一部かいわいで爆発的な大ヒットを記録したオカルティックサメ映画「ウィジャ・シャーク 霊界サメ大戦」の続編が「ウィジャ・シャーク2」として日本に上陸、しかも日本だけで劇場公開されることが決定した。「コマンドーシャーク 地獄の殺人サメ部隊」以来数年に渡りサメ映画翻訳を続け、本作が14本目のサメ映画翻訳作となる筆者(サメ映画ルーキー)としてもこれ以上ない大きな出来事なのでぜひダイレクトマーケティングさせてほしい。
1作目は2021年の日本リリース直後からサメ映画ファンの間で話題となっていた。主人公のジルがビーチで偶然拾ったウィジャ盤(欧米版のこっくりさん)から召喚されてしまったサメの悪霊が次々と人を襲っていくという非常にシンプルなストーリーであり、猛烈に間延びした展開や雑に死ぬモブたち、一周回ってキュートな幽霊ザメなど、ある一点を除けばよくあるタイプの(よくあっては困るのだが)Z級サメ映画である。
監督が「ジュラシック・シャーク」や「ロスト・ジョーズ」のスコット・パトリック(=ブレット・ケリー)と聞けば往年のサメ映画ファンには大体の雰囲気が伝わるはずだ。
しかし「ウィジャ・シャーク」がその名を世に知られるようになったのは、サメではなく“ミスティックシールド”と呼ばれる必殺技(?)のおかげだ。クライマックスのシーンでジルの父親でありオカルトの使い手でもあるアンソニーは娘を守ろうとして無残にも幽霊ザメに殺されてしまう。しかしアンソニーは霊界で再び幽霊ザメと対峙し、サメに特攻を仕掛ける。そこで使われるのが“ミスティックシールド”なのである。
単なる脇役によるわずか1分ほどのこのシーンのためだけにこの映画が存在すると言っても過言ではないほどエネルギーが一極集中しているのが分かる。筆者も少なくない数のサメ映画を観てきているが、このシーンのインパクトは「シャークネード カテゴリー2」の“エビぞりチェーンソー・サメ二枚おろし”や「シャークネード5 ワールド・タイフーン」で対シャークネード決戦兵器にトランスフォームするオペラハウスに匹敵するだろう。
そうした強烈な印象を抱いたのは日本人だけではない。1作目のエグゼクティブプロデューサーにして、「シャーケンシュタイン」や「エクソシスト・シャーク」などの悪食向けサメ映画のプロデューサーも務めたワイルド・アイの代表ロブ・ハウスチャイルド氏もミスティックシールドの魅力に心を奪われてしまった一人だ。彼はその権限をフルに活用し、アンソニーを演じたジョン・ミリオーレ氏を監督に抜てき、2作目の製作にGOサイン(とカネ)を出してしまったのだ。
今作の主演・監督・脚本・撮影・編集・音響・特撮・クリーチャーデザインを務めるジョン・ミリオーレ氏は「バイオハザードII アポカリプス」や「サバイバル・オブ・ザ・デッド」などの数々のゾンビ映画で「ゾンビ俳優」としてキャリアを積みながら、自身の映画プロダクションとしてサバイバル・ゾンビ・フィルムズを立ち上げて自主映画を監督してきた人物。監督作が日本上陸を果たすのは今作が初となる。なお本作の製作にはミリオーレ氏のリアルご親族が多数関わっているのでエンドロールでは怒涛のミリオーレ一族の名を目にすることになるが、決してホームビデオではない。本気の商業映画である。
さて、そんなこんなで制作された「ウィジャ・シャーク2」のあらすじはこうだ。
――ウィジャ盤の力で地獄から召喚された無敵の幽霊ザメ「ウィジャ・シャーク」との激闘から数ヶ月。オカルトマスターのアンソニーはサメとの戦いの果てに地獄を彷徨っていた。彼を復活させるべく家族や仲間がその方策を探る一方、地獄の支配者である悪魔カルドゥーラはサメを現世に解き放ってしまう。巨大化し街をも破壊する力を得た幽霊ザメに人類は成す術もなく蹂躙されるが、アンソニーにはある秘策があった……! 唸れ! サメはめ波! 輝け! ミスティックシールド! オカルト殺法で再び敵を打ち破れ!
ストーリーを読んだだけでは何も分からないと思うが、とにかくサメが馬鹿デカくなっていることと、ミスティックシールドが大増量していることだけは約束しよう。
さらに驚きなのが、本作が劇場公開を控えているという点だ。数々のZ級サメ映画をDVDと配信で日本に垂れ流してきたコンマビジョンにとっても史上初の劇場公開作となる。
しかも劇場公開予定があるのは日本だけであり、本国(アメリカ&カナダ)では予告編はおろかタイトルすらまだ公表されていない。完全に日本市場が全てにおいて優先されている形だ。「サメ映画が作られるのは日本人のせい」と言われてしまうのも致し方ないのかもしれない。
劇場公開は池袋HUMAXシネマズにて8月4日19時の1回のみ。チケットは7月7日より「プレチケ」にて販売中だ※。入場特典として「ミスティックシールドうちわ」も配布予定の他、劇場では数量限定でTシャツなどの各種グッズの販売も予定している。おそらくこの手のサメ映画が劇場で流れることはそうそうないはずなので、サメ映画の深淵を覗き込みたいならこの機会をどうか逃さないでほしい。
※チケット予約数が規定期日までに成立枚数に到達しなかった場合、上映はキャンセルされ全額払い戻しとなる。
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