「妊娠中でも寿司が食べたい」をかなえる「加熱寿司」 3分で完売し日常用バージョンも登場、開発の背景を聞く(3/4 ページ)
「妊娠中でもお寿司が食べたい」という思いから始まり、進化し続ける「加熱寿司」。
リーズナブルな「てまり寿司」開発。将来的には海外も視野に
そうして2022年11月に一般販売した「加熱寿司」は即完売。2023年、渡邊さんはお客さんのリクエストに応えて、「てまり寿司」作りに挑戦しました。
「加熱寿司が『ハレの日』に食べるものに対して、『日常食べられるお寿司も欲しい』というご意見自体が、妊娠中に限らず、みんなが思うことかなと感じておりまして。誰だって高級なカウンター寿司に行きたいときもあれば、回転寿司で100円のお寿司が食べたいときもある。そこへの理解や共感をどうにか実現したい、というところから始まりました」(渡邊さん)
1人前全9貫6900円の「加熱寿司」に対し、「てまり寿司」はサーモン、穴子、ホタテ、タイ、えび、カンパチ、たまごの7種全8貫で4900円(期間限定3900円)と価格もリーズナブルです。寿司ネタを仕入れに時間や手間がかかりすぎないものを厳選し、箱は日常用のものとして木から木目模様の発泡スチロール素材にするなどして費用を抑えたとのこと。とはいえ、「そもそもの利益を相当削っているというのが正直なところ」だといいます。
「お客さんの声にどうにか応じることはできないか模索した結果、利益よりもまず価値を届けたいという思いから実現することに決めました。せっかく限られた時間で仕事をするのであれば、事業上有意義なことをしたいという気持ちがあったんです」(渡邊さん)
「てまり寿司」もまた、7月8日に販売されてから、初回販売分が約10分で完売。多くの人が発売を楽しみにしていたことがうかがえます。「1日はもつと思っていたのですが、売り切れてしまいました。お客様の要望に応じきれてないという情けなさもあるので、今、急ぎ再販体制を整えています」(渡邊さん)
今後の目標は、まず、供給が追い付いていない「てまり寿司」をお客さんのもとへ届けていくこと。それと同時に、海外進出の準備を進めているそうです。
「実は海外への輸出も、試験的に始まっていて、どういうふうに喜んでもらえるのか、まだまだ不透明ですが、需要があるのであれば、日本の妊婦さんはもちろん、生ものが食べられない海外の方にも提供できればなと思っています」(渡邊さん)
妊娠中のTwitterのつぶやきがきっかけで、同じようにお寿司を我慢している人に届けたいという熱意で実現した「加熱寿司」と「てまり寿司」。海外で「加熱寿司」がどのように展開していくのかも、気になりますね。
※価格は2023年7月21日時点のもの
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