過熱するポーカーブーム、アミューズメント店での高額プライズ提供、オンラインカジノ利用者急増に問題は? 弁護士と法務省を取材(1/4 ページ)
大会のチケットを巡る不正持ち掛けなども問題視されています。
日本で大流行中のカードゲーム「ポーカー」。マインドスポーツとして人気を博しながら、アミューズメント店での高額景品の提供や海外のオンラインポーカーサイトの国内利用者急増など、問題点もささやかれています。アミューズメントポーカーを巡る法整備について、法務省と弁護士らを取材しました。
アミューズメントポーカーの遊び方とは
数年前までは大都市を中心に出店されていたアミューズメントポーカー店ですが、近年漫画やYouTubeの影響で国内でもプレイヤー人口が爆発的に増えており、2年ほど前からは地方での出店も相次いでいます。
アミューズメントポーカー店での遊び方は、チップを店舗から有料で借り受けて卓に座る「リングゲーム」と、全員が同じスタックのチップを持って優勝を目指す「トーナメント」の主に2種類。
どちらも現金を賭けることはできず、あくまでもゲームを遊ぶうえでの“場所代”という形で店舗側に料金を払うこととなっていますが、トーナメントを開催する店舗の中には「上位入賞を果たせば全国規模のポーカー大会の出場権を提供する」という形のサテライトを開く店舗も増えています。
まさに戦国アミュカジ時代ともいえる状態の中、物議をかもしているのが、この“サテライトとプライズの関係性”です。
プライズとは?
プライズとは賞品や景品のことで、プライズゲームの代表格ともいえるクレーンゲームについては、2022年4月1日付で警視庁生活安全局長が「風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」を以下の通り通達。
遊技の結果が物品により表示される遊技の用に供するクレーン式遊技機等の遊技設備により客に遊技をさせる営業を営む者は、その営業に関し、クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね1000円以下のものを提供する場合については法第23条第2項に規定する「遊技の結果に応じて賞品を提供」することには当たらないものとして取り扱うこととする。
2001年の風営法の解釈基準改正時に通達された「小売価格おおむね800円」から約20年ぶりに上限価格が引き上げられ、2022年からは小売価格おおむね1000円の景品が投入できることになりました。
一方、アミューズメントポーカー業界においては、風営法第23条第2項で「遊技の結果に応じて賞品を提供してはならない」と定められていることから、原則的に景品等の提供はできません。
しかしながら、前述のように多くのアミューズメントポーカー店では「Japan Open Poker Tour(JOPT)」「Top of Poker championship(TPC)」といった大型大会の出場権がプライズとして提供されているのが実情です。
また大規模な大会によっては複数の出場権を獲得できる場合もあり、1枚獲得の場合はスタック1万点スタート、2枚の場合は2万点、3枚の場合は3万点など持ち点が変動する場合があるほか、4枚以上の場合は一度敗退してしまっても再度試合に参加できる“リエントリー”が可能になるなど、出場権をたくさん持っている人が有利なシステムが一般的です。
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