焼き物屋で暮らす猫の熱心な仕事ぶりがTikTokで話題です。そのほのぼのとした光景の動画は4月11日現在で100万回再生を突破。8万5000件を超えるいいねが集まっています。
黒くてモフモフの毛がチャームポイントの「ネルソン」くんは、4月2日に1歳になったばかりだというのに働き者です。いつも出勤時間は始業ギリギリになってしまうそうですが、それでもちゃんと間に合うように着……席……。
「そ、そこ!?」とツッコミたくなりますが、土と向き合う陶芸家、中尾哲彰さんの肩の上におもむろに腰を下ろしたネルソンくん。そうすることが当然というような表情です。猫ちゃんの重さや動きが手元に影響しないのか心配になりますが、もうすっかり定位置だとのこと。中尾さんはまるで何事も起きていないようにろくろを回し続けます。
そしてその後のミーティングでは、一緒に1日の業務フローなどを確認。ネルソンくんは、その金色の目で各工程に問題がないか見守るという大切な役目があるそうです。
焼き物の成形から切り離し、検品へとチェックを進めるまなざしは真剣そのもの。この日制作中のコーヒーカップが形作られるのをジーっと見守ります。
このほか、お客さんの案内や乾燥させている焼き物の見張りなどもしっかりこなします。結構、業務量がありますね!
たまには、大きなあくびをして一息つくことも。ちなみに、休憩時間には中尾さんのなでなでサービスや、お昼には会社からランチの支給もあるとのこと。ちなみにボーナスはにぼしや缶詰支払いとなっているそうです。
そして仕事の最後は振り返りのミーティング。業務の成果などを話し合っているのでしょうか……。ここまで終わってようやく、中尾さんと退勤となるそうです。盛りだくさんな1日でしたね。お疲れさまでした!
つい先日には、新たにハチワレの「ポッキー」さんが入社。中尾さんの胸元を温めたり足元を見守ったりする業務を担当しているようですよ。
投稿には、「仕事熱心」「丁寧に業務こなしてて偉い」「超接近して見守ってるのに決して触れないところがとても優秀な従業員さん」といったネルソンくんの仕事ぶりを称えるコメントが殺到。ネルソンくんと中尾さんが醸す「優しい世界に癒されました」という声も寄せられています。
このほか、「猫従業員がうっかり肉球つけちゃったりしたものってないんですか? 積極的に買いたい……」「検品済の印として肉球の跡つけてほしい」といった要望も。これらの声に対して投稿者である中尾さんの息子さんは、「ありですね、提案してみます」とユーモアを交えて回答しています。
ただ今のところ、猫たちがうっかり肉球をつけたり引っかいたりすることはないそうで、「陶芸の仕事を理解しているみたい」とコメント。猫の毛が焼き物に混ざることがないのかという質問も複数ありましたが、こちらも基本的には「ない」そうです。あったとしても窯の中は1200度を超えるため「高熱で燃えてしまいます!」と説明しています。
ネルソンくんは佐賀県武雄市にある工房「銀河釉 玉峰窯」で、陶芸家・中尾哲彰さんと暮らしています。中尾さんは一度は病気で1年ほど盲目になりましたが、視力を取り戻した後十数年かけて研究し、焼き物「銀河釉」を生み出しました。製品になるまでの成功確率が50%以下というこの焼き物は、無数の星が輝いているように見えるのが特徴。色や模様は、世界でここにしかないものだそうです。
中尾さんの息子さんが投稿しているTikTok(@gingayu)やInstagram(galaxycrafthouse)では工房の日常や作品を公開中。ネルソンくんや中尾家を巣立っていった猫さんたちが、ルーブル美術館の展示会でダブル受賞した「銀河のオデッセイ」(非売品)などを遊び場にする姿も目にすることができます。病気を乗り越えて土と向き合う中尾さんは、現在肺の病気のため酸素チューブをつけながら、作品を作り続けています。ネルソンくんやポッキーさんはもしかすると、そんな中尾さんの体調を気遣って見守っているのかもしれませんね。
「銀河釉 玉峰窯」は、2022年4月29日〜5月5日に開催予定の「第118回有田陶器市」に出店予定です。
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