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「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」公開 たった1つのシンプルな目標をプロデューサーのジョン・ランドーに聞いてみた

ランドー「オスカー賞の受賞や世界一の映画興行収入は幸運なことですが、私にとっては重要な指標ではありません」

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 世界歴代最高となる28億4737万9794ドル(約3559億円)の興行収入を記録し、映画史に残る作品となったジェームズ・キャメロン監督の映画「アバター」(2009年)。13年ぶりの新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」が12月16日に公開となりました。

映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』本予告編【異次元の“没入型”映像体験】12月16日(金)劇場公開

 地球から遠く離れた衛星パンドラで希少鉱物を採掘するプロジェクトに着手した人類。ナヴィと呼ばれる先住民と人間のDNAを組み合わせた肉体(アバター)を操作員の意識で操るアプローチを採用。元海兵隊員のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)がアバターを得て体の自由を取り戻してパンドラに降り立ち、ナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ちるも、パンドラの生命を脅かす任務に疑問を抱き、星の運命を決する選択を強いられていく様が前作では描かれました。

 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は、前作から約10年後のパンドラを舞台に、ジェイクとネイティリの子どもたちからなる家族の物語。舞台は「森」から「海の世界」へと変わり、「家族」をテーマにしたことで、前作とはまた違うパンドラの魅力を描き出す一方で、ジェイク一家の苦難を通じて現実世界とも共通する問題を描き出したキャメロン監督。そんな盟友とともに「タイタニック」「アバター」「アリータ: バトル・エンジェル」などの作品を世に送り出してきたプロデューサーのジョン・ランドーに「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」について聞きました。

ジョン・ランドー
「タイタニック」のプロデューサーとしても知られる映画プロデューサーのジョン・ランドー

ジョン・ランドー「現在取り組んでいる全ての映画は、後に作りたい映画の土台」

―― 映像、とても素晴らしかったです。特に、水中の表現が秀逸でした。前作ではそうした表現はありませんでしたが、キャメロン監督と世に送り出した「アリータ: バトル・エンジェル」(2019年)ではアンドロイドが湖の底を歩くシーンがありました。パフォーマンスギャップやアクターパレットのような技術を使っていたと思いますが、今作で、そうした技術面での進化といえるものは?

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

ジョン・ランドー 私たちは、現在取り組んでいる全ての映画を、後に作りたい映画の土台として捉えています。すなわち、アバターを作っていたころはアリータのことを、アリータの製作中はアバターの続編を、といった具合です。

 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」で用いた水中のパフォーマンスキャプチャーは、それまで誰も考えもしなかったようなものでした。水上、水面、水中を撮影できる場所が必要で、それぞれ異なる用途を持つ6つのタンクを使いました。ロサンゼルスに2基、ニュージーランドのオークランドに3基、ウェリントンに1基。一番大きなもので長さ50メートル、幅20メートル、深さ10メートルほどのものです。

 巨大なプランジャーを作って波を作る環境で、水中に流れを作ることができるジェットもありました。いずれも本物の水に近い演技をしたかったからです。泳ぐ振りをしてもらうことはできますが、波も潮流もないプールでやるだけでは海は本物には見えないですから。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」メイキング写真
メイキング写真。タンクの上にいるのがキャメロン監督 (C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 パフォーマンスキャプチャーのために作りたいリアリティーは、本物のパフォーマンスを実現するために重要でした。そして、本物のパフォーマンスを、より忠実にスクリーン上で実現し、観客に提示したいと考えました。そのために、細部にわたって撮影を行い、一つ一つのショットを詳細に作り上げることができるのです。

ジョン・ランドー

「『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』の目標は……」 そのシンプルな答え

―― 興行収入で「アベンジャーズ/エンドゲーム」に一度抜かれはしたものの、なぜアバターが世界中で1位であり続けると思われますか?

ジョン・ランドー アバターがトップに君臨しているのは、時代を超えた普遍的な物語だからでしょう。非日常的な状況に置かれた普通の人々の物語で、私たちが実際に行くことを夢見るような世界を背景にしています。そして何より、自分でも驚くくらい気に掛けてしまうキャラクターが中心になっていることです。

 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」も同じくらい普遍的で、より大きく、より壮大なスケールの物語になっています。加えて、前作には登場しなかったティーンエージャーのキャラクターが登場します。この映画は人々を別世界にいざない、私たちが今生きている世界から逃れさせてくれるでしょう。

 今作が前作の記録を超える作品になるかと聞かれることがありますが、私にとってはそんなことはどうでもよいことです。どんな映画でも、その時代に合ったものを作らなければならない。「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の目標は、観客に映画を楽しんでもらうことです。

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

新技術は「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の魅力ではない――その真意

―― 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の撮影と並行して、第3作、第4作の実写撮影も行われていると聞きます。前作から10年、この間の技術的進化や蓄積が今作には注がれていますが、同時期に撮影となると、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」からの技術的進歩がどうなるのか気になります。どういった要素で引き込ませたい考えですか?

ジョン・ランドー まず、新技術は「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」の魅力ではありません。同作の魅力はストーリーで、見た人をそうした世界にいざなう、つまり私たちがあなたを行動させるのです。テクノロジーによりそれが可能になったのは確かですが、それはやはりストーリーに奉仕するものです。

 テクノロジーについて言えば、昨日終わったばかりの撮影に用いた技術は、明日の次の撮影に使う技術にはおよびません。その次も、またその次も。毎日が過去にやったことの積み重ねです。

―― フッテージ映像披露の場では、ジェームス・キャメロン監督がいかに偉大かを語っていました。偉大なカリスマであるキャメロン監督と仕事をする上で、プロデューサーとして必要な資質があるとすればどういったものですか?

ジョン・ランドー 忠誠心、思慮深さ、そして理由を明確にする能力。例えば、キャメロン監督に「そのやり方はダメだ」とは言えない。なぜそうしてはいけないのか、その理由を説明できるようにならなければならない。それはプロセスにも、創造的なものにも、音楽にも当てはまる。何であれ、自分の立場を明確しなければならない。

質問「プロデューサーにとっての成功とは?」

―― 一般にプロデューサーは興行的成功を期待されます。でもあなたはそれが唯一のゴールではないと捉えているようです。あなたにとって、あるいはこの作品の創造的な成功とはどういったものですか?

ジョン・ランドー 私にとっての創造的な成功は2つです。1つは、これが最も重要ですが、観客が映画を楽しんでくれること。そしてもう1つが二次的なことですが業界の同業者の反応。映画業界の同業者が、「すごいね」と言ってくれること、彼らから良いリアクションが返ってくることです。実際、ジムが成し遂げたパフォーマンスは同業者からも一目置かれるものでした。

 オスカー賞の受賞や世界一の映画興行収入は幸運なことですが、私にとっては重要な指標ではありません。あなたがこのインタビューの冒頭、どれだけこの映像が好きかを話してくれたあの個人的な反応、それが私にとって何よりも大切なこと。一番大事なのは顧客が映画を楽しんでくれているかどうかです。

ジョン・ランドー

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