金賞なのに「ダメ」とは……。吹奏楽部に所属する高校生たちの青春を描くテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」シリーズでは、「ダメ金」「ゴールド金賞」といった吹奏楽にまつわる独特な言い回しが多く登場します。吹奏楽部経験者からは「懐かしい」との声が上がる一方、未経験者からは「どういう意味?」と純粋な疑問が湧きそうです。
京都府宇治市を舞台としたこの作品で、取材協力として携わった京都府吹奏楽連盟の平岡順一副理事長に、これらの言葉の由来について話を聞きました。
「金賞と銀賞が聞き取りづらい」
同アニメは武田綾乃さんの小説『響け!ユーフォニアム』シリーズが原作。ユーフォニアム担当の主人公・黄前久美子をはじめとする吹奏楽部員たちが「全国大会金賞」の目標へ突き進みます。6月30日には第3期「響け!ユーフォニアム3」の最終回が放送され、大きな感動を呼びました。
久美子は、中学時代最後の大会で「ダメ金」となった経験があります。ダメ金とは、大会で金賞を受賞したものの、次の上位大会の代表に選出されなかったことを指します。
このダメ金について、平岡副理事長は「この言葉を主に使っていたのは、常に上位大会を目指している団体の一部だと思われます。多くの団体は『目指せ金賞』を目標に取り組んでいますので、金賞を受賞できれば当然うれしいと感じます。上位大会を目指していたが、そこに到達できなかったことによって、この言葉が出てきたのだと考えています」と話します。
一方で「せっかく生徒たちが頑張ってきた結果をそのような言い方で汚してもいいのかという思いもあり、現在では一部の団体でしか使用していないと思います」とも言います。
また、大会での審査結果発表の際には、金賞に対して「ゴールド金賞」というフレーズが使われます。なぜ「金賞」の前に「ゴールド」と付けるのか。
平岡副理事長は「大きなホールでの発表ではマイクを通すと響いてしまい、金賞と銀賞が聞き取りづらいため」と解説。「ずっと昔は黄色のハンカチを振っていたこともあります。また、関西では金賞ゴールドと言っています」と明かします。
作品が吹奏楽界に与えた影響について聞くと、平岡副理事長は「本当に大きなものがありました。特に、ユーフォニアムというどちらかといえばマイナーな楽器が、このアニメをきっかけに人気の楽器となりました」と、その喜びを語りました。
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