希望はあった?
なんと書いたらいいのだろう。おそらく、これを当時劇場で見ていたら、見終わった後座席からしばらく立てなかったでしょう。家で部屋を真っ暗にして見ていた自分ですら立てなかったのだから。しかも、当時の人々はTVアニメから1年以上経って見せられたのがこの劇場版なんですからね。
個人の感覚ですが、大河ドラマの主人公が1話で生まれてから50話くらいで死ぬまでを一気に見たような、言葉では書き記し尽くせない虚脱感と切なさがありました。
ハッピーエンドの作品だけが良い作品ではない。バッドエンドだからこそ伝えられるメッセージもある(そもそも人生をハッピーエンドで終えられる人間が、この地球上にどれだけいるのだろうか)。そういう意味で、この作品が伝えたいメッセージは伝わってきました。
誰かに自分を理解してもらいたい、愛してもらいたい、助けてほしい――――。心の底からそれを渇望している一方、では自分は誰かにそうしているのか。頭の中にその言葉が繰り返し響くだけで、そこから先にたどり着けない心の中のぐちゃぐちゃ。それなら、みんな1つになった方が楽じゃないだろうか―――。しかし、最後、主人公は1つになることから離れ、別々でも対話をする道を選んだんです。自己の世界に閉じこもることなく、他人と関わる現実の人生を。
しかも、綾波の台詞によると、自らの心で自分自身をイメージできれば、みんなヒトの形を取り戻せるといいます。そういう意味で、これからの世界への希望をかすかに見ました。
こうする以外に道はなかったのだろうか……。
しかし、自分を納得させようとする理屈を飛び越えて出てきてしまったのは、
こうする以外に、道はなかったのだろうか……。
という心情でした。
子どもであるシンジくんをエヴァに乗せ続けてきた大人のリツコさんとゲンドウ、ミサトさんは、心の救済がほとんどないまま死んでしまいました。
大人が現実を押し付け、子どもの願いや思いを踏みつけるような行為は大嫌いだし、そんな大人は子どもがぶっつぶしてほしいと思いますが、それでも、こんな幕切れを迎えたことに心がもやもや。
しかも、シンジくんはあれだけ「父親と向き合いなさい」と言われ続けてきたにも関わらず、息子と父親が正面切って向かい合うことはなく、2人の関係は平行線、いやむしろねじれの位置にあったようなまま。親子だからといって向き合わなきゃいけない訳では全くないし、現実の世界では向き合いたい時にもうその人はいないなんてざらだと思いますが、ユイを喪失した2人のこれまでの関係を思うと、あのまま終わってしまったのはとてもさみしかったです。
見終わった後は、何とも言えない気持ちに包まれ、これで良かったのか、そうじゃないのか消化できないまま1時間以上ベッドの上で呆けていました。
終わりに
旧劇場版を見終えてトラウマが植え付けられてしまった僕ですが、救われるのは(救われる……?)、エヴァには新劇場版があるということ。とここまで書いて前回の記事でも「旧劇場版を見れば気持ちが整理されるだろう」と夢見ていたことを思い出し、そんなことはなかった現実に恐ろしくなっていますが。
ただ、新劇場版は当初映画館でやっていた時はTVアニメを映画化したものなのかと思っていましたが、どうやらそうでもないようで。今度こそ、この心のもやもやを晴らしてくれるようなエンディングを夢見て、新劇場版を心して見たいと思います。
では最後に一言。
「結局、魂のルフラン、どこで流れるんだぁああっっ!!!」(やっと聴けるかと思ったら結局流れなかった)
※後日、編集部の先輩に「魂のルフラン」が流れるという「シト新生」のブルーレイを借り、ようやく見られそうです。
新世紀エヴァンゲリオンTVアニメ 第壱話と第弐話
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