【後編】今一番熱い“器楽奏者とボーカル融合”ガールズユニット「C;ON」を取材 異例尽くしのメジャーデビュー記念ライブで魅せた決意を1万7000字レポート(2/3 ページ)
【後編】1時間のロングインタビューで語られた彼女たちの覚悟と未来とは――。
超異例、無料開催の「LINE CUBE SHIBUYA」公演の裏側
――先日開催された「LINE CUBE SHIBUYA」公演は超異例の無料開催となりました。とんでもないことだと思うのですが、この開催が決まった経緯を教えてください。
栞音:私たちは「今見てもらったら」っていう自信があります。ただお金を払って見に来ていただくって結構ハードルの高いことなので、そのハードルを一度なくして「無料開催なら行ってみようかな」という人を1人でも多く増やして、その人たちを必ずとりこにさせるっていう気持ちで開催に踏み切りました。所属事務所の理解と協力で開催できたんですが、チャンスを生かせるかどうかは自分たち次第なので、環境に感謝しつつ、挑戦したという形です。
昨年からの全国ツアーも無料開催で回らせていただいたんですが、そこでつかんだファンの方のお力がすごく大きいですし、強いものになっているので、今回のワンマンライブでもそうなったらいいなという気持ちでやらせていただきました。
――中でも印象的だった披露曲はありましたか。
愛佳:全部良かったんですけれど、1曲目の「Last Order」です。オープニングを飾る曲だからこそすごく大事じゃないですか。そのオープニング映像がまずかっこよくて、そのあとC;ON初めての紗幕を演出で使わせていただいて、会場にシルエットが写し出されてポーズを決めてるのがかっこよすぎて。ずっと紗幕がパーンッて弾けるのがやってみたかったのですごく思い出に残りました。
聖奈:私も「Last Order」ですね。紗幕を使った演出によって、ステージに立った時点でファンの方の雰囲気が見えない状態は初めてでしたし、紗幕が下りたときにファンの皆さんに会えたことにすごく感動していつもとはまた違う「Last Order」を味わうことができました。
杏実:私は5人で奏でた「道」です。武道館に立ちたいという夢を掲げた大切なワンマンで初めて披露したバラードなんですが、それを5人だけで披露するっていうのがすごくファンに伝えられたのかなと思います。もともとはいろんな音が入っている曲なんですが、5人だけでやるということで私は1からアレンジも作り直して、結構苦労した楽曲でもあるので、思い入れがあるステージになりました。
佳子:「疑事無功」です。C;ONのインスタで「疑事無功」がバズってから味をしめたようにやってるんですけど(笑)。ワンマンではアレンジを効かせてバンド紹介を入れているので、楽器ソロが回って来るんです。今回はさらにパワーアップさせたソロの演奏を聞かせたいなとちょうど思っていたタイミングで、ジャズサックス奏者の米澤美玖さんのライブに行く機会があって。もうその演奏がパッションがあって、エモーショナルで本当に本当にかっこよかったんですね。音で遊んでる感じがとってもステキだったので、美玖さんの演奏を私も取り入れたいなと思って本番の直前ぐらいに自分の音を練り直して本番に臨みました。自分ですごくがんばったなという思い入れのある1曲です。
栞音:私は「曖昧=Libido(=の正確な表記はノットイコール) 」の照明の演出がすごく印象的でした。普段照明を感じてステージに立つってことがあんまりなくて、後で映像で見たら「すごい、こんなかっこよくしてもらってたんだ」っていうのがいつもだったんですが、今回の「曖昧=Libido(=の正確な表記はノットイコール) 」のときはすごく色使いとかその世界観を感じることができたんですね。なので、自分も「曖昧=Libido(=の正確な表記はノットイコール) 」の世界観に没頭してステージングできたなという意味で選びました。
――本ライブのハイライトといえば、やはり宇都宮短期大学附属高校吹奏楽部と横浜Union Symphonic Bandのフルオーケストラで披露した「Canvas」。どういった経緯で実現したコラボレーションだったのでしょうか。
杏実:吹奏楽のみんなとやってみたいね、っていうぼそっとした一言から佳子ちゃんが動いてくれたのがきっかけです。
佳子:もともと私がうっつー先生のYouTubeのファンでずっと拝見させていただいたんですが、SNSをきっかけにお知り合いになることができて、今回何か大きな企画をやろうと話し合って「吹奏楽とコラボしたい」と思ったときに、うっつー先生ならそれをかなえてくれるかもしれないと思って、連絡したのが始まりです。
そこからせっかくコラボするなら自分の身近な人たちとのつながりを持ってやりたいなと思って母校にも声を掛けさせてもらいました。
――本当にステキなコラボでした。ライブを終えられて、今の率直な感想を教えてください。
栞音:今までで一番余韻が残っているライブだなと思います。配信、アーカイブがあったのも大きいと思うんですが、ファンの方が1週間ぐらいずっとワンマンの話をSNSで投稿してくださったこともあり、ずっと「昨日終えた」みたいな感じがまだ抜けない今までで一番印象に残ったライブだったなと思います。
聖奈:確かに余韻がすごく残っているライブだと思います。当日ライブに来て下さった方、配信で見てくださった方以外にも「あとから知った」という方がいらっしゃったり、とにかくみんながすごくSNSで反応してくれたので、周囲の方々にもどんどん拡散されたのをすごく感じます。ライブ当日だけじゃなくてずっとずっと拡散していくっていうのは初めてだったし、「最近ウワサになってるC;ONだ!」と言われることも増えてきてうれしいです。
どのライブでも「これがC;ONの最大のステージだ!」と思ってやるんですが、今回に関してはもう次が心配なくらいです(笑)。
