おいしい料理、美しい風景、刺激的なアクティビティ……。そんな定番の観光体験に一石を投じるような観光スタイルが注目を集めている。睡眠を目的とした「スリープツーリズム」だ。その市場規模は世界で10兆円を超えるとも言われる中、日本で新たな市場を切り拓こうとする名門ホテルを取材した。
名門「ホテル椿山荘東京」が打ち出した新プラン
東京・文京区にある「ホテル椿山荘東京」。明治時代に第3・9代内閣総理大臣の山縣有朋が作った和の趣を全面に感じさせる庭園を有し、国内外から高い評価を得ている高級ホテルだ。近年は、増加する外国人観光客などを念頭に、茶道などの「和のおもてなし」を打ち出したサービスにも力を入れている。
そのホテル椿山荘東京が3月から実施しているプランが「Sleep wellステイ」(1人1泊9万8800円〜)と「睡眠脳波計測付きステイ」(1人1泊7万6100円〜)。その名の通り、いずれも「眠ること」に重きを置いた宿泊プランで、宿泊数は1泊。特徴的なのは、宿泊する前日、あるいはそれより前の日もプランの対象に含まれることだ。
一体どういうことなのか。ねとらぼ編集部では「Sleep wellステイ」を体験することにした。
家で4日、ホテルで1日「睡眠の質」を計測
「Sleep wellステイ」プランが始まるのは、宿泊日からさかのぼること4日前(「睡眠脳波計測付きステイ」の場合は宿泊1日前)。まずは自宅で「InSomnograf(インソムノグラフ)」という機器を用いて、就寝することになる。
「InSomnograf」は、筑波大学発のスタートアップ企業であるS’UIMIN(東京都渋谷区)が開発した睡眠時の脳波を測定できるという機器だ。額と耳の裏に電極シートを当てて眠ることで、「レム睡眠」「浅い睡眠」「深い睡眠」といった睡眠の種類別に長さなどを測定。計測が終わった翌朝には、睡眠の質が1000点満点でスコア化される。
そして、プラン5日目となる日にようやくホテル椿山荘東京にチェックイン。ホテルではサウナや温泉、ジムなどを備えたスパ施設が利用可能で、バー「ル・マーキー」ではオリジナルのナイトキャップカクテルも楽しめる。もちろん、自慢の庭園を散策することも可能で、都会の喧騒から離れたリラックス体験を満喫できる。
就寝時には家と同様に「InSomnograf」で脳波を測定しながら、ベッドで寝ることになる。部屋にはオリジナルのアロマオイルも用意されており、リラックスした香りの中で眠りにつくことができる。
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