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加齢による筋力低下で歩けなくなった愛犬、最後の力を振り絞って…… 誇りを失わなかったドーベルマンの思いに涙

「ペットの介護エピソード」第4回はドーベルマンのドリーちゃんです。

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 近年、飼い主の「ペットは家族の一員である」という意識が高まり、ペットに対しても健康で長生きできるように、生態や習性に合わせた適切な飼養管理が行われるようになってきました。生活環境や栄養状態の改善、ワクチンや駆虫薬の普及、獣医療の進歩などさまざまな要因で、ペットの平均寿命が延びています

 「一般社団法人ペットフード協会」による「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳。10年間で犬は0.58歳、猫は1.05歳寿命が延びています。成犬・成猫は1年で人間の4歳分の年齢を重ねるといわれており、大きく寿命が延びていることが分かります。

 寿命が延び、愛するペットとともに長く暮らしていけることはとても幸せなことですが、長寿化ゆえに新たな課題も発生しています。それは加齢により生じる体の不調です。

 ペットも人間と同じで、歳を重ねるにつれ体力や免疫力が落ち病気にかかりやすくなったり、足腰が弱ってきたりします。それだけでなく、認知症や寝たきりになって、人と同様に介護が必要になるケースも。もちろん加齢だけでなく、病気やケガなどが原因で介護が必要になることもあるでしょう。

 そこで、ねとらぼ生物部ではペットを介護した経験のある読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、介護の現実や厳しさだけでなく、その経験から生まれるペットへの深い愛情や命の尊さを伝えていきます。

犬の介護
ドリーちゃん

第3回 ドーベルマン「ドリー」ちゃんと飼い主さん

―― 介護が始まったときのペットの年齢と、きっかけを教えてください

 12歳半のときに、加齢によって足の筋肉が衰えてきました。足の筋力が低下し、関節の痛みで歩行に自由がきかなくなり、年を重ねるとともに5分も歩けなくなりました。

犬の介護
犬の介護

―― どのような介護をしていたのでしょうか

 散歩のときは後ろ足が少ししか使えないため、体の後方を支えたり持ち上げたりしなからも、自分で歩かせるようにしました。

犬の介護

―― 介護する中で一番大変だと感じていたことを教えてください

 大型犬は大きく体重があるので、私と妹の女性だけのお世話は大変でした。特に動物病院に行くときに抱えて運ぶのがかなり重く……。医療費もかなり高額になり金銭的にも精神的にも大変でした。

犬の介護

―― 介護生活のなかでの学びや気付いたことがあれば教えてください

 どんなときも飼い主に愛情を与え続けてくれ、最後まで前向きに生きようとしている姿を見て犬なりの誇り、プライドの高さを愛犬から学びました。犬は楽しい思い出を最後まで忘れないみたいです。

―― 介護生活の中で心掛けていたことがあれば教えてください

 後悔しないために最善を尽くせるよう努力しました。犬の病気は人間にも通じるので、獣医師に頼りきりにならず、自らも書物で学んだり、医療に詳しい人に相談、勉強したりしました。

犬の介護

―― 介護していたペットへの思いを教えてください

 15歳でお空へ行く前日まで散歩に行っていました。翌日の朝に突然悪化し、完全寝たきりになってしまい……首さえもやっと上げられる位の状態で手足は固まり、声も出なくなり大変でした。

 その日は台風がきていて大雨で強風がふいていたため、雨風弱まると予報があった午後に動物病院の予約をとり、その間に私は以前から予約していた自身の病院へ出かけようとしました。そのとき、立てずに鳴けなかったドリーがフラフラ立ち上がり私たちの方へ歩いて来たので、素人の私は「よくなった、大丈夫」と勘違いしてそのまま病院へ行ってしまいました。そして1時間足らずで帰宅して愛ドリーの様子を1番に見たら……すでに息を引き取っていました。

犬の介護

 私は泣きました……。命の火の残り少ない状態で私たちに向かい歩いて来たドリー、なのに、病院へ行ってしまった私……。しっかり、受け止め抱きしめるべきだったのに。3年近く月2回通院していた状況に慣れていてそのまま病院に行ってしまい、最後の力を振り絞って歩いて来てくれたドリーの気持ちに答えられなかった……その瞬間、介護のことを「月2回の動物病院への通院を大変、つらい」と感じていた自分を恥じました。今でもそのときの光景が忘れられません。

―― 介護中の方へのアドバイスがあれば教えてください

 介護は、大変でつらいときもあります。自分1人で抱えこまず、同じ様な境遇の友達、話せる相手を見つけることが大切です。どんなときも愛犬は、飼い主に愛情を与えてくれます。絶大な信頼を寄せてくれているので、絶対に見捨てないという気持ちも大切だと思います。

犬の介護

―― 最後にドリーちゃんとの1番の思い出を教えてください

 大型犬のドッグランに行ったとき、同じドーベルマンがいたので一緒に遊んでもらおうとしたのですが、相手の子が来たら逃げ回り、私の後ろに隠れて震えてしまいました。

犬の介護

 ドーベルマンは怖いと思われがちですが、実は小型犬が大好きで。一緒に住んでいるチワワに遊んでもらおうと近寄ったときにチワワに足をかまれて……すごく寂しそうな顔をしていました。ドリーは見かけは怖くても優しい女の子でした。

(了)

犬の介護
ドリーちゃんの飼い主さん、ありがとうございました

 少しでも健康で長生きしてほしいからこそ、介護に全力を尽くし、自身の生活や心身に大きな負担を掛けてしまう飼い主さんも少なくありません。状況によってはペット介護サービスを利用する、同じく介護をしている人たちと情報を共有するなど、1人で抱え込まない環境づくりも大きな助けになるでしょう。

 これからペットを迎えようと考えている人や、現在介護の必要がない飼い主さんは、健康寿命を伸ばす対策をする、介護の知識を取り入れるなど、少しずつ準備を始めておくと良いかもしれません。介護も含めて大切なペットとの一生です。その時間も愛せるようにペットと寄り添い続けていきたいですね。

 ねとらぼ生物部では、引き続き「ペットの介護エピソード&お写真」を募集しています。犬猫、小動物、爬虫類など、動物のジャンルは問いません。アンケート内容とお写真は部内で審査の上、記事で紹介する可能性があります。

 貴重な体験談を【こちら】までお寄せください。皆さまからのご応募、お待ちしています。

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