「確実にカモリストに入る」「“養分”と呼ばれている」
番組ではこうした手口に詳しいという男性に取材しました。男性は偽物の札束などを使った動画で5日間で約1万5000フォロワーを集め、後日その企画がフェイクだったことを明かして(男性いわく「実験」)、フォロワー向けに注意喚起した経験があるといいます。
男性の発言:「10億円配りますとか、そういう、非現実的な話を受け入れちゃうような人たちがフォローしてRTしているんで。応募していたら、カモリストに間違いなく入ってると思います」「確実に“養分”と呼ばれている」
視聴者からは「知り合いがこれ系RTしてるとちょっと悲しい気持ちになるヨネ」「カモリスト作りもハイテク化してるんだなぁ」「昔、訪問販売の人が騙されやすい家のポストに目印したみたい」などの感想が寄せられました。
Twitter→LINEに誘導して「カモリスト」を販売する
このような詐欺の多くは、Twitterでフォロワーを集め、「当選はLINEで発表します」などのメッセージを使ってLINEに友達登録させる、という2段階の流れによって行われています。
LINEの詐欺アカウントの中には1万人近い友達リストを抱えているものもあり、これらが「お金に困っている人達のリストです」などのうたい文句で、1アカウント数百万~数千万円でネット上で売買されているとのこと。アカウントを使う権利を他者にゆずることで、そこにぶらさがった友達リストも一緒に販売できるというわけです。
LINEアカウントでビジネスをするある女性は、自分で集めた大量の友達リストに向けて、企業から依頼された「月100万円稼ぐ方法教えます」などの広告メッセージを送っています。約1万人に広告を送ると約100件の登録があり、それによって1回で30万円(1件=3000円)ほどのキックバックを企業から得ているとのこと。女性はこれで年間に約1億円を稼いでいます。
プラットフォーマーの責任は?
Twitter社やLINE社では、規約で「他者をあざむき金銭や個人の金融情報を取得すること」や「アカウントの売買」を禁止していますが、こうしたトラブルは年々増えており、国民生活センターに寄せられる情報商材系のトラブルの3割を占めているといいます。
慶応義塾大学の宮田裕章教授は、「TwitterやLINEなど複数のサービスをまたいだような悪意に対抗するのは、単一のプラットフォーマーだけでは難しい」とし、「クレジットカードや保険会社は、ブラックリストや事故を起こした人を業界が連携して共有するなどして取り組んでいる。SNSの世界ではそういった連携はできていない」と指摘します。
また、疑惑のあるアカウントを過去にフォローした経験がある人に向けては、まずはフォローを外す、ブロックするなどして、気軽に増やしたアカウントをあらためて整理することを勧めています。
「ネットリテラシーの授業に使ってほしい」
番組全体を通して、視聴者からは「今夜のクロ現プラス 中高生のネットリテラシーの授業に使って欲しいわ」「やっぱり社会科の授業で必要なのは『電子マネー含む電子決算の仕組みと使い方』だよ…」などのコメントが見られました。
タイムラインに流れてきた1つのツイートを気軽にリツイートしただけで、大きなトラブルに巻き込まれる可能性があること。「大したリスクはないだろう」と高をくくらず、SNSを利用するに当たっては常に「うまい話の裏側に何があるか」を想像する力が求められています。
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