発売前後に、KADOKAWAの担当さんからお話がありました。

 既に毒親を捨てた人に「どうやって毒親を捨てたか」インタビューをして、捨て方を掘り下げた毒親サバイバーの半生を漫画にするというのは、とても興味深い漫画が出来上がるのではないかと思いました。

 私の友人・知人、Twitter上で「既に親と絶縁済みで、どうやって親と距離をとったか具体的にお話できる方」を募集してインタビューに応じてくれた方のおかげで、漫画が完成しました。本当にありがとうございました。

――サバイバーへの取材の過程で感じたことなどがあれば教えてください

尾添さん: 未成年のうちに親に見切りをつけた人は、自立するために常に動いていたり、がんじがらめになって親から抜け出せない人は、家庭以外にも自分を大事にしてくれる人を見つけていたり。

 取材をした方は、人と関わり続けることで視界を広げて、血縁だけが家族じゃないと気付いている方が多いと感じました。

――毒親に苦しむ人たちの救済に関して、社会の側にこういう仕組みや制度があってほしいということはありますか

尾添さん: 親が子どもを手放す選択と同等に、子どもが親を手放す選択があれば、学校と家のはざまで苦しんでいる子どもが減るだけではなく、家庭で起きる問題の解決策や選択肢も増えます。

 未成年でも、本人の希望で家族との世帯分離が可能になれば一番いいと思います。親でいるだけの無関心な大人の元で育つより、関心を持って一人の人間として接してくれる大人に囲まれて育った方が、人との関わり合いの意味や、社会の仕組みを理解できると感じます。

――最後に、毒親に苦しんでいる人に伝えたいメッセージがあれば教えてください

尾添さん: 自分のことを大事にしてくれない人が親だというだけで、期待をしたり希望を持つ必要はありません。親の役目は子どもに無償の愛を注いで、社会で自立していけるように育てることです。

 見返りを求めない愛を与える立場でおごり、脅威と恐怖を与える存在に、子どものあなたが「家族だから、親だから、今まで育ててくれたから」と、恩を探す理由も、恩を感じる必要もありません。あなたの人生は、あなたのものです。


 

 『そんな親、捨てていいよ。〜毒親サバイバーの脱出記録〜』は、3月23日発売。自らも毒親を捨てた尾添さんが、毒親サバイバー10人を取材。どうやって毒親を捨てたのか、そして毒親を捨てたことで得たものについて掘り下げるコミックエッセイです。

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