コンドームの装着方法を実物で教えてくれた先生 女子高時代の性教育の思い出を描いた漫画に「素敵ですね」「羨ましい」(1/2 ページ)
作者に当時の気持ちや、漫画を描くに至った思いなどを聞きました。
高校生だったころ、とても印象に残った「性に関する授業」と、先生の思い出を描いた漫画がTwitterに投稿されて話題になっています。作者の枇杷かな子(@BiwaAmazake)さんが、授業を受けた当時の気持ちや、漫画を描くに至った思いなどを語ってくれました。
18年ほど前、中高一貫の女子高校に通っていた枇杷さんは、校則違反のチェックが厳しい体育教師、T先生に服装のことでたびたび叱られていました。中学校から進学してきた生徒には「Tちゃん」とあだ名で呼ばれ親しまれていた先生でしたが、高校から入学した枇杷さんにとっては暑苦しく、苦手な存在だったのです。
ある日、T先生が保健体育の時間に、3種類のサイズのメスシリンダーを持ってきました。今回の授業では性感染症についてと、装着の方法も含めコンドームについて学習すると言うT先生。枇杷さんは「なんだこの授業」とあっけにとられます。T先生によると、メスシリンダーはコンドームをつけて見せるために化学の先生に借りたとのこと。
先端をつまみ空気を抜き、男性器に見立てたメスシリンダーに被せ、根元まで巻きおろす一連の動きを見せるT先生。枇杷さんたち生徒は笑いながらも、先生の真剣さに引き込まれるように動作を見つめます。
先生は「コンドームはあなた達の身体と未来を守るもの」と生徒たちに語り、パートナーとの性行為について、相手が自分を尊重しないときや自分自身がしたくないときは断ろう、断ることも立派な選択だ、とも教えてくれました。
今よりも性教育への理解がなく、風当たりも強かった時代に、時間を目いっぱい使って性に関する授業をしてくれたT先生。その後も枇杷さんは先生に苦手意識を持っていたけれど、少しだけ先生と親し気にする生徒たちをうらやましくも思ったのでした。
「なんだこの授業は……」と動揺したり笑ったりしてしまったけど大切なことを学べた
ねとらぼ編集部は、枇杷さんにこのエピソードを漫画化した理由や、授業中の様子、授業を振り返って何を思うかなどについてたずねました。
――この出来事を漫画に書いた理由は?
枇杷さん:ずっとこの授業のお話を書きたいと思っていたのですが、ネームを描いてはやはり発表はやめておこう……というのを繰り返していました。ただこのお話が必要な方に届いたらという思いもあり描いてみました。
――当時この授業についてどう思いましたか。周囲の生徒はどんな様子でしたか?
枇杷さん:「なんだこの授業は……」と、私を含めちょっと動揺したり笑ったりしている子もいる中、真剣にコンドームの使い方を教える先生を見ていました。
――今、この授業のことを振り返って、思うことは?
枇杷さん:多感で性に関しての知識が曖昧だった時期に、大切なことを学べたと思います。
――漫画への反響についてどう感じましたか?
枇杷さん:思ったよりも好意的な反応が多く、ステキな先生だとご感想を下さる方もいて、あの日授業を受けた生徒として少し誇らしい気持ちです。
日本の学校での性教育は消極的な内容との指摘
日本の学校での性教育は消極的な内容で、コンドームやピルなどに関しては不十分であると指摘する研究もあります(参考)。高校生だったころは恥ずかしさや驚きもあって笑ってしまうこともあったけれど、先生が真剣に生徒のことを思っていることはしっかり伝わっていた「性に関する授業」。だからこそ、テストに出なかったにもかかわらず、20年近くたった今でも思い出せるのでしょう。
投稿には「18年も前にそんな授業をしてくれる先生が居たなんて素敵ですね 私も2人の娘に、この先生のようにコンドームの付け方を教えました。大事な事だと思います」「わあ!私も中高一貫女子校で、同じような授業を受けました。とても大事な事ですね」など、性教育の大切さを実感したという声が多数寄せられました。
一方で、「こういう先生に出会いたかったし、子ども達にはこれから出会って欲しいなと思う」「全校生徒で体育館に集まって装着方法から取り外し方、その間の行為までニュースみたいな再現CGでスクリーンに映されてた…15年前だけど。保健の授業は先生があまり熱心でなかったので雑談の時間でした。素敵な先生の授業をうけられて、羨ましいきもちです」など、漫画に描かれていたほど充実した性教育を受けられず、うらやましく思う人も。
枇杷さんは子どもから学生時代の思い出などについて漫画化、特に優しい祖母との心温まるやり取りについては多数の作品があります。また、『アゴが出ている私が彼氏に救われるまで』は2021年にKADOKAWAより書籍化されています。
作品提供:枇杷かな子(@BiwaAmazake)さん
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