顔がぐちゃぐちゃだった黒猫が、今では地域のアイドルに―― 娘にせがまれお迎えした元保護猫、感動の実話が教えてくれること(1/2 ページ)
第29回は保護猫「どん」くんです。
近年、動物の虐待や飼育放棄、悪質な業者による繁殖・販売、不適切な飼養が社会問題となっています。個人や団体、地域が行き場をなくした動物たちを守るため、日々保護活動に取り組む一方で、動物たちが命を失う悲劇は後を絶ちません。
環境省Webサイト「動物の愛護と適切な管理」は、2020年4月1日〜2021年3月31日に殺処分された犬・猫の全国総数が2万3764匹と発表。昨今、国内では殺処分への否定的な意見と保護への関心が高まり、殺処分数は減少傾向、保護犬・猫の譲渡数は増加傾向を見せています。微力でも地道に保護という選択を伝え続けていくことが、動物たちの命を守ることにつながるかもしれません。
そこで、ねとらぼ生物部では保護動物と暮らす読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、尊ぶべき命の輝きや、愛する家族との暮らしの喜びを伝えていきます。
第29回は飼い主・桜さんと暮らす保護猫「どん」くん(現在の年齢:5歳)。譲渡会で出会った目の見えない猫ちゃんが、猫駅長として多くの人から親しまれるまでの軌跡を、漫画家・ちゃびすこ(@chiyabisuko)さんの漫画とともに紹介します。
―― どんくんとの出会いと、保護当時の状況を教えてください
桜さん:2021年7月に実家の下に隠れて住み着いていたシャムの子猫「るな」を保護後、2匹目を迎えるため参加した譲渡会でどんちゃんと出会いました。私としては正直、若くてかわいい猫をお迎えしたかったのですが、娘が目が見えない黒猫を引き取りたいと言って聞かず……。
どんちゃんは推定4歳で保護されたそうですが、猫風邪をひいており、すぐに動物病院へ連れて行ったものの片目が見えていない状態だったようです。顔はぐちゃぐちゃで、もう片方の目もあまり見えておらず、常に目から汁が出ていて、鼻が詰まっていました。
―― どんくんの現在の様子を教えてください
桜さん:「どうして若くない、目の見えない猫を娘が気に入ってしまったのか……」と不安を抱えつつ迎えたどんちゃんですが、とても人懐っこい性格で、るなともすぐに打ち解けました。
今では2匹、仲良く暮らしています。目が見えないながらも、るなと一緒に家の中を探検して慣れていったようです。家の中のお気に入りの場所も見つけ、穏やかに過ごしています。すっかりわが家のアイドルです。
そんな人懐っこい性格もあって、現在は猫駅長として活躍しています。どんちゃんのストレスになると大変なので、基本は在宅勤務ですが、わが家だけでなく地域のアイドルとして親しまれています。
―― 最後に、保護動物に対する思いを聞かせてください
桜さん:私自身、テレビなどでペット特集をよく見ていましたが、目の見えない猫がいるなんて知りませんでした。猫を迎えるまで、猫に興味がなかった私は野良猫の現状を全く知らなかったのです。
先住猫のるなは保護前、カエルなどを食べてどうにか生きていたようです。動物病院で診てもらったときに寄生虫がたくさんいることが分かりましたが、なかなか駆除できなかったため体重が増えずガリガリでした。
2匹が来てくれて、家族に笑顔が増えました。しかしペットブームの裏では、ケガをしたり病気を持っていたりして捨てられてしまう動物もいます。
どんちゃんが猫駅長として親しまれることで、不幸な猫がいることを少しでも多くの人に知ってもらい、1匹でも悲しい思いをする動物が減れば……と思っています。だって、動物たちは自分の身に起きたことを私たちにしゃべってはくれないのですから。
(了)
娘さんにせがまれ、不安を抱きつつもお迎えしたどんくん。その人懐っこい性格で、桜さんの不安をすぐに消し去り、今では地域のアイドルとして親しまれています。
どんくんの活躍が一つのきっかけとなり、多くの人が平等な命の輝きに気付くことを願わんばかりです。これからも桜さん家族のもとで、2匹仲良く過ごしていってくださいね。
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