「大切なものと引き換えに願いをかなえてあげる」――夢に出てきた天女にかけた願いが恐ろしい結果をもたらす漫画「天女の夢」が好評を博しています。作者は『お湯でほころぶ雪芽先輩』『水女神は今日も恋をするか?』などを手掛ける漫画家の三簾真也(@igoshowgi)さん。
演劇部で美術を担当する役者志望の少年、トオルは「劇の主役になって好きな女の子・メグに見に来てほしい」と願っていました。その願い事をしに神社に行った帰りに、誤って蛇を踏んで死なせてしまいます。
その夜、彼の夢に天女が現れ、大切なものをくれれば願いをかなえると告げます。彼女が求めたのは「え」。絵の才能を要求されたと焦るトオルですが、天女が「えを1つだけ」でよいというので、「メグとのキス」を願います。
翌日、偶然メグとキスをしてしまったトオル。その後も夢の中で天女の求めるままに「毛」「歯」などを差し出して、メグとの交際や好成績などを手に入れていきますが……やがて彼に異変が。劇の脚本の字が読めなくなったのです。
演劇部のオーディションでセリフが言えず、トオルは気付きます。天女が求めていたのは「絵」「毛」「歯」などではなく、「え」「け」「は」という“文字”そのものだったのです。天女に差し出した文字を読むことも、言うこともできなくなったトオル。会話もままならなくなり、天女に文字を返してほしいと願うこともできず――。
文字を奪うことでトオルを抜け殻にし、追い込んでいく天女。言葉を失っていく恐ろしさにゾワリとし、スリリングな展開に引き込まれる物語に、「内容も絵も伏線も展開もすごすぎる」「伏線回収完璧」などの声が寄せられています。Twitterに投稿された漫画では、ツイートに添えられた文言が物語の展開に合わせて変化していく演出もあり、読み返したくなる仕掛けに思わずうなります。
作品提供:三簾真也(@igoshowgi)さん
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