動きが遅く元気がない子犬を慌てて病院へ連れて行ったら…… 飼い主ズッコケの診断名に笑い「気を引くことに長けた犬でした」(1/2 ページ)
「ペットロスとの寄り添い方」第18回は犬・塁くんです。
多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。
愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。
飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。
そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。
第18回 飼い主・辻野さん/パピヨン「塁(るい)」くん
―― 塁くんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください
辻野:塁は自宅で生まれました。生後2週間くらいのころ、他の兄弟犬に比べ、「動きが緩慢(かんまん)な気がする」「元気がない気がする」と思い、慌てて病院に連れて行ったところ、さまざまな検査の結果どこにも異常はなく、獣医師から「単に覇気のない犬です」と言われたことが印象的です。
また去勢手術後3日間ほど動かず、オシッコは垂れ流し、フードも手から与えないと食べない状態になったときのこともよく覚えています。「去勢手術でこんなに弱るものだろうか」と、試しに大好きなグラウンドに連れて行ったのです。そしたら突然、全速力で走り始めて……仮病でした。飼い主の気を引くことに長けた犬でした。
―― 塁くんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください
辻野:塁は17歳11カ月で虹の橋を渡りました。寿命を使いきって旅立った、精いっぱい生ききったであろうと思ったので、「お見事でした」と褒めてあげたい気持ちでした。
晩年介護が大変だったこともあり、急にやることが無くなって、虚無感があります。「あぁ、もうあれもこれもする必要が無くなってしまったんだ」と寂しくなります。
ただ多頭飼いでまだ残っている子たちがいること、仕事をしていることもあり、あまり感傷に浸る間もなく、日常生活をこなしています。同僚からの「塁ちゃんの魂はいつもあなたの側にいるよ」という言葉がうれしかったです。
―― 現在の心境を教えてください
辻野:うしなってからまだ日が浅く、実感に乏しい面はあります。ただ前述の通り、天寿を全うしてくれた、約18年も側にいてくれたという思いがあるので、悲しみよりも感謝の気持ちでいっぱいです。とはいえ、無性に寂しいですが……。
―― 塁くんに伝えたいメッセージ
辻野:いろいろなことを教えてくれた。私の人生に楽しいこと、うれしいことをたくさん添えてくれた。晩年は介護が大変で、心が折れそうなときもあったけど、そこまできたからこそのかわいさ、いとおしさも知ることができた。心からの感謝でいっぱいです。
(了)
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