パックマンなどのゲームで知られる「バンダイナムコエンターテインメント」。その前身である「ナムコ」時代には、ゲームはゲームでも意外すぎる“まさかの商品”を扱っていました。そんなものまで売っていたとは……。
ナムコが売っていた“まさかの商品”
1997年、ナムコは“高齢化社会を見据えたシルバー市場への布石”として、スポーツ番組「ナムコ・ゲートボール教室」の冠スポンサーを務めました。同社はすでに「身体機能促進訓練器」などの高齢者向け製品も開発しており、早くからシルバーエンターテインメント市場に注目していたといいます。
翌1998年には、番組での実績や情報を生かし、なんと自社ブランドの「ゲートボールスティック」を発売。商品名は、「ナムコ・ハイカーボン・アンバランス・スティック『S-100』」といい、希望小売価格は税別3万2000円だったといいます。なんだか強そうな名前……!
“保険付き”のゲートボールスティックも
ナムコがシルバー市場に参入したのは、これまで同社のメインターゲットが若者であり、中高年以上にはあまり知られていなかったためでした。そこで、ナムコブランドの新しい広め方、及び新たなビジネスチャンスの開拓のため、愛好家の多くが高齢者であったゲートボールに注目したのだそうです。
さらに1999年には、業界初となる保険付きゲートボールスティックを発売。スティックを購入した日、または贈られた日から1年間、製品の盗難・破損、プレー中の事故などに対応することができました。
介護分野への進出も
ちなみに、このころには介護分野にも進出していたナムコ。人気ゲーム・ワニワニパニックや太鼓の達人をもとにした“リハビリテインメントマシン”も注目を集めました。
リハビリテイメントマシンとは、ゲームの要素を取り入れ、楽しみながらトレーニングや機能回復訓練を行うことを目的としたゲーム機器のことです。例えば、当時開発された「ワニワニパニックRT」は、車椅子の人も使いやすいようフットレスト対応の工夫がなされており、従来品よりも軽い円筒形のハンマーにすることで、握力の弱い人でもどんな持ち方でも取り組みやすい仕様になっていました。
若者の遊びだけでなく高齢者のエンタメにも注目し、さらには誰もが使いやすく楽しめるリハビリ用品まで開発。老舗ゲームメーカーの挑戦の一端が垣間見える商品たちでした。
参考文献
- シルバーエンターテインメント市場の開拓・CS放送及びCATVで放送ナムコ、「ゲートボール教室番組」の冠スポンサーに
- シルバーエンターテインメント市場に本格参入 ナムコ、“ゲートボールスティック”を発売 同時に通信販売事業をスタート
- ナムコ、業界初の保険付きゲートボールスティックを発売
- バンダイナムコ エンターテインメント「ヒストリー」
- 小野雄次郎 株式会社ナムコ BFEグループ「福祉とエンターテインメントの融合」(日本人間工学会第47回大会 公開企画)
- ナムコ、福祉機器仕様の業務用ゲーム機 “リハビリテインメントマシン”を民間施設に初めて販売 4月3日オープンのデイサービスセンター「ちょうじゃの森」に
- 高齢者向けリハビリテインメントマシン「太鼓の達人 RT〜日本の心〜」を開発・発売
文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。これまでに、『高校生クイズ』『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどに問題を提供する。2023年、「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』(永岡書店)など。
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