久々に会った親友が持ちかけてきたのは、怪しげなもうけ話――。マルチ商法に勧誘された体験を描く漫画が、いたたまれない話でありつつ、自衛のために役立つと好評です。
漫画家のぬこー様ちゃん(@nukosama)さんが、2010年の冬ごろに体験した実話。小学校時代からの親友である桑原から久々に電話があり、大事な報告があるから会いたいと誘ってきたといいます。
親友のうれしそうな様子に、もしや結婚でもするのかと察した作者は、喜んで話を受けることに。しかし、桑原の車で連れていかれたファミレスで聞かされたのは、「ついに不労所得ってやつを手に入れたんじゃあ〜おめえもウコン20万で買わんか?」という、うさんくさいビジネスの誘いでした。
その仕組みは、「ウコンを20万円で買うとその販売権が手に入り、売れれば販売額の1割がもらえる」というもの。桑原は「これ売っただけで2万円の不労所得が手に入る」と興奮気味に話していますが、全然「不労」ではないですし、そもそもねずみ講のにおいがプンプンします。
その危うさを指摘しても、桑原は怒って聞く耳を持ってくれません。それどころか「何のために遠方のファミレス選んだとおもっとんな?(思ってるんだ)」と不敵に笑い、作者を強引にウコンビジネスの事務所へ連れ込みます。最初からカタにはめる気まんまんだったか……。
かくして作者は「代表の西尾」と名乗る男と対面することに。頭は帰りたい気持ちで一杯ですが、桑原の目を覚まし救ってやらねばと、西尾に真っ向から立ち向かいます。
「よく誤解されるんですが、我々が行っているのはネットワークビジネスでねずみ講とは別物」と話を切り出すと、「世界中に支社を持つグローバルな会社」「F-1のスポンサーも」「草野球チームも(持つほどの余裕がある)」などと西尾は誇らしげに語ります。しかし、作者は知っていました。信頼感を示そうと並べられた言葉の数々は、全てこの手の勧誘で用いられる手法であると。
西尾はなおも「このウコンを飲めば健康になって医療費がかかりにくくなるので、20万円以上の価値はあると断言できる」「さらに不労所得まで得られるんですから、始めないほうが不自然なくらい」と力説。彼の性根を見抜いた作者は、「そこまで言うなら始めてもいいですけど」と話に乗る素振りを見せつつ、「代表が今どのくらいもうかってるか教えてください」と聞き返します。
すると、あれほど雄弁だった西尾は、やましいことでもあるのか大いに動揺し、「プ……プライベートな部分ですのでちょっと……」としどろもどろに。そこを突いた厳しいツッコミの応酬で、作者たちはこの状況を逃れるのですが……その痛快にして衝撃的な結末は、ぜひ漫画本編でご覧ください。
思わず舌を巻いてしまう一連の撃退スキル。一体どのように知識を蓄えたのか、ねとらぼ編集部がぬこー様ちゃんさんに訪ねたところ、なんと「このとき以前にも、既に何件か(勧誘を)切り抜けていました!」とのこと。既に実戦経験があったため、スムーズな対応が可能だったようです。過去の勧誘については漫画化の予定があるそうなので、そちらにも期待が高まります。
ちなみに、桑原さんとのその後の関係も気になるところですが「ずっと定期的に連絡をとっていたのですが、携帯料金が払えなくなってしまったのか、気付いたらつながらなくなっていました。探してます」とのことでした。桑原さん……!
本作は『ぬこー様ちゃんとウコンの部屋』として、Amazon.co.jpでも無料配信中。ウコンビジネスの仕組みや代表のバックボーンなどが、あとがきで追記されています。
作品提供:ぬこー様ちゃん(@nukosama)さん
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