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愛猫が息を引き取る直前「ありがとう、楽しかったよ」と声を掛けたら…… 家族みんなが久々に集った夜の奇跡に涙(1/3 ページ)

「ペットロスとの寄り添い方」第22回は猫・きららちゃんです。

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 多くの飼い主が一緒に暮らす動物を“大切な家族の一員”として捉え、人生をともに歩んでいます。動物と暮らした時間は長くとも短くとも、深い愛情を持って接した分、飼い主にとって人生のかけがえのない一部となり、別れは深い悲しみとなって心身に押し寄せます。

ペットロスとは

 愛する動物との死別による喪失感や混乱、後悔など、抱えきれないほどの悲しみによって心身が不安定になる状態を指す「ペットロス」「ペットロス症候群」。2023年、20歳〜69歳のペットを飼っているまたは飼育経験がある391人を対象に実施された「ペットロス」に関する調査では、「約8割が『ペットロス』という言葉を見聞きしており、約4割が実際に経験している」と発表されています(サンセルモsorae調べ)。

 飼い主にとって非常につらい経験となり、カウンセリングを要するケースもあることから、「ペットロス」「ペットロス症候群」は今、メンタルヘルス上の大きな課題として多くの人が向き合っています。動物とのこれまでの日々を忘れたり、死を乗り越えたりすることはできないかもしれませんが、時間の経過とともに受け入れ、いつかふと思い出したときにあたたかい涙がこぼれるような“寄り添い方”はあるはずです。

猫 第22回は飼い主・青田ZAPさん/猫「きらら」ちゃん

 そこでねとらぼ生物部では「ペットロスとの寄り添い方」をテーマに、読者にアンケートを実施。寄せられたさまざまなエピソードから、愛する動物との思い出や別れ、当時の心境や救われた出来事をご紹介していきます。現在動物と暮らしている人や、悲しみの渦中にいる人に寄り添うヒントとなれば幸いです。

第22回 飼い主・青田ZAPさん/猫「きらら」ちゃん

―― きららちゃんのプロフィールと出会い、思い出や印象的なエピソードを教えてください

青田ZAPさん:きららは私の母のバレーボール仲間の方のお家で生まれた猫です。わが家の家族構成は父、母、私(長男)、弟の4人家族。当時私は中学生、弟は小学生でした。

 そこにやってきた女の子の猫だったので、それはもうかわいくて仕方なく、階段の登り方を教えたり、一緒に家の中を走り回ったりと、たくさんたくさん遊びました。

 きららとの思い出はたくさんあります。すごくツンデレな猫さんだったので、あまりベタベタすることがなかったのですが、寝るときだけは誰かの足元に来て必ず一緒に寝てくれました。

 お別れの前日、そのきららが大好きな母と背中を合わせてピッタリくっついて寝ていた光景が今でも忘れられません。生まれてすぐにわが家へやってきて、お外に出たことがなかったので、食事やしぐさ、寝相などが人間そっくりだったことが印象的です。

―― きららちゃんと別れてからの心境や、救われた出来事などがあれば教えてください

青田ZAPさん:子宮がんを患い、17歳で虹の橋を渡りました。ある日きららのおなかに腫れ物を見つけ、そこから血が出てくるようになり、動物病院へ連れて行きましたがもう手遅れでした。腫瘍があるため、その日から抱っこができなくなってしまいました。

 お別れは普段忙しくしている家族みんながそろった日の夜でした。きららはフラフラしながら歩いていて、息も絶え絶えとなっていました。それでも一生懸命歩こうとする姿を見て涙が止まらず、耐えきれず抱っこしていつも寝ている猫ベッドへ連れて行きました。

 一時期、とても元気なときは体重が7キロもあって重たかったきららが、そのときはあまりにも軽くなってしまっていて、本当に病気で辛かったんだなぁとまた涙が止まりませんでした。

 最期は大好きな母のおなかのところに潜り込むように横たわりました。息も絶え絶えの中、みんなで「ありがとう!」「楽しかったよ!」「ありがとう!」と声をかけると、きららはすごく大きな声で「にゃー」と一言鳴いて息を引き取りました。

 きっときららも「ありがとう」としゃべっていたのかなと思いました。それからは放心状態で、何も考えることができませんでした。ちなみに虹の橋を渡ったその日が17歳のお誕生日の日でした。

 お別れしてからは猫の画像を見るだけでも涙が止まらず、なるべく考えないようにしていました。仕事中などもふと思い出したり、スマホにたくさん保存してある写真や動画を見てしまったりするとそれだけでも涙が止まらなかったです。

 何よりも夜、布団に入ったときに足元の重さを感じなくなったことが一番寂しさを助長しました。16年間も一緒にいて、きららがいることが当たり前の生活になっていたので、常にお家のどこかにいるような気がして仕方なかったです。

―― 現在の心境を教えてください

青田ZAPさん:1年たっても2年たっても猫ロスは続きました。家族とも話し合って何度か保護猫譲渡会などにも行ったのですが、行く度にいろいろな猫さんを見ては涙が止まらなくなってしまい、新しい猫さんを迎えることすらも考えられませんでした。

 そんな中、新型コロナウイルス感染症がまん延し、外出自粛になってしまいました。私がグラフィックデザイナーの仕事をしており、その期間中イラストを描くこともありました。そのイラストできららの生きた証を残すことができないかと考え、絵本を描くことしました。

 16年間、ずっと家猫でお外の光景を知らなかったので、絵本の中でたくさん旅をすることができればと思い、描き始めました。それを自身のInstagramアカウント(@bucha_fuppu)で投稿するようになり、今では600話を越えました。

 その投稿を通してたくさんの他の猫さんや飼い主さんと出会い、フォロワーさんのお家へご招待いただき猫さんに会いに行くなど、新しい交流が生まれるようになりました。

 そうした出会いの中で少しずつ、猫ロスが薄らいできた気がします。きっときららが新しい出会いを作ってくれて、悲しんでいた気持ちを新しい方へ向けてくれたのかなと感じています。

 新型コロナウイルス感染症による自粛が明けた今は、仕事も元通りに忙しくなってしまい、少し投稿をお休みしていますが、時間ができたときにまだまだ描き続けていきます。

 ちなみに2022年、きららが虹の橋を渡って3年たったとき、父と母がサプライズで新たな猫さんを家族として迎えました。しかも今度は姉妹猫! 2匹の猫さんがやってきて、きららとは全く違う性格のやんちゃな姉妹がまた家中を走り回っています。

―― きららちゃんに伝えたいメッセージ

青田ZAPさん:私や弟が青春真っ只中のときにお家にやってきて、常に癒やしの存在になってくれました。家族の会話もきららがきっかけになることも多く、家の中も常に明るく、笑いが絶えませんでした。

 人生のいろいろな節目に必ずそばにいてくれて、寄り添ってくれたきららは立派な家族の一員です。本当にありがとう。いずれまた、会おうね!

(了)

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