中学生のポイ捨てしない理由が「良いな」と思った出来事を描いた漫画に、多くの賛同と「かっこいい」が集まっています。中学生の新鮮な感覚に触れた作者さんに、当時を振り返っていただきました。
作者で漫画家の中村ゆきひろ(@Nmurayukihiro)さんは、買い物の帰りに歩いていたら自転車に乗った2人の中学生とすれ違いました。そのうちの1人がポロッとゴミを落としてしまいます。そのまま走り去っていくのかと思ったら「ヤバいヤバい」と言いながら、戻ってきてゴミを拾い上げました。
待っていたもう1人の少年に「ポイ捨てするクソダサ野郎になるとこだったわ」と笑いながら言い、そのまま走り去って行った男の子。中村さんはその後ろ姿を見て「なんかいいな」と思ったそうです。
ポイ捨てが条例で禁止されているからとか、誰かに怒られるからとか、そういった理由ではなく、少年は自分の中にある「ポイ捨てはダサい人がすること」という価値観から行動したようです。
そんな心意気に作者だけでなく多くの読者が「いいな」と思ったようで、漫画には20万件近い「いいね」が集まりました。「こういうのでいいんだよね」「自分の美学に反することはしない。そういった価値観を失わずに大人になってほしい」など「かっこいい」といったコメントが寄せられています。
作者の中村さんにその時の状況や、「ダサいからやらない」という行動に触れて感じたことなどを聞いてみました。
──漫画に描いた当時の様子をあらためて教えてください
中村ゆきひろさん(以下中村さん) たしか近所で買い物帰りにこういう子たちを見かけ、令和の子どもにとって「ゴミのポイ捨て=くそダサい」っていう価値観になるのか〜! と、新鮮に感じて漫画にしたのだったと思います。
──漫画への反響についてはどうでしょうか
中村さん 思った以上の反響があり驚きました。ほとんどが好意的な反応だったので、現代はこういうモラルの高い考え方に共感する方が多いのかなと思いました。
──「良い悪い」じゃなくて「ダサいからやらない」。この価値観がいいと思ったのはなぜでしょうか
中村さん 「ポイ捨てはルールとして悪いことだからやめとこう」という自制の仕方も、もちろん立派なのですが、「ポイ捨てはダサいからやめよう」っていうのはもはや自制ですらなく、「最初からやりたくもないこと」なんだなと思ったからです。そのくらい高い倫理観がこの子たちの中では当然なのか……! と思いました。
といってもこれは本人に聞いたわけではなく私の想像にすぎませんし、照れ隠しというか、おどけたノリで言っている可能性もあるでしょうが、それでもすごく良いな〜と感じました。
──ちなみに中村さん自身が普段「ダサいからやらない」と判断して動くことはありますか?
中村さん あまり意識することはないですが、ダサいことはしないようにあの少年たちを見習っていきたいと思います。
作品提供:中村ゆきひろ(@Nmurayukihiro)さん
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