3年前の予言が現実に……ウイルスと人類の闘いを描いたNHKスペシャル「ウイルス“大感染時代”~忍び寄るパンデミック~」を今こそ見てほしい

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「これまでのインフルエンザやノロウイルス、そうした感染症とはまったくレベルの違う、死に至る可能性の高い感染症……その爆発的流行が間近に迫っています」

 全世界で新型コロナウイルスが猛威を振るう現在の状況を、3年前の時点で正確に予測していたと思われるテレビ番組があります。2017年1月14日放送のNHKスペシャル「ウイルス“大感染時代”~忍び寄るパンデミック~」――その内容を、当時の視聴者の感想を交えながらご紹介しましょう。(番組は現在でもNHKオンデマンドで視聴できます)

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政府が緊急事態宣言を発令、街から人が消える

 番組で描かれたのは、強い毒性と感染力を兼ね備えた新型インフルエンザウイルスが感染爆発を起こしている近い将来の世界。日本政府は緊急事態宣言を発令し、街からは人が消え、物流など多くの社会機能が麻痺しています。

 このウイルスは2017年当時に流行していた鳥インフルエンザウイルス(H5型)が変異したものという設定で、最悪の場合は日本人の4人に1人である3200万人が感染し、64万人の死者が出るという試算がされています。

 Twitterでは当時の視聴者から『現実味のある数字』『外出自粛を要請しても街から人が消えることはないと思う』『(パンデミックを描いた小説である)小松左京の「復活の日」そのまんま』などの感想が見られました。

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動物からヒト、さらにヒトからヒトへと感染してしまうシナリオとは?

 本来、鳥インフルエンザウイルスは鳥と鳥との間でしかうつりませんが、これが鳥からヒトへと感染するケースが世界で相次いで報告されていたのが、番組放送当時の現実の状況。さらに、最も恐れるべき事態として「ヒトからヒトへの感染」があると言います。

 鳥インフルエンザウイルスが、種の違いを超えてヒトの間で感染を始めるにはいくつかの壁があり、その一つとして挙げられたのが「温度の壁」。鳥インフルエンザウイルスは鳥の体温に近い42度付近で増殖するため、体温が36度付近であるヒトにはうつりにくいのです。

 しかし、この体温の壁を乗り越える場として注目されているのが、鳥とヒトの中間の体温を持つ動物、豚。39度の体温を持つ豚は、鳥とヒトの両方のウイルスにかかりやすい性質があり、豚が同時に2つのウイルスに感染することで遺伝子が混ざり合い、ヒトからヒトへと感染してしまう強力な新型ウイルスが生まれてしまう可能性が示唆されています。

 新型インフルエンザウイルスに感染した人の体内では、24時間でウイルスがおよそ100万倍に増殖し、症状は一気に深刻化します。感染が特に集中する肺では細胞が死滅し、重篤な肺炎が引き起こされ、呼吸困難に陥ります。さらにウイルスは全身に広がり、肝臓や脳などの細胞も死滅することで多臓器不全に陥り、最終的に死に至ります。

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3年前に危惧されていたことが現実に

 番組では、国と国立感染症研究所の予測をもとに、最悪のシナリオを映像化した様子が流れました。

 東京都内で新型インフルエンザの感染者が1人出たのをきっかけに、ウイルスが咳やくしゃみなどの飛沫や空気を通じて拡散。感染者は数日後に咳や高熱などを発します。感染は人の密集した場で瞬く間に広がり、病院には患者が殺到。入院に必要なベッドが不足し、院内でも感染が拡大するなど医療崩壊が起きています。

 政府は緊急事態宣言を発令し、各自治体は住人に外出自粛を要請。街からは人の姿が消えます。やがて生活を支える社会機能が麻痺し、ドライバーの感染などにより物流が停止、食料品の入手も困難に。死者が続出するも火葬がおいつかず、遺体は空き地や公園などに埋葬されています。まさに、新型コロナウイルスが大流行している現在の国内外の情勢を描いたような内容と言えます。

 2017年当時の視聴者からも『公共の場で咳をしてたら、にらまれそうだ』『人の多い街中や、ライブ・コンサート会場でもマスクしてたほうが良いな』と、まるで2020年の日本の風景を見ているような感想が見られました。

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「一旦は大騒ぎするが、1カ月もすると忘れてしまう」

 番組のスタジオに登場した東北大学医学系研究科の押谷仁さんからは、「自分が感染しないためには手洗いをするとかそれだけでは不十分。感染した人がいかにしてほかの人にうつさないかということに気を付けてもらいたい」「日本社会だと熱が出たりインフルエンザの症状があったりしても会社に行ってしまう。それが感染を広げる」というコメントがありました。

 また、「国の対策は十分なのか?」という質問に対しては、「本当に大変な事態になったときには、どういう風に意思決定をしてどういう対策をするのか、そのためにはどういう専門家が必要なのか。そういうことを考えられる専門家は、今の日本ではとても少ない」「一刻も早くそういう体制を作ることが必要」との見解を示していました。

 「日本では、何かが起こると一旦は大騒ぎするが、1カ月もすると忘れてしまうというところがある。本来はもっと長い目で、リスクを理解して対策を考えていくべきだ」(押谷さん)。3年前から危惧されていたことが現実となり、緊急事態宣言の発令も間近とされる現在、場当たり的ではない、真に抜本的な国の体制作りがあらためて求められています。

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調査概要

調査期間 2017年1月14日
調査対象Twitter
調査件数740件(10%サンプリング)
調査キーワードハッシュタグ: #Nスペ or #NHKスペシャル
調査方法対象期間のTweetを「SocialInsight」によるテキストマイニングにより分析
備考実数に近づけるため件数を100%に補正

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

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