「猫が特に感じやすい味は?」「日本に一番多い猫の柄は?」――自称・猫好きが衝撃を受けた「ねこ検定」の意外な難易度、財産となったテキストの魅力を語る
“猫の愛を知る”きっかけになるかも?
突然ですが問題です。猫が特に感じやすい味は何でしょうか? 猫が毛繕いをする順番で一般的に最初にする場所はどこでしょうか?
われわれにとって非常に身近な存在である猫たち。一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると、2021年の猫の新規飼育者数は前年より増加、関西大学宮本勝浩名誉教授によると、2022年のネコノミクス(猫関連の商品やサービスが生みだす経済効果)は約1兆9690億円に上るとの試算が発表されました。
筆者も「はち」(11歳/オス)、「タロス」(推定4歳/メス)という猫2匹の飼育者。2匹のためのフードやおもちゃの購入などでネコノミクス効果に僅少ながら貢献していると自負しています。日頃のファッションから生活グッズに至るまで猫柄のグッズでそろえたり、過去には猫たちが使うためのベッドとして人間用に販売されているロフトベッドを購入したりなど……猫中心の生活を送る大の猫好きです。
なかでも、猫好きが高じてチャレンジした「ねこ検定」は、筆者にとって「勉強してよかった」「受けてよかった」と非常に感じたものであり、猫との生活のあらゆる場面で役立つものでした。
本記事では、そんな「ねこ検定」の詳しい内容や意外な難易度、役に立つかもしれない例題やスマホからも受けられる試験当日の様子などをご紹介。身近だからこそ“なんとなく知ったつもりになっていた”猫のことをより深く知り、さらに愛を深めるきっかけになるであろう同検定の魅力を語り尽くします。
ちなみに冒頭の問題は、同検定の公式サイトで提供されている初級の練習問題。答えは「苦味」と「前足」です。猫好きの皆さん、答えられましたか?
ねこ検定は意外と難しい?
「ねこ検定」は毎年3月末にねこ検定委員会によって開催される民間の検定試験。猫にまつわる知識を深め、猫との暮らしをより豊かにする目的で実施されています。
2017年の第1回から2022年の第5回までの総受験者数は1万7124人。試験は初級、中級、上級の3段階が設けられており、全100問の問題はそれぞれの難易度に対応した試験の参考書となるテキスト(『初級』『中・上級』、中・上級のサブテキストとなる『ねこの法律とお金』)から中心に出題されます。
ちなみに筆者は初級および、中級を保有しています。「上級持ってないのかよ!」と思われるかもしれませんが、これがなかなか難しい……! 合格までに2カ月間、毎日約30分〜1時間の勉強をしましたが、合格基準が「100問中おおむね70問以上(※)」のため、これでも“ギリギリ合格するための勉強時間だった”と実感しています。
(※)過去回よりも正答率が低い場合は合格基準を引き下げる可能性があります
勉強を始める前は全て4択問題ということもあり、「猫好きなら簡単に合格できるだろう」と高をくくっていましたが……テキストをさらっと流し読みした程度では回答に悩む問題がまあ多いこと。これまで大学や車の免許など、いわゆる大きな試験に向けた勉強しかしたことがなく“検定慣れ”していないせいもありますが、思い付きで直前に申込んでしまったことを軽く後悔しました。
一方で勉強自体は非常に楽しく、かなりのめり込む形で学ぶことができました。この2カ月間で得た知識は猫好きである自身の財産になっていると思います。
例題を解いてみよう!
テキストは“猫の専門書”!?
テキストは、合格に向け欠かせないアイテム。歴史などの学術的な内容から生態、飼育方法、雑学や芸術まで、猫にまつわるあれこれがかわいい絵と写真で詳細に解説されています。
筆者が途中で投げ出さず同検定に向き合えた最大の理由は、猫愛にあふれたこのテキストの存在にあります。猫と長年暮らし、猫にまみれた人生を歩んできた筆者にとっても、知らなかったことや勘違いしていたことが非常に多く、読みながらつい「へ〜!」「え〜!?」と一人で声を出してしまうほどの“猫知識”が充実していたのです。
例えば、ごはん皿を置くのに適した場所(新版ねこ検定初級編51ページから)や、イカやスルメ、サバなどの生の魚介類をなるべく与えないほうがいいこと(新版ねこ検定初級編77ページから)など。同検定の勉強を始めてから筆者が知らずに猫ちゃんたちにストレスを与えていたことや、「猫は魚介類なら何でも食べて大丈夫」と誤解していたことに気付かされました。……わが家の猫ちゃんたちよ、今までごめんね。
なかでも特に面白かったのは、映画「ゴッドファーザー」の猫にまつわるトリビア。マフィアのボスは膝の上に猫を乗せている――というイメージを定着させた同映画ですが、このシーンに登場する猫は撮影所にたまたまいた野良猫だったのだとか。こういった小ネタは日常会話にも使えてうれしかったですし、楽しみながら勉強することができました。
初級、中級合格後の現在も、筆者にとってテキストは“猫の専門書”として手放せない一冊となっており、今でもたまに読み直して、知識と愛を深めています。同検定を受験しなくとも、猫好きならば読む価値があると同時に、猫をこれから迎えようと考えている人や、一緒に暮らし始めたばかりで向き合い方が分からないという人にとっても役立つ一冊だと思います。
ちなみに上級は、猫に関する法律や医療に関する知識も求められるのだとか。保護猫活動や猫カフェの開業を目指している人にも役立ちそうです。
試験会場は猫好きの集まり
同検定の試験は全国5つの会場(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)の他、スマホやPCから受けられるオンライン会場で開催されています。出ぶしょうの筆者は2022年にオンライン会場にて初級、中級を併願受験しました。
オンライン検定の場合、試験中はカメラ機能をONにして、常時こちらの映像があちらに表示されている状態で回答を行います。ここで自分の家の猫をカメラに映してみるもまた一興。オンライン検定では他受験者は見られませんが、会場検定の場合はおそらく猫愛にあふれた“同志”が集まるため、友達作りができそうです。
試験に合格すると、後日自宅に合格認定証が郵送されます。また合格者は有料にて合格を証明するピンバッジや名刺などのグッズを作成できるため、筆者もわが家の猫の写真を入れた合格認定カードを作ろうと思っていたのですが……「どの写真がいいかな」と親ばかをさく裂させていたら申し込み期限が過ぎていました。
“猫の愛”に気付けるようになった
皆さんは猫ってどんな生き物だと思いますか? 冷めてる? 気まぐれ? ツンデレ? 例えば、猫がこちらに背中を向けて座ったとき。猫をよく知らなければ、「やっぱり猫って人間に興味ないんだな……」と肩を落としてしまうでしょう。しかし実はこの行動、「あなたを信頼、安心している証拠」なのだそうです。
これも、筆者がねこ検定を受けたことによって得た知識の1つ。猫は人の言葉をしゃべりませんが、行動やしぐさで私たちにしっかりとサインを送っています。そんなさりげない猫の愛に、前よりは気付けるようになったかも……?
2024年の開催日に向けて、まずは“娯楽”程度に勉強を始めてみるのもいいかもしれません。ちなみに2023年度のオンライン検定の申込は、3月8日まで受付を延長しているとのことです(会場検定は3月1日まで)。試験やテキストの詳細は、ねこ検定の公式サイトから確認できます。
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