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首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社!? 鹿児島にある「面白殿」の歴史が深かった(1/3 ページ)

現代の感覚では残酷ですが、真相は果たして……?

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 「首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祀る神社」――その名も「面白殿(おもしろどん)」。現代の感覚ではぎょっとしてしまうような不思議な名前を持つ小さな神社が、Twitterで反響を呼んでいます。

 話題となっているのは、吉蔗さん(@kissya_ch)のツイート。吉蔗さんは「#見た人も無言で記紀神話に登場しない神様をあげる」というハッシュタグを添えて、鹿児島県にある面白殿や若宮神社(大山祇神社)・米次千人塚など面白殿にまつわるスポットの画像をいくつか投稿しました。

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 面白殿の鳥居
首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 確かに「面白殿」って書いてある

 面白殿の説明書きによると、その名前は、斬首された武将が「若年で面白の美青年」だったことと、「斬首した時面白いほど多量の血が噴き出した」ことに由来するといいます。その衝撃的な由来に対し、Twitterでは「祟り起きるで」「人間って怖い」などの反応が。

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 面白殿の説明書き

 果たしてそんな残酷な命名理由が本当なのか。過去と今で生死に関する感覚は違ったのか。若宮神社を含む24〜25の神社を管理している宮司の濱崎(さきは「たつさき」、以下同じ)さんに尋ねてみました。

※若宮神社とは面白殿の仇敵である島津忠兼を祭る阿久根市鶴川内の神社のこと。また、若宮神社とは地元の人の通称で、Googleマップや鹿児島神社庁Webサイトなどでは「大山祇(オオヤマヅミ)神社」とされています。

面白殿は山の頂上とふもとの2カ所に存在

 面白殿があるのは、鹿児島県阿久根市田代にある田代小学校から、薩摩川内市藤川方向へ46号線を800メートルほど南下した場所。

 小さい竹山に赤い鳥居を構え、その奥に高さ約60センチほどの灯篭が置かれているその小さな神社は、「正式には神社ではない」と濱崎さんは言います。

 「面白殿は、ふもとの灯篭と山の頂上にある石碑の総称なんです。本殿はありません」

首を切られた時に面白いくらい血が噴き出した少年を祭る神社「面白殿」 ふもとの灯篭

 ツイートを投稿した吉蔗さんは頂上に石碑があるということについて「初耳でした」と話します。それもそのはずで、石碑のある頂上までの道は険しくなっており、地元の人でもなかなか訪れることができないのだそうです。

 頂上までの道には石の階段があった形跡がありますが、濱崎さんが地元の方から聞いた話によると、水に流されたり、たけのこを収穫するためのトロッコを引くために撤去されたりして現在はなくなっているのだといいます。

 

面白殿のエピソードは「中之峰の戦い」という史実から

 また、面白殿の逸話は実際の史実に準拠したものだと濱崎さんは語ります。『阿久根市誌』という阿久根市の歴史をまとめた書物によると、その舞台は天文十七年(1548年)に起きた「中之峰(首塚山)の戦い」とのこと。

 現在若宮神社で祭られる武将・島田忠兼が率いる出水方と、東郷重治率いる東郷勢との間で生じたこの戦は、東郷勢の敗戦に終わり、東郷勢の一武将が出水方に捕らえられて、斬首されました。

 「この武将は、まだ若年で面白(おもじろ)の美男子であり、また、ざん首した時面白いほど、多量の血が噴き出たことなどから、『面白殿』と呼び、この武将の霊を祭って一社を建てたのが、現在の面白殿社である」と『阿久根市誌』(164ページ、6〜9行目)に記述されていることから、面白殿の由来は史実に即したものだと言えるでしょう。

 

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