1人暮らしで発症したら~感染症専門医が解説 新型コロナウイルス
ニッポン放送「ザ・フォーカス」(4月8日放送)に日本感染症学会の専門医で東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授が出演。新型コロナウイルスの対策について解説した。
新型コロナウイルス抗体検査の有効性
日本では新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が出されたが、感染の拡大が進む海外ではさらに抗体検査が進められている。ゲストの寺嶋教授が抗体検査の有効性、リスクについて述べた。
野村修也<中央大学法科大学院教授・弁護士>)世界ではさまざまな取り組みがされています。日本ではみんなで外出を控えることによって感染し合わないようにしようと頑張っていますが、他方で海外では抗体検査、かかってしまった人を発見するといったことをやり始めた国もあります。これはどう見たらいいでしょうか。
寺嶋)抗体というのはかかってすぐに出るIgMという抗体と、かかって3、4週間経ってからあがってくるIgGがあります。もう感染した記号というかそういったものを調べる検査があって、確かに中国や海外ではそれを調べることも行われています。キットによっては当たりは当たりで間違いを逃さないと言われていますが、一方で国立の医療センターではそういうことももちろんやられていて、IgMという急性期にあがるものでキットによってわかるのは5,6割程度ではないかと。ただ、PCR検査では鼻の奥から拭い液を採るのでその際の感染の心配もありますし、検査をする側も防護して臨みます。しかし、最近ではその物資そのものが不足の気配が出てきていますので血液検査で調べられるのは有効な手段だと思います。特にIgGに関しては、日本はもっとたくさんかかっている人がいるのではないかという疑問に答えるにはIgGを調べることによって実はかかっていたという疫学的というか、それを知ることによって今後の対策にも有効な情報になると思います。いまは3つくらいの会社から出ているキットがありますが、なかなか品薄で手に入りません。
個人でできる対策~生活のなかで気をつけられること
森田耕次解説委員)緊急事態宣言も出ましたが、我々個人でできる対策というのは「3つの密」を避け、手洗いを徹底してマスクを着用することくらいですね。
寺嶋)まさにおっしゃる通り、もう何十回も聞いたと思いますが、それに加えてできることは抵抗力が大事ですから、しっかりとした睡眠やバランスの取れた食事を採るといったことも大事だと思います。
森田)食事などは増山さんも気になるのではないですか。
増山さやかアナウンサー)なりますね。対策として手洗いのみでなく、生活をしているなかで気をつけられることがあると気持ちとしても楽になると思います。
寺嶋)例えばタバコは重症化の原因にもなって局所の免疫も落とします。マスクもいろいろと言われていますが、喉の保湿という面ではプラスになると思います。喉を冷やすと血流が落ちて免疫の細胞もやってきませんから、喉を温めて乾燥しないように水分を取ることでもかかりにくくなると思います。
森田)我々はすぐカサカサになるので加湿器をつけているのですが、ウイルスは湿気に弱いということはありますか?
寺嶋)乾燥しているよりも湿度が50%以上になるとウイルスが失活すると言われています。
森田)これを食べた方がいいといったものはありますか?
寺嶋)ビタミンやヨーグルトなどが研究によっては免疫を高めるという話はあります。
1人暮らしで「感染したかも」と感じたら
森田)あとは家族が発症した場合です。ツイッターで“リリーアントアネット”さんから「1人暮らしの人が疑わしくなって発症した場合、どうやって過ごしたらいいですか」といただいています。
寺嶋)1人暮らしの方は本当に心細いと思います。自宅で体調に気をつけてくださいとは言っても、熱がなかなか下がらない、息苦しいというと4日間とはいえとても不安だと思います。そこは難しいのですが、できればご家族とできるだけやり取りをして体調を伝える、相談も重要です。もちろん自分自身で不安に感じる場合は4日と言わずその前に相談して早めの受診をしてもいいと思います。
野村)自然災害のときの災害対策基本法では避難が困難な方の名簿をつくるように決まっていて、自治体はそれを持っているのです。せっかくそうやって把握できているのですから、自治体が声掛けすることが必要だと思います。どこかで感染して苦労されている方を見極めるには自治体の力も必要なので、工夫して欲しいなと思います。
森田)高齢者のお1人暮らしの方のリストはあるはずですからね。
野村)もともとあるのです。地震が来たときなどに助けるリストができているから、有効活用すればいいと思います。
森田)あと自分でできることとしては家では換気するとか、家族と同じ部屋で寝ないようにするということが言われます。
寺嶋)感染経路が飛沫か接触ですから、飛沫を防ぐには同じ部屋にいないようにするということと、換気を1,2時間ごとに10分程度行うことが大事だと思います。接触感染を予防するという意味では食器を別にするとか使い捨てにするとか。本当はトイレが別々にあればいいのですがそれは難しいので、ドアノブなどを触ったあとはくまなくアルコールなどできちんと拭く。お風呂もいちばん最後で、お互いにマスクをするということになると思います。
野村)距離を取ることが必要なのでしょうか。スーパーでもみんな間隔を空けて、レジに並ばないようにしていますが、あれは効果があるのでしょうか。
寺嶋)あると思います。
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