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ローソン「味のしない飴」“まさに虚無味”と話題で正式発売へ 担当者「『逆転の発想で面白い!』上司が背中を押した」(1/2 ページ)

「唾液が出ることは体に良い」とまじめに健康的な商品として開発。

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  ローソンは2022年10月25日からのテスト販売を経て、「味のしない?飴」(189円)を2023年6月に正式販売(予定)すると決定しました。食品は見た目やパッケージもさることながら、最も重視されるのは風味のはず。大胆な挑戦はどのように始まったのか、ローソンの担当者に取材しました。 

味のしない?飴 「味のしない?飴」 色も白の半透明(現在は販売終了)

 「味のしない?飴」は、食物繊維(ポリデキストロース)と甘味料のエリスリトールを原料にカンロが製造しています。1粒(3.4グラム)あたりのエネルギーは3.1キロカロリー。コロナ禍での、特に乾燥を防ぐ目的で口の中を潤わせたいという需要の高まりと、「甘い飴を食べ続けるのは苦手」「マスクをしているため、ミント味は目に染みる」という意見が開発につながったとしています。

 購入した人からは、「すごい!!虚無!」「うっすーーーーーーーい甘味を感じる気がするレベルでほんとに『無』」と味がないことへの驚きや、「つわりのときにほしかった」「観劇の時にいいかも」など需要がうかがえる声がありました。メーカー7社による「テスト品総選挙」では約6000票を獲得し、全7商品中1位を獲得するほど人気になっています。

味のしない?飴 「味のしない?飴」のほか、「ポテトチップス ガーリックマヨネーズ味」「あたためておいしいカフェラテ」が商品化されることに(ローソン研究所【投票結果発表!!】メーカーさん7社による「ありそうであまりなかった商品」

 コロナ禍に誕生した不思議な飴、「味のしない?飴」の開発の経緯や当初の社内での反応、購入者からの反響をどう受け止めたか、ローソンの担当者に聞きました。

社内では「意味がわからない」「本当に売れるのか」などの意見も

――「味のしない?飴」の開発が始まったのは2021年5月ごろだと伺いました。開発のきっかけとなった出来事、エピソードを教えてください。

担当者「コロナ禍でずっとマスクをしている中で、口の中を潤わせたいというニーズは高まっている」と感じていました。しかしながら、「甘い飴を食べ続けるのは苦手」「マスクをしているので、ミント味は目に染みる」などの意見があったことを受け、味のしない飴の開発を決めました。唾液が出ることは体に良いということもあり、まじめに健康的な商品として開発しています。

――社内で提案したときは、どのような反応がありましたか。

担当者「飴なのに味がないとは意味がわからない」「いつ舐めるのか」「本当に売れるのか」などネガティブな意見をいただいたこともあります。一方で、上司から「味がしない飴とは逆転の発想で面白い! 開発のストーリーもあり、お客様は必ず振り向いてくれるはず、やってみよう!」という後押しをいただきました。

――味がしない飴を実現するにあたって、苦労したことを教えてください。

担当者「味がしない」を実現するために、どういった原料を使用するのかを模索しました(※結果的に甘さの少ない原料、ポリデキストロースを使用)。原料の調達も苦労しましたが、さまざまな人の協力を得て実現できたと思います。

――テスト販売でどのくらい売り上げがありましたか。また、1位になると予想されていましたか。

担当者発売から1週間以内にほとんどの店舗で完売となるなど大変ご好評いただきました。「味のしない飴にニーズはある」と自信はありましたが、まさか1位になるとは夢にも思っていませんでした。

――たくさんの反響について、どのように受け止めてますか。

担当者「まずい」とお叱りを受けるかもしれないと思っていた手前、非常に多くのお客様に「こういう商品が欲しかった」とのお声をいただけて、素直にうれしいです!

 味がしない、口の中に何もないことを「虚無」という絶妙なワードで表現していただいているお客様が何人もいらっしゃいました。「あっ!そんな表現があったか!」など、お客様の声から、さまざまな気づきを得られました。


 「味がしない」という今までにない発想で作られたため「本当に売れるのか」と懸念された「味のしない?飴」ですが、テスト品総選挙では1位を獲得し、発売1週間以内にほとんどの店舗で完売するほど人気になりました。2023年夏、多くの人の支持された商品が正式発売されるのが楽しみですね。

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