※この記事には性被害に関する記述があります。読まれる際は注意してください
元自衛官で、自衛隊でのセクハラ被害を告発している五ノ井里奈さん(@judo_gonoi)は7月21日、第三者委員会による公正な調査を求め、オンライン署名サイト「Change.org」で署名を募集開始しました。署名には開始から約10時間で1万6000人以上の賛同者が集まっています。
五ノ井さんは現在22歳で、2022年6月27日まで陸上自衛隊に所属していました。陸上自衛隊の退職を機に、TwitterやYouTubeなどで自分自身が受けたセクハラについて告発。五ノ井さんによると、陸上自衛隊では日常的にセクハラを受けており、2021年8月3日に起きた性被害をきっかけに告発を決意したといいます。
当時の性被害について、五ノ井さんは「訓練場所の宿舎で、先輩の男性隊員3名が、かわるがわる私の首をキメて押し倒し、私の股を広げ、陰部に性器を何度も押し当てるようにして、腰を振ってきたのです。その様子を見ていた男性隊員は他にも十数名いたのにも関わらず、止めてくれる隊員はおらず、笑ってみている状態でした」と振り返っています。
五ノ井さんは被害を申告し、自衛隊の総務・人事課にあたる1課で取り調べ。その後、自衛隊内での犯罪捜査を専門とする警務隊に被害届を提出し、取り調べの結果、検察庁に強制わいせつ罪で書類送検されました。しかし、「(目撃者であるはずの他の男性隊員)20人が見ていない、やっていないと言った」こともあり、2022年5月31日には不起訴に。2022年6月7日に検察審査会に不服申立をし、現在は結果を待っているところです。
五ノ井さんは「審査はいつまでに結果が出るのかも分かりません」「各メディアの記者さんも防衛省や自衛隊に問い合わせをしてくれていますが、誰がどの様に再調査しているのかは、当事者の私でさえ分からない状況です」などとコメント。事実を明らかにするため、第三者委員会による公正な調査を求め、今回の署名の募集開始にいたったと説明しています。
また、オンライン署名にあわせて、今後の再発防止策を求める活動にともない、自衛隊内でハラスメントを受けた経験者から経験談を募集する「自衛隊内におけるハラスメントの経験に関するアンケート」を開始しました。アンケートには匿名で回答できます。
五ノ井さんは「お預かりした皆さまの声は、SNSやメディアでご紹介していくほか、防衛省等関係機関に対応を求めていく際のデータとして使わせて頂きます。個人情報は適正に管理し、本活動以外では使用しません」と述べています。
続報
防衛省、性被害の訴えを事実と認めて謝罪へ【9月29日16時15分追記】
防衛省は9月29日、内部調査の結果を受け、五ノ井さんの訴えを事実と認め、本人に謝罪する意向を示しました。調査は継続中で、詳細を確認したうえで、関与した隊員には速やかに懲戒処分を下すとのことです。毎日新聞や共同通信社が報じています。
自衛隊員4人が事実と認め謝罪、退職の意向示す【10月17日19時45分追記】
10月17日、本件に関与した自衛隊員4人が事実を認め、五ノ井さんに直接会って謝罪しました。新聞各紙の報道によると、4人は自衛隊を退職する意向を示しているとのことです。
五ノ井さんはTwitterで「個別で一人ずつ対面し、しっかり本人達が事実を認め謝罪。私は今まで加害者からの直接謝罪を目的として活動してきたので、対面は怖くありませんでした。一年が過ぎ本当に遅い謝罪でしたが、ようやく実現しました」などと報告しています。
防衛省、自衛隊員5人を懲戒処分【12月15日17時45分追記】
防衛省は12月15日、五ノ井さんへの性暴力に関わった自衛隊員5人を懲戒免職すると発表しました。そのうち、4人は五ノ井さんに性暴力を加えており、1人は行為を指示していたといいます。朝日新聞などが報じました。
そのほか、被害の訴えを受けたにもかかわらず、調査しなかったとして、五ノ井さんの上司だった中隊長に半年間の停職とするなど、4人の自衛隊員にも処分を下しています。9人は全員、事実関係を認めているとのことです。
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