ダウ平均株価が史上最大の下げ幅、発動した緊急措置「サーキットブレーカー」とは?

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 3月9日、ニューヨーク株式市場では、ダウ平均株価が過去最大となる2000ドル以上の下げ幅を記録。「サーキットブレーカー」が発動しましたが、取引再開後も下げ止まらない事態となりました。新型コロナウイルスの感染拡大や原油相場の急落など、経済の先行き不透明感が深まり、売り注文が殺到した影響と見られています。

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「サーキットブレーカー」のポジネガ判定は?

 キーワード「サーキットブレーカー」を含むツイートをAI分析したところ、およそ9割がネガティブな反応に分類されました。アメリカ経済への先行き不透明感を悲観する声が多くなっています。

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「サーキットブレーカー」の盛り上がりは?

 3月10日未明、大手メディア各社が一斉にサーキットブレーカー発動を報道した影響で、トレンドは盛り上がりを見せています。現行ルールでは史上初の発動となった点も、注目を集めた要因のようです。

 サーキットブレーカーが最後に発動されたのは、およそ四半世紀前の1997年。Twitter上では「ええええええ!?」「この目で見たくなかった」「歴史的瞬間」など、驚きの声が上がっています。

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サーキットブレーカーとは

 ニューヨーク証券取引所やNASDAQなどに上場しているアメリカ企業のうち、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社が選んだ500銘柄の時価総額をベースに算出される株価指数「S&P500」が急落すると発動される緊急措置です。S&P500は、アメリカ株式市場の動向を測る金融指標として知られます。

 具体的には、S&P500が前日の終値に対して7パーセント下落すると、取引が15分停止。その後、13パーセントの下落で再び15分停止。そして20パーセント下落すると、その日の取引がストップとなります。

 損切りや利益を確定させるための売り注文が殺到すると、売りが売りを呼び、下げ止まらなくなる恐れがあります。そのため、取引が過熱化してきた場合、事態を沈静化させるために一旦停止し、市場関係者に「いったん頭を冷やしましょう」と冷静になる時間を与える仕組みになっています。これがサーキットブレーカーです。

 制度が作られたきっかけは、1987年の世界的な株価大暴落であるブラックマンデー(暗黒の月曜日)。まずニューヨーク証券取引所で導入され、その後、世界各国で同様の制度が作られました。

 アメリカで最後に発動されたのは、1997年。発動条件や取引停止時間が現行ルールとなった2013年以降では、今回が初めての発動です(なおサーキットブレーカーではありませんが、市場の停止自体はアメリカ同時多発テロの際にありました)。

 今回は7パーセントの下げ幅を記録した時点でサーキットブレーカーが発動。その後、取引は再開されましたが下げ止まらず、最終的に過去最大となる2000ドル以上の下げ幅を記録しました。

 日本でも1994年、東京証券取引所で同様の制度が導入されており、アメリカ同時多発テロ事件、リーマンショック、東日本大震災などを受けて発動された経緯があります。

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トランプ大統領が大規模経済対策を宣言する事態に

 今回のサーキットブレーカー発動は、新型コロナウイルス感染拡大の経済への影響を重く見たことなどが要因とされます。

 中国や日本、韓国などアジア圏での感染拡大はなかなか歯止めがかからず、イタリアやフランスなどヨーロッパでも感染が急拡大。アメリカでも感染者が相次いでおり、カリフォルニア州やワシントン州、ニューヨーク州などが相次いで非常事態宣言を発表しています。

 こうした事態に反応して大量の売りが殺到し、サーキットブレーカーの発動につながったと見られています。

 この事態を受けて、アメリカのトランプ大統領は、所得税の減税やさらなる利下げなど大規模な経済対策の検討を発表。「大暴落の原因はフェイクニュースだ」とツイートし、アメリカ経済に問題はないことを強調しました。

 Twitter上の反応としては、ポジティブに受け止める意見もありますが、悲観的な見方が多くなっています。減税は不況対策として一定の理解を示す人が多い一方、利下げはもともと金利が低く、今から下げても大きな効果は見込めないと考えている人が多いようです。

 今後の先行きについては「不安だけど、今は目の前のことをコツコツやるしかない」「そこまで大騒ぎすることじゃない」など、様々な見方が広がっています。中には「今回の大暴落はコロナも原油も関係ない」といった意見もあります。

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日本でも売り殺到、日経平均株価は一時1万9000円を割り込む

 3月10日、日本でもダウ平均株価の急落に連動するように、東京株式市場で売り注文が殺到。日経平均株価は乱高下しつつもほぼ全面安で展開し、1万9000円を割り込む場面もありました。

 最終的には円安傾向になり、株を買い戻す動きが出たため、終値は1万9000円台に。アメリカでの株価急落を受けてトランプ大統領が大規模経済対策を発表したのを受けてか、株価は少し盛り返しました。

 ただし、急激な円高傾向に歯止めはかかっていません。少し前まで1ドル100円前後で推移していた東京外国為替市場は、3月9日に101円を記録。企業業績などへの影響が懸念されています。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けたイベントや外出、渡航などの自粛により、すでに倒産する企業や閉店する店舗も相次いでいます。ネット上では歯止めがかからない経済への影響、そんな中で訪れたサーキットブレーカーの発動を受けて、不安の声が広がり続けています。

調査概要

調査期間2020年3月9~10日
調査対象Twitter
調査件数3286 件(10%サンプリング)
調査キーワードサーキットブレーカー
調査方法対象期間のTweetを「クチコミ@係長」によるテキストマイニングにより分析
備考実数に近づけるため件数を100%に補正

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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