一度植えたらほぼ自動的に、毎年の収穫を目指せる作物とは……? 手間なく家庭菜園を楽しめる、便利な作物を5種紹介する動画がYouTubeに投稿されました。
こぼれ種栽培の魅力
動画を投稿したのは、有機農家の家庭に生まれ、現在は“暮らしの畑屋”として畑づくりの楽しさを伝えている、そーやんさんのYouTubeチャンネル「畑は小さな大自然 そーやん」(@notefarm-soyan)。
今回は、一度植えたら、あとは自動的に毎年の収穫を目指せる作物を紹介。そーやんさんの畑で特に安定して収穫できているものを5種選んでいます。
まずは大根。育った大根の中で特に生命力があるものを残しておくと花が付いて4〜5月くらいに種が落ちます。これを“こぼれ種”といい、発芽時期に雑草を刈ると芽が育っていき新たに大根ができます。ただし、春に種をまく品種では種ができない場合があるので、秋にまく品種を選ぶようにします。
そーやんさんはこうしたこぼれ種で野菜を育てるスペースを設けているとのこと。こぼれ種栽培では近縁種の花粉を受粉してしまう“交雑”に注意が必要ですが、大根ではその心配が少ないそうです。
大根の違う品種同士で交雑することはありますが、大根ができることには違いないので家庭菜園なら問題ありません。なお、そーやんさんの畑では美濃早生大根と横川大根を栽培しています。
密集しないように間引きが必要なことも
次に紹介するのが「こぶ高菜」という長崎県雲仙地方の野菜です。そーやんさんによると普通の高菜よりもおいしくサラダにもいいとのこと。
こぶ高菜は他のアブラナ科野菜とは交雑しない作物なので、これもこぼれ種栽培に向いています。ただし、こぼれ種栽培では密集して種がまかれるので、一部の種を別の場所にまいたり間引いたりしないと個々の株が弱ってしまいます。この点には注意が必要です。
身近な野菜であるニラもまた“自動化”しやすい作物です。ニラは一度植えると株が増えていくので、株分けして別のところに植えることでどんどん増やせます。
栽培しやすく強い作物ですが赤さび病(さび色の斑点ができる)になりやすいので、その場合は葉を切って風通しをよくして新しいキレイな葉を出させると、また収穫できるようになります。
なお、ニラと似た葉を持つスイセンは有毒なので、収穫時にはその混入の可能性を念頭に置いてよく確認するよう心がけましょう。
落花生もおすすめ
関東地方の伝統野菜「のらぼう菜」は花芽の部分をつんで食べる野菜。これも交雑しにくいので“自動化”に適しており、種取りもしやすいそうです。
最後に、撮影時には畑にないとしたうえで落花生もおすすめしています。収穫したもののうち立派なものを土に秋に植えると、翌年の5月くらいに発芽するそうです。
ただし、落花生については連作(同じ耕地に同じ種類の作物を毎年続けて作付けすること)に向いていないという研究もあります。土の状態によっては休耕したり土壌改良したり、コンパニオンプランツ(近くで栽培すると相互にメリットをもたらす作物)を活用するといいでしょう。
その他の作物についても連作障害が起こる可能性があるので、土の状態を観察しながら行うとよさそうです。
そーやんさんは、こうしたこぼれ種栽培は自然農の強みを生かしやすいと説明。「畝(うね)の中で栽培しているものよりも、こぼれ種のほうが立派だったりする」「自然に近い環境で生命力をもった植物のほうがやっぱり元気なんだなぁ」とそのメリットを伝えています。
“自動化”成功の報告続々
わずかの手間だけでほぼ“自動的”に毎年の収穫を目指せるという作物の紹介に、「落花生もですか!? 殻付きのままでもまた生えてくるんですね」という驚きの声が上がっています。また、「北海道ですが、アスパラとニラは毎年暖かくなると自然にでてきていて、自然農法というのは、本当に感謝だしワクワクしますね」「関東地方です。のらぼう菜を1月中旬から4月いっぱい収穫しています。ホントに手間要らずで、経済的です」「ミニトマトなんかも落ちた実から立派に芽が出てました!」「からし菜も無限栽培できますね」など、自身の畑での“自動化”成功を伝えるコメントも寄せられています。
そーやんさんのYouTubeチャンネル「畑は小さな大自然 そーやん」(@notefarm-soyan)やInstagram(@note_farm)では、他にも自然農や畑づくりについての情報を発信しています。また、マイナビ農業では「畑は小さな大自然」を連載中です。
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