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今より小さかった東京に多摩地区が移管される

 ちなみに当時の東京府は、現在の東京23区の大部分と伊豆・小笠原諸島というやや狭い範囲を行政区域としており、多摩地区は神奈川県の管轄でした。

 1893年に三多摩地区が東京府に移管され、ほぼ現在の区域が出来上がります。その結果、前年の人口135万6800人から25万人ほど増やして、160万8700人で2位に。同年の新潟県170万6400人に約10万人差まで迫りました。

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ついに東京がトップの座に(1897年)

 そして1897年、東京が176万2100人として1位に。新潟は172万3400人と2位に落ち、10年間守っていた首位を帝都に明け渡しました。

時の日本で最も高い建物、凌雲閣。1890年に竣工した(Wikimediaより)
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北海道が東京を抜いてまさかの人口1位!(1945年)

 このあと、ずっとずっと東京の1位が現在まで続くのですが、実は例外的に、1度だけ東京が1位から陥落したことがあります。

 それは1945年。当時日本の人口は7199万8104人となっていましたが、1位は北海道で、351万8389人。2位の東京都は348万8284人でした。

 これは太平洋戦争で都市部が疎開によって人口を減らし、逆に北海道らが疎開先に選ばれ、人が集まったからとされています。ただしこれ以降、現在まで東京都は1位を明け渡したことはありません。

ほぼ空襲を免れた、札幌市街「昭和20年の記録(札幌市教育委員会)」より

かつて1位の石川県は、34位にランクダウン!

 ここで都道府県人口1位遍歴をおさらいしましょう。今ではなかなか「人口1位になった」とは思えない意外な県が並びます。

1886年には年始と年末の二度調査があったので、大阪は4期分トップ。

 そんな、かつて1位だった県は、当時より大きく順位を減らしているところも多くなっています。

 2017年10月1日現在で見ると、大阪府の3位(882.3万人)や愛知県の4位(752.5万人)は良いほうで、北海道は532万人で8位、広島県は282.9万人で12位。長らく栄華を誇った新潟県は226.7万人で15位。石川県に至っては、114.7万人で34位と下位に沈んでいます。

島根県の人口は2166年にゼロになる!?

 右肩上がりで人口が増えていた過去とは違い、いまは人口減少社会です。

 テレビ番組「月曜から夜ふかし」で島根県統計調査課・鳥取県統計課のデータをもとに算出したところによると、島根県が2166年、鳥取県が2184年に人口がゼロになるという試算まであります。

2050年のランキング。首位・東京が突出。大阪が4位に落ちるといわれる(国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計)より)
鳥取をはじめ、4県が40万人に突入する過疎社会になるとされる(国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計)より)
2005年からだとここまで減る。秋田の人口は半分以下に。国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口」(平成19年5月推計)より環境省が作成
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おわりに:19世紀の人口分布のほうが理想的だった?

 東京一極集中は人やモノの移動・輸送効率を高め、生産性向上につながるともいわれるものの、子育ての難しい東京に集まることにより、出生率のさらなる低下が危惧され、さらに災害時のリスクヘッジがなくなるなど、弊害も多く伝えられます。

 実は人口が分散していた過去のほうが、日本の健全な発展において理想的であったと言う学者が多く居ます。いま考えると意外な都道府県が人口1位の座をリレーしていた過去の人口分布が、東京一極集中になりすぎない日本をつくるための参考になるかもしれません。

 いままで辛酸をなめてきた日本海側も、アジアの経済力が増大する中で地理的な近さがチャンスと捉えられ、国も日本海側港湾の機能別拠点化を推し進めています。

経済発展するアジア諸国との重要な拠点となる、日本海側の港

 東京以外に、人口の減らない県がこれからどれだけ出てくるか。それは、この国全体が元気で居続けられるかどうかにも関わっている気がします。

辰井裕紀

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