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漆黒の追跡者(チェイサー)

 定期的にやってくる「コナンの正体がバレた……!?」という黒の組織もの。ミステリとして雑なので個人的には面白いと思わなかったんですが、黒の組織と少年探偵団のアクションが繰り広げられるので、好きな人も多いです。黒の組織の一員「アイリッシュ」というオリジナルキャラがメインで出てきますが、ここでアイリッシュを出してみたからこそ、「純黒」でキュラソーをうまく描けたんだろうなと思います。

 本作で使われた要素は後作にも繰り返し出てきて、例えば「異次元の狙撃手」とは事件の構造が本当によく似ています。連続殺人で、殺人現場に謎めいたアイテムがおかれていて、象徴的な建物が舞台になる。「漆黒」では東京タワー、そして「異次元」ではスカイツリーです。

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天空の難破船(ロスト・シップ)

 大傑作です……(声を震わせながら)。シリーズの定石を全部外してくる、シリーズ作品ならではの傑作なんですよ。劇場版おなじみの「阿笠博士のクイズ」が最後の最後まで出てこないとか、エンディングの入り方とか、冒頭の「オレの名前は工藤新一」というあらすじ説明シーンに伏線を貼ってくるとかの細部はもちろん、大きなところだと「怪盗キッドものなのに、怪盗キッドの正体が比較的早い段階で明らかにされる」という驚きがあります。普通、キッドが出てくると、「キッドは誰に化けてるのか?」の謎を引っ張りますからね。

 キッドの正体が分かったあとは、話が次々と予想できない方向に転がっていきます。「この事件の謎ってなんなんだろう?」と視聴者が思いかけたところで、「なぜ犯人は化学研究所を爆破したのか?」というホワイダニットが浮かび上がり、その謎を解くと全てが解けていって、いきなりフーダニットの構造が立ち現れます。視聴者の予想の一歩先を行くような出来事が起こるので、テンポが良くて極めて面白い! しかもですね、冒頭を除いて意外に爆発が起こらないんですよ!

――(この人、いきなり早口になったな……)

 「空が舞台になる」「キッドもの」というと、ファンは空中戦を期待しますが、そこもうまくハズしてくるんですよね。天空の機上で事件が動きつつも、地上でも話が動いていく構成が素晴らしいです。あと裏話を言うと、この作品から小五郎の声優さんが神谷明さんから小山力也さんに交代しているので、ファンの反発を避けるためかおっちゃんのセリフがほぼないです。「いろいろ大変だったんだろうな」という気持ちにもなれる名作ですね。

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沈黙の15分(クォーター)

 見どころは最初の10分。疾走感が半端ではない。いきなり地下鉄が爆破されるシーンから始まり、普通だったらクライマックスに持ってくるようなアクションシーンを最初に詰め込む。最高潮までテンションを上げておいて……そこからひたすら地味なシーンが続きます。雪山のダムを舞台にしたお話です。久々に少年探偵団が活躍します。

 タイトルの「15分」が何を意味しているのかが1つの謎になりますが、大体の人が半分くらいで「あっこうなるんだろうな」と気付き、実際その通りのクライマックスに突入します。本作と似たような構図になっているのが「絶海の探偵」と「業火の向日葵」。特に「絶海」は非常に呼応しているので、まとめて見ると面白いかもしれません。

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11人目のストライカー

 久々に来ました連続爆破事件! 1作目に次ぐ連続爆破っぷり。サッカースタジアムが次々に爆破されていき、爆破予告が暗号で届く。コナンは暗号を解いて、爆破を阻止できるのか!?――というストーリーですが、見どころは実在のサッカー選手が声を当てていて、信じられないくらい棒読みなところですね。しかも肝心なシーンでその棒読みが何度もリフレインする。それだけでも笑いが止まらないのに、クライマックスでは顔まで再生される。超楽しかったですね。

 「サッカー選手を絡めながら、クライマックスまでつなげなきゃいけない」という状態で、よくがんばったよねと褒めてあげたい作品です。ファンからの評価は低めですが、案外構成は正統派で、珍しく物理的なトリックがしっかり出てきますし、犯人の意外性も狙っている。ちゃんとクライマックスも盛り上がるように作られていて、「王道のコナン映画だな」という気がします。爆発が見たい人も楽しめるんじゃないですかね。

 ちなみに、劇場作品のタイトルには漢字にかっこいいルビがつきものですが、本作には「ストライカー」に「Striker」ってルビが振ってあるんですよ。だから、本作の正式なタイトルは「11人目のStriker(※編集注:英語読みしてください)」なんです。

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絶海の探偵(プライベート・アイ)

 なんとイージス艦が舞台。イージス艦が舞台なので、当然ですが爆破できません。「いーじすかんは すごいんだぞ!」というのをアピールする映画です。イージス艦に潜り込んだ某国のスパイを特定する硬派な内容ですが、ミステリとアクションパートが全然連動してない。クライマックスはやっぱり爆破できないので、「沈黙」と同様の「爆破じゃないクライマックス」を作っていきます。いちばん面白いのは、タイトルの「探偵」が示す相手がコナンではなく、ひとひねりあるところですね。

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異次元の狙撃手(スナイパー)

 正統派かつ、より面白くした「漆黒」。初めてのFBIメインの作品で、「超長距離からの狙撃」という魅力的な犯人によってコナンの身近な人物も巻き込まれていきます。

 「異次元」がすごいのは、とある人物に関する大ネタを、原作よりも先に明かしたこと。青山剛昌先生がしっかり関わっている劇場版コナンシリーズだからこそできる仕掛けでした。その大ネタの趣向ありきで、「これをやるんだったらこの事件や犯人が必要」という逆算で構成されている。非常によく練られていますね。連続殺人もテンポよく起こるので見ていて飽きないですし、珍しくコナンが事件の阻止に何度も失敗する。久々に「強い犯人」VS探偵という構図ができています。

 「漆黒」の項でもお話ししたように、本作ではスカイツリーが早速壊されています。「コナンって、新しい建物が出てくるとすぐ爆破するよなー」と思いました。あと、コナンくんによる打ち上げ花火は劇場版きっての名シーンです。

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