栞音:顔が知られるようになってきたっていうのは、確かに感じます。私もプライベートで駅前にいたときに「C;ONですよね? LINE CUBEいきました」と声を掛けられてビックリしたばかりです。やっぱり2000人も来てくれたから、顔を知らない方もいらっしゃったんだと思ってうれしくなりました。
杏実:私の場合、ピアノは演奏が崩れると土台が無くなってしまうので集中しなきゃいけない場面が多いから、みんなが泣いていてもあまり涙できないんですが、今回のライブではもうそんな余裕もないぐらい勝手に涙があふれてきてしまって。「Canvas」で幕が開いて、母校のみんなの笑顔が見えたり、演奏が聞こえたりして「めっちゃうれしい!」と思えたり、メンバーの表情とかもすごくよく見えたので「めっちゃ緊張しているけど、涙が自然にあふれている姿」とかを見ていたら、私も同じ感情になってしまって。本当は良くないんですが何弾いてるのか分からなくなっちゃうぐらい、続けてきて良かったなという思いと達成感、ファンのみんなへの感謝の思いが溢れました。
佳子:私のサックス奏者としての始まりは高校から始まったので、母校のみんなと「Canvas」が演奏できたのはすごくうれしくて、思い出に残っています。母校の先生方も「たくさんの人に知ってもらいたい」と高校にチラシを貼ってくださったりしていたので、そういう気持ちにも少し恩返しできたんじゃないかなと思っています。これからももっともっとがんばって、メジャーデビューに向けて進んでいきたいです。
愛佳:2023年は、メンバー5人と事務所の皆さんをあわせたチームC;ONで「やってやるぞ! 全国に行くぞ!」ってメラメラしながら駆け抜けまくった1年で、10月に開催した初のZepp Shinjukuライブでも「C;ONの本気のパフォーマンスを見ろ!!」っていう本当に燃えまくった状態でした。
でも今回はそういうメラメラはもちろんありつつも、メジャーデビューできるって本当にたった1回きりだし、感謝の気持ちをもって「ありがとう!」っていう思いを込めて精一杯届けようっていう気持ちが強くて。いつも以上にメンバーへの愛だったり、ファンのみんなへの愛だったり、このチームの皆さんに出会えてよかったなっていう思いだったり色んな感情が爆発した今までとは全く違う感情で歌い切った、そんなライブだったと思います。私たちのメジャーデビューの一歩として、すごく良いワンマンライブだったなと思っています。
――そしていよいよ今秋に控えたavexからのメジャーデビューについて、実感はわいてきましたか。
栞音:正直にいうと、まだないです。このメジャーデビューに関しては本当に今の事務所の方がすごくがんばってくださって実現したものなんですが、周囲から「すごいすごい」と言われる反面まだプロジェクトとしては始まったばかりなので、これからが楽しみです。
――今秋発表のメジャーデビュー曲について、ちょっとだけ制作の様子を教えてほしいです。
栞音:候補の曲が何曲かPICK UPされていて、この中から選ぼうという話になっていたんですが、改めて「今のC;ONの魅力を最大限色んな人に認知してもらうには、この曲で良いのか」というのを何度も協議しているところです。私たちが「絶対この曲が良い! これしかない!」と思えるような「これで売れなかったらもう無理でしょう」ぐらいの、覚悟を決めた曲で挑みたいなと思っているので、まだまだいっぱい話し合って進めていきたいなと思っています。
――今回のライブでは、パシフィコ横浜国立大ホール、2025年2月15日開催決定の告知もありました。また大きな会場になりますが、意気込みは。
愛佳:さっきもLINE CUBE公演のお話をたくさんさせてもらって、本当に最高のライブだったんですけれども、最高だったという気持ちはあえて一回全部忘れて。またこれが私たち5人の新たな一歩だと思って真っ白な状態でC;ONをスタートさせていくので、皆さんにも楽しみにしていてほしいなと思います。パシフィコ横浜国立大ホールはとても大きな会場で、私たちの本当に“ドデカ挑戦”だと思うんですが、絶対成功させたいなと思っています。
杏実:正直にいうと、発表後にファンと会場の大きさが見合っていないというSNSでの意見もあって。確かに私のSNSのフォロワー全員が来てくれたとしても埋まらないぐらいの会場なんですが、やっぱり泥沼心で今までもがんばってきたので、大きなavexっていう力も借りつつ、環境に甘えすぎず、地道に自分たちはがんばるしかない。今できることを最大限しようと思っています。
栞音:肯定的な意見だけじゃなくて、知らない人がその情報を知ってくれたんだっていうのもあったので、そういう否定的な意見が出るようになってきたのもうれしく思っています。avexさんとご一緒するからこそ厳しい目で見られることも多いかなと思うので、実力をちゃんと上げていきながら、みんなに届く音楽ができるようにがんばっていきたいです。
――最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
栞音:自分たちが7年間活動してきて、メジャーデビューをつかめたのは本当にファンの方々のおかげです。7年前から応援してくれている方も、最近知ったけれどもすごい熱量で応援してくれている方も、たくさん本当にいろんな方がいらっしゃって。ライブに足を運んでもらえたからこそ、今があるので、本当にファンの皆さんに感謝の気持ちを伝えたいと思います。いつも本当にありがとうございます。
これからもC;ONは長く活動できるグループだと思っているので、賞味期限なく、自分たちの音楽を突き詰めて、末永く応援していただけるように、私たちも誠心誠意がんばっていきます。
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