ロイヤルカナン、子猫用キャットフードにビニール片混入 飼い主がX投稿で呼びかけ 広報「再発防止に努める」(1/2 ページ)
ロイヤルカナン社広報に取材しました。※追記あり(6月3日)
ロイヤルカナン社のキャットフードに異物が混入していたとX(Twitter)に投稿されました。記事執筆時点で77万件表示を突破するなど拡散され、物議を醸しています。編集部はロイヤルカナン社広報に取材しました。
投稿者は複数の猫と暮らし、動物に関する職についているエウレカ ガルフレッドウェイ(@EUREKA247)さん。5月11日、子猫にごはんをあげようと「ロイヤルカナン マザー&ベビーキャット トレイ 100g」(賞味期限2025年7月2日)を開封。子猫が離乳後期のためカリカリと混ぜていたときに青いビニール片が混入していることに気付きました。幸い、子猫に与える前に気付いたので誤飲はなかったとのこと。
お客様相談室に連絡しようと思ったものの、この日は土曜日で対応しておらず、仕事で面識のあったロイヤルカナン社の営業担当に連絡。週明けに該当のフードを回収、代品を受け取ったとのこと。その際「事実の公表と回収」の希望を伝えたそうです。
また、国民生活センター、関東地方環境事務所、動物愛護ふれあいセンターにも合わせて連絡を済ませたといいます。
後日、回収したフードの調査報告書を受け取った際に営業担当より「詳細を調査中なので、現段階では公表しないと会社が判断した」と伝えられたエウレカさん。
異物は「プラスチックフィルム片」であり「当該製品の製造工場において原材料が納品される際に使用する梱包材の一部」と判明したと伝えられました。製造工場では規格に定められた大きさ以上の粒子サイズの原材料の混入を防止しているものの、今回のビニール片は取り除かれなかったと報告されています。
すぐには公表と回収が行われないと知ったエウレカさんは、かなり迷った末「対象が子猫なので、もしも間違って食べて、オペや最悪命を落とすようなことになってはいけない」とXに投稿し、「同様のことがありましたらメーカーさんへ直接お知らせくださいとのことですのでよろしくお願いします」と呼びかけています。
編集部では、エウレカさんに話を聞くとともに、ロイヤルカナン社に取材を申し込んだところ、この度の件は「事実である」との回答を得ました。
ロイヤルカナン社 広報の回答
――この度の異物混入に関する一連のやりとりは事実でしょうか
このたびはご心配ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません。弊社営業担当者は5月13日にお客さま宅を訪問し、当該製品を回収するとともに混入物の特定と原因をご報告する旨をお約束し、5月20日に報告書をお持ちして、おわびと再発防止に努める旨をお話しいたしました。
――「公表・回収」はしないと投稿者に伝えた点は事実でしょうか。またなぜその判断になったのでしょうか
本事案につきましては、現在も製造工場にて混入の範囲等詳細を調査中です。公表・回収の実施につきましては、調査結果に基づいて判断いたします。調査結果が出次第、お客さまにご報告させていただく予定です。
改めまして、大切な愛猫の食事に関わるこの度の事案発生により、当該お客さまをはじめ、多くの弊社製品をご愛顧いただいておりますお客さまに大変ご心配をおかけしておりますことを、慎んでおわび申し上げます。誠に申し訳ございません。
投稿者への質問
――異物が混入していたのは1缶だけでしたか
発見した異物混入は1缶だけです。同じロットのものが何個か残っていた(普段特段ロットを気にしていないので、箱から開けて別の棚にしまっています)のですが、残りは営業さんに返していて、開封していないので分かりません。
過去に軟骨のようなものが入っていたことはありましたが、そのときは問い合わせたら「製品の仕様です」と言われました。その際も別に公表などはなかったように記憶しています。
――営業担当者に連絡してからのやりとりはどのようなものでしたか
営業さんとのやりとりはとてもスムーズでした。私はブリーダーでキャットショーに出ているので、営業さんと面識がありました。開封した5月11日はお客様相談窓口がお休みでしたので、早い方が良いと判断し営業さんに電話しました。
その中で「週明けに回収に伺いたいです」という話に合意し、お越しいただきました。いろいろなメーカーさんとお会いする機会がありますが、ロイヤルカナン社の営業さんはとても良い方です。
事前に連絡をした際に電話で「ブルーのビニールのようなもの」と話してはあったのですが、現物を見ずに「原材料のチキンを包んであるビニールですね」と言ったので、おや? と思ったら、前にも同じことあったそうです(知りませんでした)。
「目視で混入に気付けるように、ビニールをブルーに着色しています」とのことですが、結局取り除かれることなく混入していました……。製造のいつの過程か分からないですがビニールが入ったまま加工して何か成分が出たりしないのか、なども本当は心配です。
調査報告書に、ビニール片が何かについては記載がありましたが、他については何も書かれていませんでした。XのDMでもメーカーに連絡しましたが、異物混入に関しての考えや対応についての回答は返ってきませんでした。
――読者に伝えたいことがあればお願いします
私はメーカーさんを糾弾して不買運動を扇動したいわけではなく、淡々と事実の公表してほしいだけです。代替品がないので、違うロットのものを子猫のためにまた買っています。
(了)
【2024年6月3日追記】ロイヤルカナン社より投稿者へ調査報告が通知されたので、その内容を追記します
6月2日にロイヤルカナン社の営業担当と事業部長から、エウレカさんに調査報告書が渡されました。異物混入の原因は「オーストラリアにある製造工場で、当日の工場オペレーション開始前に行われる製造ライン洗浄作業中に、原材料の梱包材(ビニール)の一部が人為的ミスにより、攪拌(かくはん)工程にて使用する大型容器に偶発的に混入したため」とのことでした。
エウレカさん以外に同ロットでの製品に異物混入の申し出がなかったことと、ビニール片は食品用で猫が食べても科学的側面から健康への影響が非常に低いことから、今回は製品の自主回収と公表は行わないという判断になったそうです。
以上の報告を受けエウレカさんは「今後は同事象を含め事故ゼロに向けて品質管理を徹底してほしいと思います。公表と回収の希望は叶わなかったものの、対応のスピードや丁寧さには誠意を感じました。このように改善に向けすぐに調査・改善をされたことに声をあげて良かったな、と少し安堵しています」とつづっています。また、営業担当と事業部長には「私はこれからも、猫が好きなこのごはんをあげ続けたい。これから先のロイヤルカナンを見守りたいです」と伝えたということです。
画像提供:エウレカ ガルフレッドウェイさん X(@EUREKA247)
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