キャッシュレス決済対応店舗を示す「ピクトグラム」のコンクールをめぐって、事前の募集要項に記載された「留意点」に合致しない作品が最優秀作品に採用されたのではないかとして、応募者などから疑問の声があがっています。ねとらぼ編集部はコンクールの主催者に見解を聞きました。
採用されたのは英文字ベースの図案
コンクールは、キャッシュレス決済の普及などを目的に活動する、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が実施したもの。キャッシュレス決済が使える店舗を示す図案を、4月17日から5月26日まで募集していました。
募集したのは「完全キャッシュレス店舗」「キャッシュレス利用可能店舗」の2つの図案を1セットにしたもので、最優秀作品受賞者には、「PayPayギフトカード」や「楽天Edy」など総額25万円分を贈呈するとしていました。
6月19日、最優秀作品として発表されたのは、完全キャッシュレス店舗が「CASH LESS ONLY」、キャッシュレス利用可能店舗が「CASH LESS OK」と、それぞれ英文字をベースに記したデザインでした。
協議会は「本図案をキャッシュレス推進協議会公式のピクトグラムとし、今後、広く店舗や地図、案内図等でご利用いただくことで、キャッシュレスの普及をより実感いただくとともに、わかりやすい店舗利用を促してまいります」としています。
「これピクトグラムでいいの?」
ただ、今回採用された「ピクトグラム」をめぐっては、複数の点から疑問視する声が出ています。
コンクールの募集要項を見ると、図案に関する留意点として挙げられたのは10個の項目。その中には「図案に文字や文字と誤認する恐れのある図柄を含まないこと」という文言が含まれていました。
しかし、今回採用された案は、英文字をベースにしたものであったことから、SNS上では募集要項の留意点との矛盾が生じているのではないかとし、「どういうこと」「これはさすがに……」「むしろ文字しか書いていない」と疑問の声が寄せられました。
今回のコンクールに応募したという1人は、ねとらぼ編集部の取材に対し「留意点に則って応募したが、不採用だった」「このような結果であり残念」と思いを吐露しています。
また、ピクトグラムは一般的に、言葉に頼らず一目で分かるような図形のことを指し、国土交通省公式サイトでは「不特定多数の人々が利用する公共交通機関や公共施設、観光施設等において、文字・言語によらず対象物、概念または状態に関する情報を提供する図形」と定義されています。
こうしたことから、特定の言語を想起させるような今回のデザインについては「ピクトグラムの概念が壊れる」「英語で書いてあるが、これピクトグラムでいいの?」などの指摘があがっていました。
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