「値上げ?」「1950円って高くない?」 2022年4月1日開始「首都高」の料金改定 つまりどういうこと?(1/2 ページ)
どういうこと? 何が変わる? お得なこともある? を解説します。
首都高速道路(首都高)が2022年4月1日、通行料金の変更を実施しました。
特に目立つ変化ポイントは「上限額の値上げ」です。そのため、今回の料金見直しを「首都高値上げ」と総じて捉えてしまう声も多く聞きます。実際にどのように変わったのか、今回は家族や趣味でドライブする、普通自動車一般ドライバー目線のポイントを中心に解説していきましょう。
料金改定の背景 実は「結局安いから首都高で」という少しいびつな選択肢もあった
首都高の通行料金は走行距離に応じて料金を決める「対距離料金制」を導入しています。やや昔、ETCが登場する前は「定額制(どこで乗り降りしても同じ料金)」でしたが、2016年に対距離料金制に移行しました。
2022年3月までの首都高通行料金は300円〜1320円(普通車・ETC/東名〜北西線連続利用以外利用の場合、以下同)でした。初乗りで300円、走行距離に応じて料金が上がり、走行距離35.7キロで上限の1320円に達します。ちょっとしか使わなければ安く、利用に応じて加算されていくけれど、これ以上は料金が上がらない上限額を設ける。スマホのデータ容量料金やコインパーキングの料金制度と似ていますね。
上限料金があることで、利用距離が長くなるほど走行距離あたりの料金が割安になります。例えば、さいたま見沼(首都高埼玉新都心線)〜並木(首都高湾岸線)間は約86.6キロありますが、この区間も1320円でした。お得感があります。
昔から首都高が混雑する理由の1つに、どこへ行くにも何にせよ首都高を経由する──全国から交通が集まり、そして方々へ離れていくような放射状構造のみだったことが挙げられます。
そのため、交通集中の緩和・分散を目的に、都心部を中心にぐるりと輪を描く環状道路、高速中央環状線(C2)、東京外環自動車道(C3・外環)、首都圏中央連絡自動車道(C4・圏央道)、通称「3環状」(関連記事)を整備しています。都心部に用事がなければ手前で迂回して、混む首都高・都心環状線(C1)を避けられる、入って抜けるだけの車両が減るので首都高の混雑緩和にもつながるというわけです。
しかし、これまでの料金制度は、外環や圏央道を通るよりも「首都高で都心部を通過する方が安くなる場合」が多くありました。
もちろんどのルートを選択するのかはドライバーの自由です。特に私たちの生活を支えている物流業界の方たちはコストも時間もとても重要です。とはいえ、都心部の混雑緩和のために環状道路があるのに使われず、結局首都高の混雑につながってしまうならば、都心部に用事のある多くのドライバーにも社会経済活動的にも不利益となってしまいます。
「上限額の値上げ」はなぜ? 上限額の見直しは「迂回の促し」「より公平な料金体系にする」ため
今回の首都高料金の見直しは「迂回の促し」「より公平な料金体系にする」が主な目的と首都高は説明しています。
具体的には「上限額に達する走行距離を35.7キロ→55キロ」に増やし、上限額が「1320円→1950円」(普通車)に引き上がります。
ETC利用車において、これまでの最低料金と、これまでの上限であった35.7キロまでの料金は変わりません(二輪車、軽自動車、普通車、大型車の場合)。
普段利用において驚くほど劇的に高くはならないとも思います。例えば、都内から首都高の端まで乗り、そこから別の高速道路でその先へ……といった旅行移動シーンや、もともと首都高区間を長距離乗っていた人はお得度が減り、高くなるかもしれませんけれど……。皆さんがよく使う区間はどのくらいの距離でいくらになるか、気になる人は首都高ドライバーズサイトなどでチェックしてみてはいかがでしょう。
ただ、現金支払いの人はどの区間を走るにせよ一律で1950円になります。これは確かにかなりの値上げです(一律700円時代が懐かしい……)。
慢性的に日中の混雑も激しい首都高。東京オリンピック期間中には、混雑させないため(乗るのを避けさせるため)の「一般車1000円上乗せ」で一般車の交通量を抑える施策を取ったのも記憶に新しい。現金車の一律1950円は正直かなり高いが、このときの施策の意図と共通すると思う(写真:大泉勝彦)
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ホンモノを見に出かけたくもなりますね。